青海産三葉虫    

Cummingella mesops
カミンゲラ メソプス

Cummingella mesops 頭部
【T.K氏採集・寄贈】
 私も青海では一度だけ採集をしたことがある。と、言っても仕事の途中、転石を見つけたので叩いて
みただけなのだが..。

 青海川に沿った道端だったと思う。対岸では石灰岩の採掘が行われていて、盛んに発破の音がしていた。
岩盤が崩落する様も見えていたのでこっちまで飛んで来はしまいかと冷や冷やしながら叩いたものだ。

 石はどこからか運ばれてここに置かれたものかも知れなかった。私は間もなく腕足類の化石を見つけ、
次いで三葉虫の尾部を発見した。現物が手元にないが、多分Cummingellaの一種だろう。まさか三葉虫を
手に出来るとは思っていなかったので私は狂喜して跳ね回った。化石に興味がない他の面々が呆れ顔で
見ていたが..。
Cummingella mesops  雌型

 実は石灰岩は苦手なのである。北上山地の場合、三葉虫の多くは石灰岩以外から得られる。
それ故 砂質頁岩とか粘板岩には多少なり鼻はきくが、石灰岩はどうも勝手が違う。
石灰岩の多くは風化面に表れた化石を探すことになるが、青海の三葉虫は割ってきれいに
母岩から分離する希有な例だろう。不純物が少ない、いかにも石灰岩ですといった岩から
産出した北上産三葉虫といえば私の知る限りOnukiaと岩○崎のYabeina帯にへばりついていた
Pseudophillipsia ぐらいである。

 石灰岩を割って化石を探す習慣がない私がなぜそれを叩く気になったのか、
今となっては思い出せないが本当に幸運な出会いだったのだろう。

Cummingella mesops  2007.7.15採集


 蛇足ながら...

 青海と云えば、近くの名立川を思い出す。測量中、急斜面で投げ渡された測量用スケールを
受け損ない目と目の間にぶつけて3針ほど縫う裂傷を負ったことがある。あと数ミリずれていたら
右目を直撃していた。私は落石事故で左目の視力が極端に落ちていたので、わずかのズレで
とんでもないことになるところだった。

 その名立川の同じ現場で鉄砲水に巻き込まれそうになったこともある。現場では強い雨が降り
始めていたが、現地で雇った人夫さんたちが、我先に逃げ出した。鉄砲水が来るというのである。
岸に上がれるところまでかなり距離があったので私達も必死になって駆けた。幸いにして無事
引き上げることが出来たのだが、果たして宿に戻るとテレビで近隣の川の大増水を報じていた。
お〜こわっ
(爆)

update1998.10.10
Last update 2007.7.20


Top Page 三葉虫標本室 北海道の旅 宮沢賢治への旅