本多 巳佐子

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月光譚 - 幻奏 -
月がとても美しく見える入り江がありました。
満月の夜になると、銀の舟が静かに波間をたゆとうていました。
月光をあびて、きらきらとした銀の影をおとしていました。
そして月光がその入り江にとどかなくなる頃には、
いつのまにかいなくなっているのです。
 
それは月光の記憶だろうか、それとも月がみる夢だろうか・・・
満月の一夜だけ、月は美しい幻想を奏でてくれる。

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