「セリス、今だ!」
ロックの声に応えてセリスはモンスターの懐に飛び込む。
ロックの攻撃に怯んでいるモンスターにセリスの剣は急所を的確に捉える。
断末魔の叫び声、セリスはモンスターの息の根を止めるべく更に剣に力を込める。
手応えは充分だった。剣先からモンスターの力が急速に失われていくのを感じ取れた。
やがてモンスターの抵抗する力が消えた。
セリスは気を緩め、返り血を浴びぬようにゆっくりと剣を引き抜く。
そして剣を鞘に収めるとクルリと身を翻し、ふぅと小さく息を吐いた。身体から緊張感が解放されていくのが分かる。
だが、モンスターは息絶えてはいなかった。次の瞬間、モンスターは最後の力を振り絞ってセリスに襲いかかる。
(クッ!)
セリスは咄嗟に剣を抜きモンスターに向ける。もはやモンスターには避ける力など無かった。自ら剣にその身を預けていった。
剣はモンスターの背中を貫いた。傷口からおびただしい鮮血が吹き出し、セリスに降りかかる。
モンスターはそのままこと切れていた。
だが...。
セリスが動かない。モンスターに覆い隠されて状況は誰にも分からない。
一瞬、仲間達の中に不安が走る。
「セリス!」
ロックがセリスの許に駆け寄る。セリスを救い出そうと懸命にモンスターの亡骸を引き離す。
跡にはうずくまるようにしているセリスの姿があった。
心なしか震えているようにも見えたが、とにかく無事のようだった。
「セリス、大丈夫か?」
心配そうに声を掛けながらロックはセリスの肩に手を置いた。
だが、セリスの反応と返事は想像もしないものだった。
「来ないで!」
セリスはロックの手を払い、うずくまったままそう叫んだ。彼女の身体は今は明らかに震えているようだった。
「セリス...どうしたんだ?」
「お願い、来ないで...私を見ないで...お願い...」
セリスは立ち上がると、そのまま顔を伏せるようにして森の方へ走り出した。そしてそのまま森の中へ消えてしまった。
「セリス...」
ロックはその場で呆然とセリスを見送っていた。
彼女の言動がショックだったのではない。咄嗟に出てしまった言葉であり行動なのだろうから。
ロックには彼女の言動が理解出来い自分がショックだった。
「おい、どうしたんだ?セリスは」
エドガーが尋ねるが、勿論ロックにも不可解な行動の理由も、彼女が何処に行こうとしているのかも分からない。
「分からない...俺、セリスを探しに行ってくる。彼女が心配だ」
「ああ、頼む。俺達は此処で待っている」
エドガーはロックの肩を叩いた。
ロックはそれに頷くと森に向かって歩き出したが2,3歩進んだところで振り返った。
「しばらくかかるかもしれない。みんな休憩していてくれ」
「・・・そうだな。気にせずに行ってくれ」
エドガーが答える。仲間達も黙って頷いた。
「すまない。必ずセリスを連れて帰って来る」
ロックはセリスを追って森の中へ入っていった。
仲間達は木陰で思い思いに休息を取りながら二人の帰りを待っていた。
「セリス、大丈夫かしら?・・・女の私も行った方がいいのかもしれないわ」
立ち上がろうとするティナを静止したのはマッシュだった。
「ティナ、セリスの事はロックに任せた方がいい」
「でも・・・」
「ロックが来ないなら、誰にもセリスを連れ戻せる事など出来はしないさ。
みんなそれが分かっているからこうして待っているんだ。ティナだって分かっているだろう?
モブリズの村の子供達とティナが互いにかけがえの無い存在なのと同じように、あの二人もそうなんだ」
「・・・」
ティナに脳裏に子供達の屈託のない輝いた瞳が浮かぶ。
「セリスの事はあいつが一番分かっている。だからあいつに任せるんだ」
「・・・そうね」
ティナは再び木陰に腰を下ろした。
(男の人を愛するってまだ私にはよく分からない。でも、ロックとセリスが愛し合っているのは私にも分かる。
だから、きっといつか私にも分かると思うの...)
