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ここには平成1〜3年に発表されたベスト短編14作品が収録されている。

日本推理作家協会【編】

旅の終り(阿刀田高)
願望の連環(内田康夫)
12月のジョーカー(大沢在昌)
夜追うものの名乗り(菊地秀行)
白い朝(北村薫)
戯れの誓い(佐野洋)
おそれ(高橋克彦)
都市盗掘団(筒井康隆)
十津川警部C11を追う(西村京太郎)
酒媼(半村良)
甘いはずなのに(東野圭吾)
木蓮寺(皆川博子)
しつけの問題(山田正紀)
竜の寺殺人事件(山村美紗)

カッパ・ノベルス (本のカバーから引用)

願望の連環
 この作品は、内田先生の数少ない短編ですが、お世辞にもおもしろいとは言えません。

 冒頭のベッドシーンには、ちょっと驚きました!

 デビュー作の「死者の木霊」もベッドシーンがあり、かたわれの男は、バラバラ死体となって松川タ゜ムに遺棄されたのでした。

 この2作だけベットシーンがあるのだなと思い、「自作解説」(カッパ・ノベルス)を読んだところ、驚いたことにまだあったのです。

 『とくに「交歓殺人」、「飼う女」のようなおそろしくエロティクな作品の濃厚な味には、読者もびっくりしたのではないでしょうか。僕でもその気になれば、この程度のことは書けるという証明のようなものです。』と書いてありました。

 う〜ん、ちょっと意外でしたね!内田作品ということでは少し違和感がありますね。

 『「願望の連環」はタイトルどおり、登場人物それぞれの願望がグルッと1回転したら人が殺されていた−−−というだけの話で、内容はたいしたことはありません。一つの試みとして書かれたものだとご理解ください。』「自作解説」(カッパ・ノベルス)

 ストーリー自体も人間関係の嫌らしさばかりが印象に残り、トリックもまったくつまらないもので、意外性のかけらもありません。

 この短編は、「日本ベストミステリー珠玉集」(上)に収録されたのを読んだのですが、「死線上のアリア」に収録されている、前述の「交歓殺人」、「飼う女」に少しは期待することにします。

1998.10.13記