夜。
静寂が時を支配する。狂星は生まれてしまったが、天はまだ星々が支配している。
星々の篝火と抜けていくそよ風だけが優しく夜を満たしている。
陽が昇ればまた激しい戦いが待っていたとしても、せめて今夜は優しく自分を包んで欲しい。
安らかな眠りへと誘って欲しい・・・そんな静かな夜だった。
小さな泉のほとりにティファは一人佇む。
心なしか疲れているようにみえる。美しい星空にまるで気にも留めていない。その視線は流れ落ちる水だけに注がれている。
やがてゆっくりと左の手袋を脱ぐ。
(ウッ・・・)
ティファの顔が苦痛に歪む。手袋を脱ぐのさえ苦痛を伴う。
左手を見ると人差し指の付け根あたりが明らかに真っ赤に腫れ上がっている。そっと右手で撫でてみるが、それだけで痛みを感じる。
身を屈め、左手を清流の流れに浸す。
(気持ち好い・・・)
清流の冷たさが左手の痛みを一時的でも忘れさせてくれる。何の苦痛も無い事がこんなに幸せな事だったのかと思わせる。
出来ればずっとこうしていたい・・・ティファは思わずそう思った。
しばらくしてティファは左手を引き上げる。かなり痛みは和らいだ。今夜はこれで眠れそうだった。
だが、それは気休めに過ぎない事くらいティファにも分かっていた。
明日になればまた苦痛が自分を苦しめるだろう事を。戦いがどんなに辛いものになるかという事を。
そして苦笑しながら呟いた。
(やっぱり私はまだ半人前なんだわ・・・拳を痛めるなんて)
ティファは己の拳を見ながら呟いた。
(でも、戦わなくちゃ・・・)
再びティファは清流の中に左手を晒した。
それは数日前の事だった。
いつものようにモンスターに遭遇し、ティファは戦った。モンスターは決して手強い相手ではなかった。
それが一瞬の油断を生んだのだろう。
モンスターを仕留めたと思い、気を緩めた次の瞬間、モンスターの最後の一撃がティファを襲った。
ティファは咄嗟の判断でそれをかわし、左で強烈なパンチを見舞った。
彼女のパンチは完全にモンスターの息の根を止めた。
だが、彼女の攻撃は無理な体勢から繰り出されたため、正確に敵を捉えてはいなかった。彼女の拳にもまた強い痛みが走った。
彼女は左手の拳を痛めてしまった。それはかなり重傷のようだった...。
それから何度かモンスターとの戦闘があったが、ティファは痛みに耐えながら戦い続けた。
これくらいの痛みなら耐えられると思った。左手を使わずとも戦えると思った。
だが、それは左手の怪我を悪化させるだけしかない。
今日になっても痛みは引かず、更なる戦いで痛みはますます酷くなっていた。
(クラウド、あなたは何処にいるの...)
悲劇的な事ばかりが続いてしまった。
エアリスを失い、そしてクラウドは竜巻の迷宮で今や行方知れずで生死も分からない。
そしてメテオが生まれた。この星に生けるもの、いやこの星そのものの危機が迫っている。
これからは時間とも戦わなければならない。
これまでは仲間の中でも戦いに対する意識には微妙な温度差があったかもしれない。
だが、星の危機という現実を前にして今、全員の意識は完全に一致していた。
みな今まで以上に自分達に課せられた使命を感じ、懸命に星を救うべく戦い続けていた。
ユフィでさえ進んで戦いに身を投じるようになっていた。
そしてティファも・・・いや、彼ら以上に彼女は戦い続けた。それは痛々しいくらいに。
責任感?・・・確かにそれもある。
でも、本当はそれ以上に戦う事で全てを忘れていたかった。
(みんな私が真実を隠していたからなのかもしれない...)