モブリズの村にいる子供達はどうしているだろう・・・出来るなら今すぐにでも会いに行きたい。
きっと同じなんだ・・・ティナはそう思った。
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何処をどう歩いてきたのだろう。随分歩き続けたような気がする。
逃げたかった。自分の本当の姿を誰にも見られたくなかった。
身体に染みついた臭いを誰にも知られたくなかった。
特に愛するあの人には...。
セリスは気が付くと森の中の小さな小川のほとりにたどり着いていた。
水面に自分の姿を映す。顔には血は付着していない。だが、髪はモンスターの返り血で所々紅く染まっている。
それを見た彼女は全身にまとわりつく血の臭いを感じた。
身体中に血が付着して消えないような感覚に襲われた。
セリスは両手で水をすくい、懸命に手を洗い、顔を洗う。
だが、血の臭いは彼女の感覚の中から消える事は無かった。
(私の身体には血の臭いが染み込んでしまっている。・・・決して消えない深い傷跡のように。償うことに出来ない罪のように)
セリスの脳裏に悪夢が蘇る。
戦場。生と死だけが支配する空間。
その中で唯一人生き残り、おびただしい死骸が転がる戦場の中を歩いていた。
紅く染まった大地。むせ返るような血の臭い。
死骸には何も感じなかった。ただ、身体中に残る不快感だけがあった。
戦いはいつもそうだった。人を殺める事、人の死に何の感情も抱かない事。それが生き残るのに一番大切な事だった。
疑いが無かった訳では無い。それでも、自分が生き残るためにはそうするより仕方が無いのだ。
ましてや自分には戦う事が自分という存在を保証する唯一の方法。
生きている証しなのだから・・・そう自分にいつも言い聞かせていた。
やっとの思いで戦場を抜けると眼の前には紅い風景があった。
戦いには無関係だった筈の近くの小さな村は炎に包まれていた。
人々の叫び。大人も子供も全て焼き尽くす炎。
そこは死という言葉だけが存在する空間。地獄絵のようだった。
(私が戦う事は間違っていたの?あの村を守るために私は戦ったつもりなのに...)
戦う事でいつか平穏な時がやって来ると思っていた。信じていたかった。
そんな身勝手な想いは、この光景が偽りである事を彼女に突きつけていた。
セリスは自分の手を見る。炎に照らし出された自分の手は血で染まったように見えた...。
「見ないで...こんな私を...」
セリスは意識を失ってその場に倒れた。
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「う...うん...」
「セリス!」
どのくらい経ったのだろうか・・・セリスはようやく目覚める。
「セリス、大丈夫か?」
「あ、ロック・・・私は・・・」
セリスは起き上がろうとしたが、まだ頭がクラクラする。身体中に倦怠感が残っている。
「無理をするな。寝ているんだ」
「うん...」
セリスは再び横になった。此処は木陰のようだった。
(私は小川に来て、それから・・・ロックが此処に運んでくれたのね...)
身体には微かにぬくもりが残っている。きっとそれはロックの腕に違いなかった。
「驚いたよ。君を追いかけて来たら小川のほとりで倒れているんだから。
でも、良かった。何処も怪我はしていないようだし。心配したよ」
「御免なさい...身勝手な事をしてしまって...」
「いいんだよ。気にするな。みんなも君が戻るまで待っていてくれてる」
「ありがとう、ロック。ありがとう、みんな...」
セリスにはみんなの優しさ、ロックの優しさが私には言葉では言えないくらい嬉しかった。
自然に涙がポロポロこぼれ落ちた。優しさが凍りかけた自分の心を暖かく包んでくれるようだった。
「今はとにかく寝ているんだよ。身体が元に戻るまで俺は此処で待っているから」
ロックは微笑んで私の横に座る。そしてそっと手を差し出した。
「ありがとう、ロック」
セリスはその手をしっかり握りしめた。ロックの手から何かが流れ込んで来るような感覚を覚えた。
その何かは私の身体中を巡り、まるで血液のように私の中を満たしてくれていた。
とても暖かく、そして心地良いものだった。
「さあ、もう少しおやすみ」
ロックの言葉に頷いて私は眼を閉じた。眠るのは恐くなかった。悪夢はきっとやって来ないから...。
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悪夢を見る事は無かった。目覚めはとても穏やかだった。
横になったまま辺りを見回すと、ロックは焚き火の前で何かをしている様子だった。
こちらに背を向けているから何をしているのかは分からない。
(ロック、何をしているのかしら?)
「...これじゃ、少ないかなあ。もう少し釣らないと」
ロックはそう言うとその場を立って小川の方へ歩き出した。
彼の去った跡には焚き火と、その周りに木の枝に刺した魚が見えた。
(ロック、私のために...)
