ここには平成1〜3年に発表されたベスト短編14作品が収録されている。
日本推理作家協会【編】 旅の終り(阿刀田高) カッパ・ノベルス (本のカバーから引用) |
この作品は、内田先生の数少ない短編ですが、お世辞にもおもしろいとは言えません。 冒頭のベッドシーンには、ちょっと驚きました! デビュー作の「死者の木霊」もベッドシーンがあり、かたわれの男は、バラバラ死体となって松川タ゜ムに遺棄されたのでした。 この2作だけベットシーンがあるのだなと思い、「自作解説」(カッパ・ノベルス)を読んだところ、驚いたことにまだあったのです。 『とくに「交歓殺人」、「飼う女」のようなおそろしくエロティクな作品の濃厚な味には、読者もびっくりしたのではないでしょうか。僕でもその気になれば、この程度のことは書けるという証明のようなものです。』と書いてありました。 う〜ん、ちょっと意外でしたね!内田作品ということでは少し違和感がありますね。 『「願望の連環」はタイトルどおり、登場人物それぞれの願望がグルッと1回転したら人が殺されていた−−−というだけの話で、内容はたいしたことはありません。一つの試みとして書かれたものだとご理解ください。』「自作解説」(カッパ・ノベルス) ストーリー自体も人間関係の嫌らしさばかりが印象に残り、トリックもまったくつまらないもので、意外性のかけらもありません。 この短編は、「日本ベストミステリー珠玉集」(上)に収録されたのを読んだのですが、「死線上のアリア」に収録されている、前述の「交歓殺人」、「飼う女」に少しは期待することにします。 1998.10.13記 |