3つのスペイン風舞曲

P.ラコム 作曲
A.モルラッキ 編曲
 ラコムは1837年3月4日に生まれ、1920年12月12日逝去したフランスの作曲家。主にオペレッタの作曲家として認識されているようですが、管弦楽でも「月光組曲」「古代組曲」を、また他に室内楽曲、ピアノ曲、200を超える歌曲を作曲しています。

 本曲は本来ピアノの為の作品として作曲されましたが、ミラノのマンドリニストであり「山吹く風」等のマンドリン曲の作曲家でもあるモルラッキによって編曲されて以来、各地の団体にて演奏されるようになったと言われています。

 同じくラコム作−モルラッキ編の代表作として「組曲“ジプシーの乙女”」(原曲は同じくピアノ曲)がありますが、民族的なテーマ・フランス的な洗練さ・イタリア的なロマンチシズムが混在したところは、本曲とも共通した魅力と言えるでしょう。


1. Bolero
 「ボレロ」は1780年ごろスペインの舞踊家S.セレソによって創作されたと言われる、カスタネットの伴奏を伴う3拍子の舞曲です。M.ラヴェルの作曲したものがあまりにも有名ですが、本曲はまさにフラメンコを思わせる情熱的な舞曲です。

2. Andalousa
 冒頭ユニゾンによる鮮烈なリズムの後、ギターの坦々としたリズムに乗って歌われる哀愁漂うメロディーは、まさに「アンダルーサ」いわゆる“アンダルシア風”の憂いと空気感に包まれています。

3. Zorzico
 「ソルツィーコ」は、スペインとフランスにまたがるピレネー山地西方に居住する、バスク民族の舞曲です。6/8拍子ながらも独特なリズム感を持ち、“前のめり”の印象を与える激しく華やかな舞曲です。