セリスは起き上がるまでにある決心をしていた。
やがてロックは焚き火の前に戻って来た。焚き火の前にはセリスが座っていた。
「セリス、起きていたのか!?」
「ええ、さっき眼が覚めたの」
「そうか。・・・気分はどうだい?」
「もう大丈夫。心配掛けて御免なさい」
「いいんだ。君が元気になったならそれでいい」
ロックはセリスの横に腰掛けた。
「そうそう、少しは元気になるかなと思って魚を釣って焼いておいたんだ。食べるかい?」
「うん、食べたい。何だかお腹が空いたわ」
「味は保証出来ないよ。何しろ俺に釣られたような魚だからな」
「ふふ、それならきっと美味しいわ」
セリスは魚を手にとってそのまま口にした。塩を掛けて焼いただけの素朴な料理。でも、どんな高級な料理よりも美味しかった。
「ロック...」
「うん?どうした?」
「ロック、聞いて欲しいの。私の過去、私の罪、みんな...。
いつか話す時が来る事は分かっていたの。でも、恐くて言えなかった。
もしかしたらあなたに嫌われてしまうかもしれない。私を見る眼が変わってしまうのが恐かった。
・・・でも、隠しておく事はもう出来ないって思ったの。ロックだけには訊いて欲しいの。だって、あなたを...」
「セリス・・・話してくれ。俺は君の全てを知りたい。俺はどんな真実だって受け容れる」
「ありがとう、ロック...」
セリスはゆっくりと話し始めた。
「私、戦争孤児なの。私の生まれ故郷はコーレルという小さな村。今はもう無いけど。
コーレルは私がまだ幼い頃無くなってしまったわ。
村の近くで戦闘があったの。
私の村は戦争とは何も関係が無かったのに、戦場の近くにあったというだけで戦火に巻き込まれてしまった。
村は炎に包まれたわ。殆どの人達は死んでしまった・・・お父さん、お母さん、友達もみんな...。
私だけは奇跡的に生き残った。私は兵士に連れられて遠くに連れられていった・・・それが帝都ベクタだった。
私は小さな施設に入れられた。そこには私と同じように戦争で親を失った子供達ばかりがいたわ。
施設ではいろいろな事を教えられた。武器の使い方とかいろいろ。あの頃の私は何にも知らずに言われるがままに覚えていった。
特に魔法については毎日のように練習させられたわ。
今思えばそれは兵士や魔導戦士にするためのものだった。施設は将来の兵士を創り出すためにあったの。
14歳になると私達は次第に実戦に出るようになっていた。殆どの仲間達は一般兵士となっていて、戦死する者も少なくなかったわ。
幸いにも私を含めて何人かは魔法の才があるという事で、戦場に出る事も無く魔導戦士として特別に扱われていたの。
でも、いつ一般兵士として戦場に狩り出されるか、いつも不安だった。一度でも失敗したらそうなるかもしれないと思っていた。
それは魔法力を埋め込まれて魔導戦士となっても消えることはなかった。
私にはとても仲の良い友達がいたの。サラという名の女の子で、私と同い年だった。
彼女はとても魔法力のあって、私はいつも彼女に魔法を教えてもらっていたわ。
とても強くて優しくて・・・私の憧れだった。
でも、魔導戦士として初めての実戦で、彼女は魔法を使う事が出来なかった。ううん、使わなかったの。
彼女は戦士としては優し過ぎたの。彼女は魔法の恐ろしさを知っていたから、使う事が出来なかったの。
次の戦闘も、その次の戦闘も・・・彼女は戦いに魔法を使おうとはしなかった。
傷ついた兵士を救うために・・・敵も味方も関係なく・・・それだけに彼女は魔法を使っていた。
でも、そんな事が許される筈も無かった。彼女は一般兵士として戦場に狩り出されてしまった。
サラは覚悟していたみたいだった。きっと自分が生きて帰って来れない事を。
戦場に赴く前の日、彼女は言ってた。『死なないために生きたくなかったの。生きるために生きたいの』と。
彼女は戦場から帰ってこなかった...。
私は彼女のように強くなれなかった。死なないために生きた。生き残るために必死に戦い続けたわ。
自分が生き続ける事は、誰かを殺し続ける事。それでも私は戦った。死にたくなかった。
自分だけは生きていたかった。お父さんの分も、お母さんの分も、そしてサラの分も...。
私の剣、そして身体は見えない血で染まっていった。
でも、皮肉な事に私の名声はそれにつれて高まっていったわ。
気が付くと私は無敵の魔導戦士と呼ばれ、ついには女将軍として処遇されるようになっていた。
でも、そう呼ばれても少しも嬉しくなかった。むしろ変なプレッシャーが私を襲った。
今までは自分のために戦っていれば良かった。本心では戦闘の勝ち負けはどうでも良かったの。
でも、それからは違っていた。多くの兵士を従えるようになり、戦闘に勝たねばならなくなった。
自分だけでなく兵士達の命まで私に託されてしまったから。
罪の意識など持つ余裕は無かった。
女将軍と言われ続ける事が私が私でいられる事。私が生きている証しだったの。
でも・・・永遠に勝利し続ける事なんて出来なかった。
元々戦況は不利だと分かっていながら、私の隊は出撃を命じられた。
それでも勝たなくてはならない。
戦闘は・・・悲惨なものだった。果てる事の無い戦いは双方が全滅という形で終止符を打った。
私は・・・唯一人生き残った。私は死骸と血で埋め尽くされた戦場に立っていた。
血にまみれ、傷つき、疲れ果ててしまった。
それでも私は戦場の中を歩き続けたわ。
戦場の側には私の隊が立ち寄った小さな村がある筈だった。
みんな優しい人達ばかりで私達を暖かく迎えてくれた村。私は自分の故郷を想い出させてくれた村へ。
そんな私を出迎えてくれたのは・・・真っ赤に燃えさかる村だった。
それを指示したのはケフカだった。ケフカはベクタ軍の敗戦を隠蔽するために、村に火を放った!
