2001年6月1日(金)渋谷道頓堀劇場
by Fu-maさん
1. 特別企画「おとぎ話」
2. 愛川ユキ
3. 青井りんご
4. 綾瀬ナナ
5. 相沢かれん
6. 特別企画「ザ・キャット」
伝説の渋谷道頓堀劇場のこけら落し。やはりここは是が非でも初日にと思い、渋谷の町に降り立ちました。109を越え、道玄坂を上り、百軒店のアーケードを潜るとそこに赤地に黄色の文字で大きく「道頓堀劇場」と描かれた看板が目に入ります。以前札幌で外観だけ目にした札幌道頓堀と同じ形式の看板で非常に目立ちます。正面にはもっと巨大な長方形の赤文字で「道頓堀」と大書きされた黄色の看板が鎮座おわします。三回目の終盤に差し掛かっていたせいか、入り口周辺には人気がなく一人感じのよさそうな従業員のお兄さんがいるだけでした。綾瀬ナナさんの三回目が惜しくも終わってしまったということなのでまずは斜向いの名店「喜楽」にて腹ごしらえです。OSを訪れる時もいつもここを利用しています。カウンターで「もやし麺」を一気に平らげ仕切り直しです。
テケツで女性からチケットを買い、スモールバーもある清潔感あふれるロビーを抜け各劇場から贈られた鉢植えに目をやりつつ地下へと降りていきます。川崎ロックやショーアップ大宮にも備えられている映画館然とした重厚な黒い扉を押し開けいざ場内へ。下手、上手は二列、正面は四列の座席が設置され、その後ろには具合良く手すりがめぐらされていて、しかもかなりゆったりとしたスペースが取られているので(その分座席間が狭いのですが)、立ち見も快適です。舞台はかなり低く、盆上の踊り子さんとの接近度は池袋ミカドと双璧といえます。花道は短いのですが、本舞台は思いのほか奥行きがあり横幅もあります。本舞台は栗橋大一に近いといえるでしょう。新しいという事もあってか、照明・音響効果のクオリティはかなりのものがあります。暖色と寒色の入れ替わりが非常に見事です。投光さんの腕もあるのでしょうね。この日は当然のことながら満席。同業者(ストリップ記者!)も多かった気がするなあ(笑)。Fu−maは三回目のキャットの途中から入り(エネルギッシュに場内を駆け巡るカメラマンさんの隣で観ていました)、ラストまでいました。
道劇スタイル、つまりミュージカル形式初体験の感想は・・・、とりあえず保留です。いわゆるソロベットを中心とする従来のストリップのスタイルとはかなり根本的なところから(あえて言えば思想的な面からも)異なることだけは確かです。その意味で嗜好は分かれるかもしれません。あくまで個人的な感想ですが、Fu−maとしては六月結の藤繭ゑさんのソロステージの方に関心は移りつつあります(雨宮琴さんがゲストとのこと。豪華必見!)。ただ停滞するストリップ業界の現状を打破しようと思考を凝らす、道劇の矢野氏そして清水ひとみさんの志の高さには賞賛の拍手を送らずにはいられません。
1. 特別企画「おとぎ話」
道劇の新人さんたちが中心となって繰り広げるショートミュージカルです。桃太郎から竹取物語、そして不思議な国のアリスへと展開していきます。ミュージカルのストーリーに触れるのはどうかと思いますのでそこは割愛で。名前は失念いたしましたが(失礼!)アリスを演じていた踊り子さんの存在感が際立っていたことだけは覚えています。そしてショー全体が非常にきっちりと仕上がっており、この舞台を踏むまでしっかり稽古を積んできたことを十分伺わせる出来栄えだったと思います。
2. 愛川ユキさん
前のステージが終わり暗転するや否や、アナウンスなしに次のステージへと進みます。ちょっと戸惑いましたが、夢見心地を解かないという点ではなるほどと思わせる構成です。暗転されたステージからブルーライトに照らされて愛川さんの登場です。凄く細身の方でシルエットも映えます。裾広がりの青いロングドレスを纏い、水色の大きな羽扇子を羽ばたかせて優雅に舞います。二曲目は青のビキニにパレオ姿でスピードに乗ったダンスで魅せ心地よいです。それから全身フリルの塊のようなロングドレスでベットに入ります。ウルウルと輝く瞳の美しさが印象的でした。
3. 青井りんごさん
パープルの丈の短いパンツドレスで登場です。コミカルなショーダンス色の濃いステージで舞台をぱっと明るくさせます。目鼻立ちがくっきりしていて、エキゾチックな雰囲気をもつ踊り子さんです。二曲目は勢いをつけ上半身露な姿で舞われます。ベットでは膝立ちで天を仰ぐ様なポーズで見せた、菩薩様のような優しげな微笑が印象的でした。
4. 綾瀬ナナさん
お目当てさんです。前作の未来戦隊から趣向を変えて、リオのカーニバルを意識したような演し物でした。華々しい渋谷道頓堀のこけら落しに華を添えるようなナイスな趣向だと思います。オレンジのビキニ姿で登場です。頭には大きな、ナナさんの顔の二倍ぐらいあろうかという羽があしらわれています。ティラナの青い宝石が目を惹きます。華やかな衣装に合わせた曲は、これまた劇場で(個人的に)よく耳にする曲を二曲つなげたものでした。しかも気のせいかテンポがやけに早い気がします。さすがのナナさんも初日ということもあってかちょっと足取りが不確かでした。二曲目もおなじみの曲です。確かに「サンバ」、「マンボ」と続きます(笑)。さあ次はどうくるのかなと思ったらベットでした…。やっぱりちょっと短いなあ。腕抜きに一本の大きく暖かそうな白い羽ショールを肩に掛け登場します。う〜ん、髪の毛を切られてさらにボーイッシュな感じが増したのに、これまで観たことのないような大人の色気が全開のベットパートでした。こんなに艶めかしい雰囲気を醸し出されるナナさんを目にするのは初めてでした。この日は全員ソロで、ナナさんのキュートなトークが聞けなかったことだけが心残りです。
5. 相沢かれんさん
琉球王国のお姫様といった出で立ちで登場です。からし色に鮮やかな刺繍の入った着物に目を惹くパープルの帯を召されています。両手には打ち木を持ち優雅さを引き立てます。真っ赤な大きな笠もインパクトあります。美人で華のある踊り子さんです。最後まで琉球民謡に統一されていたこだわりにも好感が持てます。
6. 特別企画「ザ・キャット」
一時間近く続く長編大作ミュージカルです。さすが十八番の一作だけあって一つのレビューショウとして完璧に仕上がっています。こちらも詳述は控えますが、何人もの踊り子さんが登場したにもかかわらず、みな存在感がありさすがだと感心させられました。その中でも異彩を放っていたのがやはり道劇トップの藤繭ゑさんです。まず「ストリップ」の本来の趣旨とはずれてくるかもしれませんが、演技力は卓越しています。演劇の心得があるのではと推察させるほどです。そして立居振舞に迫力があるのです。その視線には相好を崩すというよりどうにも抗い様なく吸い込まれるような独特の力があります。ぐいぐい惹き付けられる魅力があるのです。フィナーレは道劇チームがなんと客席に降りてきて観客一人一人と握手するという、心憎いほど琴線に触れる感動的なものでした。道劇チームも仲良さそうで観ていて微笑ましくなります。どうか彼女らにこの東京の地でも幸多からんことを。
(このレポートは、Fu-maさんのご好意により、掲示板から転載させていただきました。)