愛しのシャアへ...

  
 これは、一応ハマーンがシャアに宛てた手紙という形式をとって、私なりの彼女の想いを表現してみました。もちろんハマーンには、手紙なんか出せる訳ないですから(戦争中だし、プライドが高いからね)書いては引き出しの奥にしまうだけ...という感じなんですけど。

 とりあえず、そんな設定で話を進めてます。それと、同人誌とは文章が多少変わってる所がありますが、その点はご容赦を...。どの場面かは、自分で考えて下さいませ。

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〜アクシズにて〜
〜グワダンにて〜
〜グワダンにてその弐〜
〜アクシズにてその弐〜
〜サダラーンにて〜
〜サイド6にて〜

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〜アクシズにて〜
 

 いよいよ明日は地球圏だ。

 先発隊の報告だと、戦況は膠着状態の様だが、それはそれでいい。私達の入り込む余地が出来るからね。

 既にメラニー・ヒュー・カーバインとはコンタクトが取れているので少しは気が楽だが、しばらくは眠れない日々が続くと思う。なぜなら私の行動にアクシズの民全ての命運がかかっているのだから...。

 シャアがクワトロと名乗っている事も調査済みだ。いずれ対面する事になるのだろうが、正直な話、どう対処すべきか...まだ悩んでいる。

 裏切り者として処分するべきか、偵察者として扱うべきか...。全てはあなたの出方次第だよ...シャア。

 確かに感情の縺れはあったし、色々とすれ違う事もあった。だけど、私は誰よりも貴方を信じてたし、尊敬してた。それに、私があなたの能力を一番引き出せると、今でも自負してるしね。

 それなのに...貴方は何も言わずに地球圏へ去って行った。

 残された私は、暗く、寒い宇宙を眺めながら、一人で必死に生きるしかなかったわ。貴方を見返したい一心でね。

 でも、出来れば、貴方とは戦いたくない。

 私は、貴方のそばで、共に夢を見たいだけ...。

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〜グワダンにて〜

 まただ...。

 シャアとは何でいつもああなってしまうんだろうね。

 本当は会いたくて仕方が無かった筈なのに...。自分のプライドの高さが、本当に嫌になる。

 貴方に拒否されるのが怖かったから?それともジオンをここまで再興したと自慢したかったから?それとも...。

 それに、貴方はあの時、ミネバ様の教育方針の事を叫んでいたけど、それなら何故アクシズを離れたの?貴方さえいれば、する必要が無かった事なのに...。

 しかも、あんな場所で暴れたら、立場上捕らえるしかないじゃない。私だって、いくら何でもむやみに捕らえたりはしないわ。それが外交ってものでしょう?

 それに、なぜ脱走なんかしたの?貴方と個人的に話し合った後で、、全員解放する予定だったのに。しかも私に銃を向けるなんて...。

 失望はした。だけど、これだけは判って欲しい。

 貴方を一番理解してて、幸せに出来るのは私なんだって...。

 でも、貴方に撃たれるんなら...いいよ。実の所、貴方がいないジオンなんて、私にとって、何の意味も無い事なんだから...。

 でも、この行動は誰かがやらなきゃならない事...。それだけの事。

 シャア、私はそれ程傲慢ではないよ...。

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〜グワダンにてその2〜

 あと少しでエゥーゴとの共同戦線が始まる。

 ティターンズに協力している我々に、堂々と裏切りを勧めるエゥーゴも相当の曲者だが...。その位、お互いに無視出来ない存在になってると言う事だろう。

 だけど、シャア...私達はホントに引き合う存在なのかもしれないわね。実は、今回私が打ち合わせのためと称して、アーガマに出向いた本当の理由は...シャア、貴方に会いたかったからなのよ。

 キュベレイを見せて、我々の科学力、工業力の進歩を知らしめた上で、貴方がどの様な態度で出てくるか、ぜひこの目で確かめたかったの。だけど、貴方は私の挑発に対しても、卑屈な態度でしか返してくれなかった。

 なんて奴!

