ホログラムインスタレイションin.Finland
By Setuko.Isii

これはホログラムアーティスト石井勢津子氏の展覧会へ西松建設、日東紡音響エンジアイアリング(株)
と供に参加した天山の記録です。
このレトレッティーアートセンターというのは日本で言えば国立美術館にあたります。
一階の建物と、地下の人工空間で構成され地下には自然の岩盤の反響を利用した
オペラハウスまであります。
5月の開館レセプションには大統領などが参加し大きなイベントでありました。
このとき地上一階では大規模なピカソ展が開かれ、(日本ではわずかにしか展示されないが
百以上のピカソ作品が展示されたらしい)
その地下で石井勢津子がインスタレイションを行いました。
だから、この展覧会をバックアップした西松建設、神戸大学によれば
国家レベルのイベントであったそうな。

この写真は準備模様の写真です。

これは入ってすぐの全体像です。

地下にある池に水滴を落とし事によってホログラムの画像が揺れ、
水の波紋が光になり作品に描かれて行きます。

まるで球形に見えるこの作品はまったくの円の平面に描かれたもの。
まわりを囲む光の帯(デュポン社供出、燃えない紙)の間にある
惑星のようで、とても美しい光景でした。

見える角度によってこのように欠けた感じにも。
周りを取り巻く光の帯はゆっくり消えたりついたり
その光の増減もPCで制御され、
また光る部位がランダムに常に変わるため
とても不思議な空間でした。
* 余談です *
この空間の天井に8個のスピーカーをつなげ、ある一定の時間で音が移動していくように設定しました。そして小さな作品群のところではOSS(疑似3Dサウンド)音が階層状にあるように設定し、また小さな池の前では音が飛び出してきたりするような、いわば立体の音空間をこの石井勢津子の空間に設置してきた訳です。
機材やPC制御は日東紡音響エンジニアリング(株)が手がけ、僕はその音楽というか、音を制作したのです。
僕は現地にいったのですが、音楽家が行くというのも珍しく、なにもする事はないし、ずっと遊んでいられるだろうとタカをくくっていたのですが(笑)
石井勢津子氏がやはり現場での調整をという事になり、隣の地下オペラハウスのサウンドクラフトの卓を借りてきて現地でミックスのし直しをしました。
日本では無響室にて石井勢津子氏のイメージに合うよう音を調整しましたが、たいへんだったですよ(笑)
疑似3D音響は動くところがカッコ良いのだけど、それは全て否定されたので、色々物理的なワザを使って階層状にしたり、かなりの試行錯誤を繰り返したので、どのくらい調整したか検討もつきません。
努力のかいあってか、結果石井勢津子氏には気にいってもらえたから良かったけど、そのプロセスは僕にとっても良い経験だったのです。
彼女の持論によると、アートというのは表現されている作品には、深い背景が必要だとの事。
表現されている部分は氷山の一角にしかすぎないのだそうです。
確かに出来てしまえば簡単な音も、沢山の中からセレクトされ、そして磨かれて、結果ものすごくシンプルな形になるので、表面上の真似は簡単でしょう。
しかし、プロセスを踏んでいなければ出来ない事というのも沢山あります。
この時はそれを感じる事が出来た素晴らしい体験であったと思います。
特に良かったのは僕は完全な芸術という感じで音楽をやってきた訳ではないから、自分の中で自分がやってる事がアートだと感じる事が出来たのはこの時初めてであったような気がします。
僕の中では音楽とアートは常に別なものであったのが、この時いっしょになりました。
僕は石井勢津子氏より、芸術という概念を教わった気がし、また新たな世界が自分の中で動き出すのを感じ始めていました。
世界中でやってる芸術家、僕にも音の展覧会を開催する事を盛んに勧めてくれました。
さすがにそれはどうなるか分からないけれど、いつかやってみたい事の一つになったのは確かです。
もっと余談ですが、僕はこのときフィンランドの雑誌や新聞に石井勢津子とミュージシャンTEN-ZANとの出会いという形で紹介され、僕の気功のための音楽もこちらで販売しております。
どんな事にせよ、僕にとって最高の経験になった事は言うまでもないようです。 |
もどる