村人達の叫び声が遠くで見ていた私の耳にも届いて来たの。
その中には子供達の声も混じっていた。
私・・・想い出した。私もあの中にいた事を。
私のせいなの?私が戦ったせいなの?
私、やっと分かったの。私のしてきた事は私の受けた悲劇を生みだしているだけなんだと...。
私は決心した。私がすべき事は戦いを止めさせる事。二度とこんな悲劇を生み出させない事。
私は初めて死を恐れなかった。皇帝ガストラ、そしてケフカを倒し、戦いに終止符を打とうとベクタに戻った...」
セリスは一気に話すと、ロックの方に振り向き、じっと見つめた。
「これが、本当の私・・・多くの人を殺め、血にまみれた女、それが私なの・・・」
絞り出すような声でそう言うと、セリスは俯いた。
両手を膝に置き、ぐっと力を込めて握りしめている。じっと何かに堪えているかように、微かに肩を震わせている。
決心して話したとはいえ、彼女の中には後悔と、そしてこれで終わりなんだという悲しみが身体を締め付けていた。
「セリス...」
彼の口を塞いでしまいたかった。それが出来ないなら何処かに逃げ出してしまいたかった。
それでもセリスは自分に言い聞かせた。決心したんだ。彼の口がどんな事を話そうとも最後まで聴こうと。
「俺が愛しているのは今の君だ。昔の君じゃない」
ロックはそっとセリスの肩に手を置く。
「ありがとう、全てを話してくれて。ずっと苦しんできたんだな。でも、もう君は一人じゃない。
君の苦しみを俺にも分けてくれ。君が血にまみれているのなら、俺も血にまみれよう。
過去がどうであろうと俺にとってセリスはセリス、少しも変わりはしない」
「ロック...」
ロックの言葉にセリスは身体中の体毛が逆立つような感覚を覚えた。
まだ顔を上げる事は出来なかった。俯いたまま、涙の混じった声でロックの名を呼んだ。
「さあ、顔を上げて。笑顔を見せてくれ」
ロックに促されて、セリスはゆっくりと顔を上げた。
ロックの顔は日溜まりのような優しい微笑みをたたえていた。セリスはその微笑みに身体中を暖かく包み込まれていく自分を感じた。
涙が湧き出てくる。自分でもそれに気付かないくらいに自然に涙がこぼれている。
「ロック!」
セリスはロックの胸に飛び込む。その胸に顔を埋める。
言葉がそれ以上出なかった。彼に触れていたかった。
嬉しかった。生きていて良かった。
例えどんな罪を犯していても、生きていて良かった。血にまみれながらも生きてきた意味。それが今分かったような気がした。
この一瞬に出会うために、きっと自分は生きてきたんだ...。
「セリス...」
ロックは自分の胸で涙するセリスを抱きしめながら、彼自身もまた自分の想いを確かめていた。
本当に彼女の苦しみを分かっているとはいえない。だが、分かち合えると思える。
時間はかかるかもしれない。でも、いつか彼女を過去から解放させてみせる。きっと出来る。
自分がレイチェルへの罪を乗り越えていったように。
「セリス、帰ろう。仲間達の所へ。俺達にはやるべき事がある。全ての人達の幸せを取り戻すという使命。
・・・でも、本当は違う。本当は君との時間、君との未来のために戦う。
それが間違いだとは思わない。だからこそ自分は心を強く持っていられるのだから」
「ロック・・・私も戦う。もう迷わない。私もあなたのために戦う。今の私にはそれしか出来ない」
見上げたロックの真摯な眼差し。曇りの無い瞳。彼は静かに頷く。
セリスもコクッと頷く。言葉は要らない。それが誓いの言葉。
「さあ、帰ろう」
ロックの言葉にセリスは静かに立ち上がる。もう迷いは無い。ただ未来を信じようと思った。
未来に何があるのかは分からない。でも、何があろうと生きていけると感じていた...。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★★☆★☆★
【あとがき】
「女将軍」とまで呼ばれたセリス。でも、僕にはそういったイメージは彼女に感じられませんでした。
ロックに助け出された当初こそ軍人的なセリフが多く、強い女のイメージですが、
次第に女らしく(弱い女に)変わっていくのを見ていると、きっとそれが彼女の本当の姿だと感じられたのです。
僕は「きっと彼女は作られた女将軍なんだ」と思い、イメージを膨らませてこの小説を書きました。