大分県国東半島の先に浮かぶ伝説の島・姫島―この島の実力者の息子・属優貴男が惨殺された。属は島の利権に絡む企みを画策、黒い交遊も噂された男。死の直前に属が脅迫をしていたのが、そのころ、島を訪れていた名探偵・浅見光彦だった!さらに米軍基地移転問題を取材中のカメラマン・浦本智文が、姫島で水死体となって発見される!大分に旅立つ間際、浦本が残した謎の言葉“太陽の山”とは?自らの疑惑と二つの死の解明のため、浅見は再び姫島へ。 だが、この美しき島では、政治家まで巻き込んだ巨大な策謀が渦巻いていた!!伝説と伝奇に彩られた島で魅せる、浅見光彦の名推理!旅情ミステリーの真骨頂、書下ろしで待望の登場。 カッパ・ノベルス(本のカバーから引用) |
この作品は、実に読み応えがありました。 二つの殺人事件と沖縄米軍の基地問題、それに絡む諸々の話、親子の情愛といったことが幾重にも重なり、重厚な作品に仕上がっています。 第一の殺人があったとき、容易に犯人が分かったつもりでいたら、最後にどんでん返しがありました。それも、珍しくトリックまで見破ったというのに...。驚きの結末でした。 この作品で印象に残った言葉は、 「考えてみると、可奈の母親も父親も、それに優貴雄の父親・蔵吉も、我が子のため、家族のために身を捨てて、逝った。なんという悲しい性なのだろう。親になることの責任とは、そういうことなのか−−−。」 この言葉に尽きます。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ この作品には、ファンの方が実名で登場します。それもかなり重要な役どころです。言葉の癖とか服装、雰囲気などは、たぶんその通りの人なのだろうと想像しました。 なんて、羨ましい人なんでしょう!!一生の記念となるでしょう。 私も名前登録しようかな? 1998.10.22記 |