すべては自分が真実を隠していたからではないかとティファには思えてくる。
クラウドに正直に話していればこんな事にならなかったのかもしれない。
自分の心の弱さ故にクラウドを苦しめ、己を失わせてしまった事。・・・もしかしたらエアリスだって死なずに済んだかもしれない。
クラウドに真実を話していたら・・・クラウドを失う事になったかもしれないが、クラウドとエアリスは出会う事も無かったかもしれない。
それは確かに結果なのかもしれない。
それでもティファにとって、全ては自分の弱さが引き起こした事に思えて仕方がなかったのだ。
ティファは今、クラウドを探し続けている。
しかしそれがまたティファにとっては罪の意識に苛まれるのだった。
(クラウド、あなたは何処にいるの?)
(ごめんなさい・・・私、弱かった。恐れていたの。でも、それがあなたを苦しめてしまった...)
(でも、私信じてる。あなたが本当のクラウドだって。私、そう感じるの)
(あなたに会いたい・・・今度こそ真実をあなたに伝えたいの。私、もう恐れない。だから...)
ティファは今は一生懸命戦い続けるしかないと思っていた。今の自分にはそれしか出来ないのだからと。
・・・そんな意識が無理をさせていたのかもしれない。
それでもティファは痛みを隠した。今こそ戦わなくてはならない時だから。
ティファはいつものように振る舞った。モンスターとの戦闘でもいつものように戦った。
極力左手は使わずに戦うようにしていたが、それでも自然と力が入ってしまう。
戦いは痛みとの戦いでもあった。
そして夜は人知れず左手を癒すティファの姿があった...。
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ある朝、ティファは微かな振動と共に目覚めた。
覚醒し切っていない意識の中で彼女は窓の外を見る。外は明るく、流てゆく雲が見える。
(飛んでいるのね・・・)
ぼんやりとそう思いながら眼をこすったが、次の瞬間、ティファはハッとした。
(え!?)
隣のベッドを見る。ユフィの姿は其処には無かった。
(いけない!寝坊した!?)
その瞬間ティファははっきりと覚醒し、ベッドから飛び起きた。慌てて服に着替え、司令室に走った。
司令室へ向かう途中の廊下でユフィの姿を見つけた。いつものように気分悪そうに座り込んでいる。
「ユフィ」
「あ・・・ティファ!お早う...」
すぐさまティファはユフィに問いただした。
「ユフィ、出発するならどうして起こしてくれなかったの?」
「うん・・・それはさあ・・・バレットが『起こすんじゃねえ』って言うもんだからさ・・・。
おいらは起こそうとしたんだよ。でも、『今日はゆっくり寝かせてやろうぜ』って言うからさ...」
ユフィは困惑気味にそう答えたユフィもその理由を分かってはいないようだった。
(バレットが!?...)
「そうだったの・・・ユフィ、ごめんなさい」
「分かってくれればいいよ。でも、何でバレットは今日に限ってそんな事言うんだろうね?」
「私、これからバレットに聞いてくるわ」
ティファはともかくも司令室へ向かって走った。
司令室のドアを勢い良く開けると、仲間達はみんな司令室に集合していた。皆その音に振り返った。
「あれ!ティファ、疲れてたんじゃないの?」
ナナキが驚いたように声を掛けた。
「俺もバレットからそう聞いたぜ、もう大丈夫なのかよ?」
シドもティファが起きて来たのが意外そうだった。
バレットが口を開く。
「なんだ、もう起きちまったのか」
「バレット、これどういう事なの!?私を起こさないようにユフィに言うなんて・・・それにみんなも...」
「...ああ、俺はユフィにそう言った。みんなにも『ティファは疲れているから寝かせてやろう』と言った。全て俺の判断だ」
「どうして?私疲れてなんかいないよ」
「やれやれ...」
バレットは首を振った。
「ティファ、そいつはお前さんが一番分かっているんじゃないのか?」
「分からないわ!私は戦えるし、疲れてもいない」
ふうっ、とバレットは溜息をついた。
「・・・ティファ、ちょっといいか?」
そう言うとバレットは司令室から出ていった。ティファもそれについていった。
「何処に行くの?」
「まあ、ついてくれば分かる」
ティファにはバレットの意図が全く分からなかった。とにかくついていくしかなかった。
バレットは小さな部屋に入っていった。
「ここは...」
その部屋は医務室だった。
(バレットは私の怪我に気付いたの!?)
