TT(S3含)のエンジンは1800ccで馬225頭分ということで,すでにAudiによってだいぶチューンが施されています。
ですので,ただでさえマージンを少し削っているので,コンピュータチューンをしても馬250〜255頭分くらいのとこが多いです。
ドイツ本国では馬290〜310頭なんてのも出ていますが,これはタービン等周辺も替えてのこと。
マージンを考えるとやはり一割増くらいが妥当といったところでしょう。
コンピュータチューンをやっているのは有名どころでイシカワエンジニアリング,SPORTEC,MTM,ABTといったところでしょうか。
今回,その中から選んだのは,馬25頭増のABT EDaS(Elektronisches Daten System)*。
地元ということもあって何かあったときにすぐに対応してくれそうというのが理由で,まだ発表間もないので誰もやっていないというのもあります。
またドイツ国内ではVW・Audi正規ディーラーでしか販売されていないもので,そういった点でも安心できます。
最終的なセッティングはドイツDTMドライバーのクリスチャン・アプトがしているよう。
でも,日本仕様にも乗っているのかな・・・。
一般道・高速道合わせて約1000km走りましたが,幾分どっかんの印象は薄くなり,下から上まできっちりと仕事をしてくれる感じ。
今までだとアクセルを踏み込んでも,ほんの少しの間をおいてターボが仕事をしだす感じで,ターボが仕事をしていても車体は思ったほどついていかないくらいでした。
しかし,今はそんな感じもなく,きちんとスピードと車体がついていってる感じがします。
もともとが圧倒的なスピードを求める車ではないですし,求めてもそんなスピードを出せる車でもないですので,気持ちと車速感が一致している今くらいがちょうどいいのかなぁと感じています。
圧は今までだとMax0.8〜1.0くらいだったのが1.5くらいまで上がり,1.0〜1.3保持といった具合。
速さは確かに体感できますが,けっこうタービンに負担がかかっているような・・・。
ただ,年式の違い(APXとBAM)でもともとのエンジンの味付けがだいぶ異なっており,APXは昔ながらのどっかんターボ風でBAMはNAのような出力特性になっています。
EDaSを施したとはいえ,その特性は基本的には変わらないです。
出力曲線でいうとカーブをそのまま嵩上げした感じで,マイルドなエンジン特性のBAMをAPXのようなどっかん風にしたり,その逆のようにしたりはできません。
実際の速度はほとんど変わらないでしょうが,体感的にAPXのほうが速いようです。
ABT TTはBAMで,ABTの人は「乗り比べてみるとAPXのほうが速い」と言っていました。
80000〜250000円と価格差はありますが,どこのでもディーラーのコンピュータ診断でエラーが出るようなことはなく,そういった点では安心です。
しかし,メーカーが膨大な時間とお金を費やして研究した結果のデータを替えることになるので,リスクはそれなりに伴うことは考えなくてはけません。
それはECUに限ったことではありませんが。
このEDaS,残念なことに今のところ('02.10現在)ABTへの車両持ち込みが基本です。
将来的には全国的にABTショップを作ったり弁当箱を送ったりするだけでEDaSを施すことも考えているようです。
コンピュータチューンというチャレンジャーなことですので誰にでもオススメできるものではありませんが,ボク個人的にはEDaSは気に入っています。
くれぐれもコンピュータチューンはリスクが伴うことをお忘れなく。
*EDaS: 車輌についているECUや基盤についているROMに直接書き込まれるのではなく、別のセキュリティのかかった基盤にデータを書き込みその基盤をECUに取り付けます。
書き込む際にはPC画面上でユーザーさんのお名前、住所などの個人的データ、車輌の車体番号、登録番号、EDaS施工時の走行距離等を入力した上で書き込みされます。 そしてそのデータは当社とドイツ本国アプト社で保管管理されています。(保証のため)(ABTな人談) |
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