 でも、その反面、ある種の満足感が得られた事も事実だった。

 今までずっと尊敬し、憧れ、恋し、愛し、裏切られ、憎しんだ貴方に、頭を下げて頼まれたのだからね...。嬉しいに決まってるわよ。

 それに、あれは貴方流の命令だったなんて、私の他に一体誰が判っただろうね。私達は元々そういう関係だったし...。ねっ、御主人様。

 シャア、礼には礼を尽くして対応するよ。

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〜アクシズにてその2〜

 今、私の側に...シャアがいる。

 百式から脱出して漂っていた所を、発見して収容した。つい先程までMSで戦っていたというのにね...。

 あの戦闘の時、貴方を倒す機会は幾らでもあった。MSの性能も差があり過ぎてたからね。でも、結局は、いつも貴方を助ける行動を起こしてしまう...。

 私には、貴方を殺せる訳無いよね。だって...今でも貴方の事がとっても好きなんだもの。だけど、戦闘中は立場があるから威嚇位はするけどね...。だから、私は戦闘中ずっと拷問を受け続けていた様なものだったわ。私の気持ちを判ってる筈なのに...。ホント、貴方はひどい人よね。

 でも、そんな行為ですらも、心の底で喜んでいる女...それが私なのよね。

 私を女にし、様々な愛の形を教えてくれたシャア。いっその事、はっきりとしてくれれば、私も気が楽になるのに...。

 そして、これから久し振りにシャアと肌を重ねるんだ。たぶん、あの時みたいに激しく求め合ってしまうんだろうね。だって、お互い寂しがりやだからね...。でも、ホント嬉しいよ。

 貴方が側にいるだけで、私は本当に幸せなのだから...。

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〜サダラーンにて〜

 私の前にはいつも道が無かった。

 私はいつも一人だった。

 始めは私に期待を抱かせ、最後の最後に私を裏切る...貴方はそんな人だったわよね。

 次はいよいよ地球圏を制圧するわ。あなたが演説したダカールを拠点にしてね。そこで地球再生の大義名分を掲げて人に道を示す。それが今の私に出来る最善の方法だわ。それに、何もやみくもに殺し合うだけが戦争じゃ無いわ。いかに戦力を消耗せずに勝つか...それが大切な事なのよね。

 そういえば、以前貴方はニュータイプへの革新は、人が自発的に変わるのを待つと言ってたけど、旧体制からの移行に人類は今までどれだけの血を流してきたと思うの?もし、現状を急激に変える事が出来れば、ある程度の犠牲で済む事が出来るわ。私達の行動はその為のきっかけに過ぎないわ。

 だけど、今回の行動も、いずれ連邦政府によって潰されてしまうと思うわね。だって、国力が違い過ぎるんですもの...。私だって、それが判らない程、愚かな女じゃないわよ。

シャア、逃げたい気持ちは判るよ。だけど、貴方もいずれは表舞台で道化師となる身分...覚悟しておいた方がいいわ。

 でもね、本当の事言うと、貴方と共に行動を起こしたかったわ。それが、心残りなんだけどね...。

 貴方の前に、道を作っておくわね。シャア。

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〜サイド6にて〜

 今、衛星テレビの前で、貴方の艦隊が出撃するのを観てるてるわ。貴方が、遂に自らの考えで行動したのね。私はどんなにこの日を待ってた事か...。

 思えば、ジュドーとの戦いの後、脱出装置が作動して死にきれなかった私を救出してくれたのが...他ならぬ貴方だったわね。

 その時、私を優しく抱いてくれた後で、いずれ自らも行動を起こそうと画策している事と、今までの私の行動を理解してくれた事を知った時、やっと私の役目が終わったと感じたわ。

 「今まで対立して済まなかった...。後は任せてくれ...」

 その言葉が、どんなに嬉しかった事か...。気が付くと、私は貴方の胸の中で泣いていた...。その時私は思ったわ...。『貴方を好きになって良かった』って...。

 貴方は目的を持って突き進んでいる時が、最も輝いているのよ。私なんか及びも付かない程に...。

 そういえば、セイラ姉さんも、貴方の事を心配してらしたわよ。この前、訪ねて来てくれて、急な事だったけれど、とっても嬉しかったわ。そして、その日は二人で一晩中語り合ったの...。私が想像してた通りの方だったわ。実は、私の髪型は、セイラ姉さんを彼女と誤解してやったものだったのよ。それを貴方が褒めてくれたから...。

 私を含めて様々な方が、貴方を応援してるわよ。もちろん、貴方との息子、ハリーもね。もう3歳になるわ。もっとも今の所、父親は先の戦争で死んだって事にしてるけどね。

 シャア、全てに決着が付いたら、私を思い出してね。
 私は、いつまでも貴方を待っていますから...。
 愛してます...シャア。


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