だが、逃げる訳にもいかない。ティファは努めて心の動揺を抑えて医務室へ入っていった。
医務室の椅子に座り、バレットは口を開いた。
「ここならいいだろう。さあ、お前さんの言い分を聞こうじゃねえか」
「バレット、どういう事か説明して。どうして私に休養が必要なの?」
「だからその理由はお前さんが一番知っていると言ったはずだ」
「理由なんて私には分からないって言っているの」
「ふぅ...強情だな...」
ティファの言葉にバレットは首を振った。
「なら言うが、お前さんなら俺がこの部屋に来た理由は分かっているよな。・・・ティファ、お前さんは左手を使えるのか?」
ティファは一瞬ドキッとした。バレットはティファの危惧したように怪我に気付いている。
「左手?・・・使えるわよ」
「本当か?」
「ほら、この通り」
ティファは右腕をぐるぐる回して見せた。本当は激痛が走っている。それでもティファは懸命にそれを隠して平静さを装った。
「ね?何でもないでしょう?」
ティファは作り笑いをバレットに返した。
「そうか・・・ならこいつはどうだ!」
バレットは突然立ち上がり、左足でティファの左肘辺りにキックを見舞う。ティファは咄嗟に身体をねじり左腕でそれを防御しようとした。
ティファは不意な攻撃に防御の態勢を取ったものの、左手に強い激痛が走った。不意の攻撃に彼女は左手をかばうのを忘れてしまった。
強く握りしめる事に彼女の拳は既に耐え切れなくなっていた。
「ウッ...」
左手を押さえ、ティファはその場にうずくまった。
バレットの左足はその左腕の直前でピタリと止まっていた。
「やはりな...悪いが確かめさせてもらった」
左足を下ろしながらバレットは言った。
「・・・」
「お前さんとは長いつきあいだ。他の連中は騙せても、俺の眼は誤魔化せねえぜ。
この頃どうもお前さんの戦う姿に違和感を感じていたんだよ。ぎこちないというか、妙な感じがしていたんだよ。
それで昨日の夜、お前さんが一人で外に出るのを見かけて悪いが後をつけさせてもらった。
見ちまったんだよ・・・お前さんが泉で傷を癒しているのをな」
「・・・」
「ティファよ、お前一人で戦っている訳じゃねえんだ。無理をするな」
「バレット・・・私・・・・」
「クラウドがああなってお前さんが一番ショックなのは分かる。だがよ、自暴自棄になるんじゃねえ。まだあいつが死んだって決まった訳じゃねえんだ」
「バレット、クラウドは生きてる・・・私、信じてる...」
「なら、どうして。クラウドがいなくなってからのお前さんは明らかに変だったぜ。
まるで戦っている事でその事を忘れていたいと思わせるような戦い方だった」
「・・・」
「なあ、ティファよ、良かったらお前さんの心の中にあるものを話しちゃあくれねえか?
あんな事があって俺達だってお前さんの事を心配してるんだ。俺達に出来ることなら何でもするからよ」
短い沈黙の時が流れた。
ティファはようやく心を決めた。これ以上みんなに迷惑は掛けられない。私の中の心の鍵を今開ける時だと思った。
ティファは重い口をゆっくりと開いた。
「・・・私、クラウドの秘密知ってたの。クラウドの話す過去に嘘があるって私、知ってたの。
クラウドが時々変になるのも知っていた。クラウドが変だという事も気が付いていたの。
でも、恐くて言えなかった・・・だって私達と一緒にいたクラウド、絶対偽物なんかじゃないもの。
彼は本当のクラウド・・・私には分かるの。でも、どうして嘘を言うのか分からなかった。
・・・私本当の事言えなかった。それを言ってしまったら全てが嘘になってしまいそうで...」
ティファの眼から大粒の涙がポロポロこぼれた。
「でも、私の秘密がこんな事になってしまった。・・・エアリスは殺され、クラウドも自分を失ってしまった。
もし、私が本当の事をクラウドに告げてたらクラウドは自分を失わずに済んだかもしれないの。
それでクラウドが私達の前から消えたとしても、エアリスはクラウドに会わずに済んだんだわ。
そうすればエアリスは死なずに済んだのかもしれないの。そう思うと...私...」
涙が止まらない。後から後から溢れ出てきてしまう。
「私が口を閉ざしてしまったから...」
誰にも言えずにじっと心の奥底に封じ込めていた真実。
今、それを告白した事でティファの奥底に封じ込めていた感情も一気に解放された。
激しい感情のうねりが一気にティファに押し寄せてきたようだった。
「みんな私のせいかもしれないの。クラウドがああなってしまたのも、エアリスを死なせてしまったのも...」
ティファはバレットの胸で思い切り泣いた。全てを誰かに話したかった。誰かに聞いて欲しかった。辛かった。
「・・・そうだったのかい。苦しんできたんだな」
バレットは黙ってティファのなすがままにさせておいた。
(・・・思い切り泣くがいいぜ。お前さんの中にずっと隠していた気持ちを思い切り吐き出すんだ...)
