環境倫理学のすすめ

  丸善ライブラリー(新書)640円 H3.12.20発行

第1章 環境倫理学の三つの基本主張
第2章 「中之島ブルース」---または人間に対する自然の権利
第3章 世代間倫理としての環境倫理学
第4章 地球全体主義
第5章 日本の使命
第6章 人口と環境
第7章 バイオエシックスと環境倫理学の対立
第8章 ゴミと自然観
第9章 世代間倫理と歴史相対主義
第10章 未来の人間の権利
第11章 権利はどこまで拡張できるか
第12章 アメリカの自然主義と土地倫理
第13章 生態学と経済学
第14章 再考、再興、自然主義!

境倫理学の3つの基本主張


  1. 自然の生存権の問題
    「人間だけでなく、生物の種、生態系、景観などにも生存権があるので、かってにそれを否定してはならない。」
    これには、種の保存(種の多様性)、動物の権利、人間の権利概念・権利主体から、当事者適確などの問題があります。また、生命倫理学との基本概念の相違なども問題となっています。
  2. 世代間倫理の問題
    「現在世代は、未来世代の生存可能性に対して責任がある。」
    これは、現代社会が共時的決定システムを採用していることから、未来世代の権利などに対して現在世代が何をなし、何をすべきかについてが問題となっています。 現在世代の私達が、石油を消費すればその分未来世代が使用する量が減少します。 私達は、未来世代に対して責任を持つのか、その理由はなにか、そして何をなすべきか。その基準を作ることが必要です。
  3. 地球全体主義
    「地球の生態系は開いた宇宙ではなく閉じた世界である。この閉じた世界では、利用可能な物質とエネルギーの総量は有限である。そのなかで生存可能性の保証に優先権が有る。しかも、次の世代に選択の形だけを与えるのではなく、現実の選択可能性を保証しなくてはならない。すると、この原則を守るために、他の価値を犠牲にしなければならなくなる。配分の問題が正義にとって根本の問題となる。」

自然の生存権の問題
人間における権利とは。 「(1)判断力のある大人なら(2)自分の生命、身体、財産などあらゆる(自分のもの)に関して(3)他人に危害を及ぼさない限り、(4)たとえその決定が当人にとって不利益なことでも、(5)自己決定の権限を持つ」(倫理学の基礎 加藤尚武)と要約される。
自由経済と民主主義社会が現代社会の基本的構造であるとすると、その社会の中で環境倫理学の可能性を考えてみる。
多数決原理についての限界「多数決原理を採用している場合、多数決原理が制約される場合として(1)反社会的な内容、(2)少数意見者の立場が過酷な場合に無効なる余地があり、(3)多数意見による活動の内容、性質と構成員の協力の内容、程度、様態等の兼合いから構成員の協力義務の範囲に限定を加える必要がある。」 (行政判例)  
なぜクジラは食べていけないが、牛はたべてもよいのか
動物の解放について
 P.シンガーの「平等な道徳的配慮の原理(equal moral consideration)」
リーガンの「固有の価値(inherent value)」と「権利」
動物の権利(The Animal Rights)について