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2001年9月26日(水)ワラビミニ劇場 by Fu-maさん

〜篠崎ひめさん考〜

2001年9月26日 ワラビミニ劇場
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篠崎ひめさん考
初めてお会いしたのは天満東洋ショー劇場だろうか。黒い厚めの扉を開くとロビーでの酒池肉林とは好対照な劇場空間がそこに広がる。本舞台が深い。花道が果てしなく長い。関東で似たような劇場を探すと…。ない。若松、川崎をはるかに凌駕するキャパ。そこにぴったりと客が詰めかける。立見席からは踊り子さんの顔が見えないほどだ。「浅草ロック」はこんなところなのかもしれない。未だ見ぬ地に思いをめぐらす。
鳴り物はない。リボンもない。拍手だけがやけに大きく場内に鳴り響く。寂しい。応援はせず、静かにメモをとる事が多い私でもそう感じる。ましてや応援さんは、と思ってしまう。ステージがクライマックスを迎え、場内のボルテージは最高潮に達する。そんな中、盆での大技が決まり客席に背を向け花道を一歩一歩進む踊り子さんを追い押すような勢いで、大勢の客が上手下手の通路を走る、走る。再び舞台に現れた舞姫に向かって客引きよろしく必死の手招き。凄まじいポラ争奪競争だ。踊り子さん、アナウンスの健気な売り込みについつい同情して財布に手という場面が大多数の関東との違いに新鮮さを感じた。ストリップ劇場というより厳戒態勢の敷かれたアイドルのコンサートといった方が近いような印象を受けた。きらいではない。ただ正直、若干の息苦しさを覚えた。と同時に、この「アイドル」たちはいわゆる「ストリップ小屋」ではどんな演舞を魅せるのかが急に知りたくなった。中でも東洋で有名女優を凌ぐ人気を誇り、遠めにもその舞台がもっとも印象深かった篠崎ひめさんに照準を合わせた。
向かった地は「ワラビミニ」。都心からもそう離れていないJR京浜東北線蕨駅のホームに降り立つ。駅前のロータリーから短めの大通り商店街が続き、脇にも店が連なるが、正直「街の顔」は寂れていると言うより他ない。正面左に入ると蕨OS、右に進むとワラビミニ、二つの劇場がしのぎを削る。豪快な料理が印象的なステーキとカレーの店「光」(虹歩さんのサインがあったりする)を越えてすぐの雑居ビルに赤い看板が光る。以前は外国人専門だった時もあったが、最近は人気者の名もよく目にする。階段を上がると二階に門番のように男性が座っていて、さらに昇り三階のテケツを通り、もぎりの隣の立て付けの悪い小さな扉を抜け、場内へと潜り込む。いつ来ても本当に狭い。ワンルームマンションの一部屋ぐらいしかない。気の利いた照明設備はないに等しく、全体的に薄暗い光が場内を包む。盆は二畳ほどの板敷きで、申し訳程度に古ぼけたカーペットが敷かれる。本舞台も狭い上に中央が花道とずれており、踊りにくそうなことこの上ない。客層はいわゆる「埼玉ストリップ」に馴染んできた人たち。何から何まで東洋とは対照的な場末の果てのような小屋。本当にあの時目にした篠崎ひめさんがここに現れるのか、香盤表を目にしても半信半疑は続いた。
彼女は現れた。暗転が解かれると、ホワイトエンジェルがワラビに降臨した。あの時東洋で目にした元気いっぱいの姿はそのままだった。一曲目はその姿で跳ねる、跳ねる。彼女独特の「弾けた」ダンスだ。好みは分かれるだろう。私が惹かれるダンシングステージとはまさに好対照を成すので、ちょっと戸惑うといわざるをえない。場内からも苦笑がもれる。だが、二曲目が圧巻だ。男物の純白なワイシャツにブラックのネクタイをラフに締めた姿で登場する。荒いステップは消え、すっと前に進み出ては軽々と頭上に向け蹴り上げる。本舞台端の柱、全面のミラーなど、貧弱ながら特徴的なミニの設備を最大限に活用する。すっとした美人顔になり、洗練され、なおかつ深みを感じさせるステージを構成する。その姿のまま、ベットパートへ。ベットパートの数分間、非常に濃密な時間が過ぎる。ワイシャツを脱ぎ捨て一糸纏わぬ姿で、ネクタイ一本だけを用いて物語を作り上げる。「ワラビ」の観客を極めて自然な形でその世界にいざなう。ラストはハイLからしゃちほこ、三点ブリッジなど大技を決めて、「ワラビ」の観客から大拍手を引き出す。ポラではまたまた弾けたキャラクターに驚かされたり…、でも受け答えはしっかりしていてちょっと安心したり…。
関西のスーパースターであり、かすかながら私が好むステージとは平行線をたどるだろうこともあり、今後お会いするチャンスはなかなか無いかもしれない。でも、私は確かにワラビで、一人のプロのストリッパーに出会った。ふらりと立ち寄ったどこかの小屋で、そんな気概にまた触れたい。

(このレポートは、Fu-maさんのご好意により、掲示板から転載させていただきました。)

 

repotai@freeml.com