ティファの辛い想いを受け止めながら、バレットは自分の中にまた同じように存在する想いに気付いていた。
(ティファ、お前には俺のような思いをさせたくねえ...)
やがてバレットはティファをそっと胸から離した。
「・・・」
ティファは黙ってバレットを見上げた。
「ティファ・・・そう自分を追い込むな。それはお前さんのせいじゃねえ」
バレットは静かにそう言うと、窓辺に歩いていった。
「ティファ、人間っていうのは悲しいものだよな。・・・何かあるとそいつを自分の過去に照らし合わせちまう。それで全てが自分のせいだと思ってしまうんだ。
俺もそうだった・・・ニブルがああなっちまったのは、俺が魔晄炉に賛成したからだってな」
バレットは窓の外の流れる雲を見ながら話し始めた。
「バレット・・・」
ティファは顔を上げた。
「結果から言えば確かに俺の責任だ。俺はそれでずっと苦しんできた。村の連中も俺のせいだと思っていた。
でもよ、もし俺が賛成しなかったら、どうなっていたんだろう?
魔晄炉は建設されなかったかもしれねえ。それでも、神羅はニブルに魔晄炉を作りたがっていた。結局は魔晄炉は建設されていただろう。
全ては可能性の話だ。結局現実は魔晄炉が作られ、あの悲劇が生まれた。俺の選択があの悲劇を導いた...」
「バレット、それは違うよ。結果がそうなっただけよ」
「じゃあ、お前の場合はどうなんだ?」
「私は...」
「つまりはそういう事なんじゃねえか?
俺の判断が今の結果を生みだしたのは確かだ。でもよ、別の選択をしていても結果は同じかも知れねえ...。
結局は分からねえんだ。別の選択をして結果が同じならそれでもやっぱり俺は自分のせいだと思うだろうよ。
自分が全ての原因だと思っていても、実際は自分の選択なんてそんなに大きな力にはなっていないのかもしれない。
考えてみな、もしお前さんが奴に真実を話していたら、俺達はこうして集まってはいなかったかもしれねえ。
セフィロスと戦う者さえいなかったかもしれない。
もしかしたら七番街の崩壊で俺もティファも死んでいたのかもしれないんだぜ。
俺達の選択は結局は罪なのかも知れねえ。それは背負っていかなくてはならないのだろう。
でも、それが全てじゃない・・・そう思えねえか?気休めかもしれねえけどな」
「...」
「ティファ・・・みんなお前さん一人で背負う事はないんだぜ。今度の事だってきっとお前さんのせいじゃねえ」
「バレット...私...」
ティファはようやく気付いた。同じように苦しんできた者が身近にいた事を。
バレット、そしてヴィンセント・・・彼らは自分の選択が結果を生む引き金になってしまった事に苦しんできたのだ。
決して彼らのせいじゃない。それでも彼らは苦しんでいる。それが自分の罪の証であるかのように。
彼らに比べれば自分にはまだ希望が残されている。いつかクラウドに会う事が出来るかもしれないのだから・・・ティファは思った。
「きっとクラウドは何処かで生きてるぜ。あいつがそんなに簡単にくたばる訳はねえ。
今はいろいろあってあいつも混乱しているかもしれねえが、そのうち俺達の前に現れるさ。『心配かけたな』って言ってな。
ティファ、お前もあんまり自分を責めるんじゃねえ。あいつだってお前のそんな姿を見たくはねえだろう?」
「...」
ティファは黙って頷いた。
「だからよ、いづれ帰ってくるあいつの為にもティファ、お前さんを傷ついたまま戦わせるわけにはいかねえ。
