●用意シュ〜ト〜・サッカー5
「1対1の守備」
1対1の守備を考える。
サッカーにおいて1対1の守備とは
どういう理論で成り立っているのか。
大原則から考える。
サッカーで勝利を得るためには、
自己のチームが、失点よりも多くの得点をすることである。
そして、失点を防ぐためにはどうしたらよいか。
それには、まず、得点を容易に取れる状況を
極端に考えることが有益であろう。
そこで考えると、
得点を取るための必要かつ十分条件としては、
@より相手ゴールに近い位置へ行き(ゴールライン)
A可能な限りゴールの枠内へ行き(ゴール中央)
B可能な限り静止した状態で
C可能な限り静止したボールを
Dシュートすること
といえる。
1対1での守備はこのような状態を作らせないこと、
そして、可能であれば広義の守備を終了させること、
さらには、狭義の攻撃に移れれば
得点を得るという利益が得られる可能性がある。
少なくとも、1対0、換言すれば、広義のスペース、
つまり、シュートを打ちボールが
ゴールへと運ばれる空間
を作らせないことにあるのが原則となる。
しかし、これはあくまで原則である。
マッチアップする相手の能力が秀でている場合は
容易に広義のスペースを与えてしまうこととなる。
そこでそのような場合を想定して
先述のストッパー、スイーパーの長所、短所を基準に
優先順位を考えなければならなくなる。
まず、(a)
@より味方ゴールに近い位置へ行かせない
A可能な限りゴールの枠内へ行かせない
ことが必要である。
そのためには、
なるべくゴール中央と相手選手を結ぶ
ライン上に立ち、カベを作ることである。
優先順位としては
(ア)正面立ちでカベを作る
(イ)斜め向きでカベを作る
(ウ)ライン上に入る
(エ)何とか視界に入る
となろうか。
次に(b)
B可能な限り静止している状態で
C可能な限り静止しているボールを
持たせないことが重要である。
そのためには、
出来るだけ相手との間合いを詰めることである。
優先順位としては
(ア)前を向かせない
(イ)すぐボールを取れる位置
(ウ)自分の間合い
(エ)後ろを取られない
となろうか。
最後にDについての優先順位は、
(ア)シュートを打たせない
(イ)シュートを体に当てる
(ウ)シュートをゴールの枠に入れさせない
(エ)シュートを打たせるコースを限定する
となろう。
以上から、
1対1の守備は、
ストッパー、スイーパーの長所、短所を基準に
監督の理論、選手の能力、試合の状況
マッチアップの相手選手などに応じて
どのように調和させるかを考えなくてはならない。
1対1については以下のような留意が必要である。
まず、1つ目である。
それは上記の1対1についてオフェンスは理性的一般人、
相当な能力者を想定している。
しかし、実際、試合中においては
相当な能力者であっても理性が減退していることはある。
つまり、みずからドリブルでボールを奪われにくる者もいる。
したがって臨機応変な態度が必要である。
次に、2つ目は、駆け引きである。
オフェンスはディフェンスを抜かなければ1対0になれない。
よって、オフェンスは早めに1対0になりたいと思っている。
そこで、オフェンスは早くディフェンス抜きたくなる。
そうなると、
ディフェンスにとってはボールを取りやすい状況になる。
逆に、ディフェンスは、オフェンスからボールを奪わなければ
(広義の)守備は終わらせられないのである。
よって、ディフェンスは早く(広義の)守備を終わらせたい
と思っている。
そこで、ディフェンスはボールを取りに行きたくなる。
そうなると、
オフェンスはディフェンスを抜きやすくなる。
ここにオフェンスとディフェンス、それぞれの悩みが発生し、
そして、いわゆる我慢比べが必要となる。
ここにサッカーの奥深さがあるのである。
このサッカーの奥深さに花を添えるのが
オフェンスが行うフェイントである。
このフェイントの多くは、
ディフェンスを抜くためにするのではなく、
ディフェンスにボールを取らせたいという
思いを抱かせるために行うものである。
ディフェンスは、このオフェンスのフェイントに対して
いかに我慢が出来るかにある。
そして、3つ目は、
1対1では、オフェンスは相手を抜いたと思った瞬間が
1番ボールを取られやすい。
これと同様に、ディフェンスも相手から
ボールを奪ったと思った瞬間が
1番相手に抜かれやすいのである。
これがディフェンスにとっては一番の恐怖である。
しっかり(広義の)守備が終了したところまで
集中力を維持しなければならない。
そして逆にいえばディフェンスは
あえてオフェンスに抜けたと思わせて
ボールを奪うということも可能である。
このようなディフェンスは悩みを抱え、
そしてこれらの悩みを迅速に処理する能力を
養わなければならないのである。