みんなお前さんの事を心配してるんだぜ。ああなって一番ショックなのはお前さんだってみんな知っているんだ。
それにクラウドがいねえ今、このまま戦い続けてお前さんにリタイヤされても困るんでな。
だからその左手の傷が癒えるまでお前さんには休んでもらうぜ。なあに、傷が癒えるまでの辛抱だ。
傷が治ればまたお前さんには活躍してもらわねえとな」
バレットはそう言って微笑んだ。
「バレット・・・ごめんなさい。私、自分の事ばかり考えていた」
ティファは自分が恥ずかしかった。結局自分の事しか考えていなかった。
みんなそれぞれに過去を背負い、引きずりながらも今は一つの目的の為に戦っているのに。
ティファは思った・・・自分の想いは消せはしないけれど、今はその目的の為に戦おう。
その為にはこの傷を治さなくてはいけないんだと。
ティファは左手の手袋を脱ぎ、バレットに左手を見せた。
「やっぱりな・・・想像以上だ。このまま戦っていたら本当にお前さんの左手は使い物にならなくなっちまうところだったぜ。
とにかく傷が治るまでは休んでいるんだ」
「うん・・・」
「といっても、ここには医者はいねえ。だからハイウィンドは今、ミディールに向かっている」
「ミディール?」
「あそこには良い温泉があるって話だ。あそこならお前さんの傷の治りも早いだろうと思ってな。それに医者もいる筈だ」
「バレット・・・ありがとう」
「いいって事よ。その代わり早く治してくれよな。そうでなくても人材不足なんだからよ。
それによ・・・あいつが帰って来た時にお前さんがそんな具合じゃ申し訳が立たねえからよ」
バレットはニヤッと笑った。
「うん、分かってる・・・今は治す事に専念する。私の為にも、みんなの為にも、そしてクラウドの為にも」
ティファも微笑んだ...。
ティファは自分の部屋で窓から外を見ている。左手には包帯が痛々しい。
眼下に見える大地に彼女はクラウドに想いを馳せる。きっとこの大地の何処かに彼はいるんだと思いながら。
そしてきっとまた会えると思いながら。
クラウド、信じてるよ。あなたが私達の前に帰ってきてくれるって。
私も今は傷を治す事に専念する。そしてまた戦うわ。
だってあなたが帰ってくるまで頑張らなくちゃいけないんだもの。
あなたが帰ってきた時、私達本当の自分でいたい。だから本当の事を言うね。
そしてあなたに誉めてもらいたい。『ティファ、よく頑張ったね』って...。
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あとがき
クラウドが行方知れずになった後のティファの事を書いてみましたが、上手く書けなかったような気がします。
この時のティファの心情をいろいろ考えると、きっと辛かったんだろうなあと想像してしまいます。
愛する人を目の前で失う。それも最も辛い形だと思えます。
自分の行動が思いもよらぬ結果に導いてしまう・・・他人からは偶然に見えても、当事者にとっては自分が全ての原因に思えてしまう。
そんな事は大小に関わらず誰にでもある事ではないでしょうか?
ティファの苦しみ、特にバレットとヴィンセントは良く分かっていると思います。
きっとティファの自虐的な戦い方を見て彼女を休ませようと言ったのは二人のうちのどちらかでしょう。
(僕はヴィンセントかな、と思っています)
この話の直後、ミディールでクラウドとティファは再会する事になるのですが、その時の話はいづれ書こうと思っています。