釧路湿原殺人事件 感想リストへ 
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エリート官僚で国立公園管理官の友利恵一は、湿原で遭難者が出たとの知らせを自らの結婚披露宴の会場で受け、単身釧路へ向った。だが、湿原の底なし沼〈谷地目〉で発見された死体は他殺と断定され、さらに第二の殺人、嫌疑は友利に向けられる。一方、一人娘の郷子とともに、娘婿となった友利を追って釧路に飛んだ和泉教授は、真相解明に乗り出すが、問い詰めた女が水死体で発見され…。

 

中公文庫(本のカバーから引用)

釧路湿原殺人事件
 この作品と「湯布院殺人事件」は、国鉄のキャンペーンの一環でテレビ化を前提に書かれたものだそうです。

「湯布院殺人事件」はテレビ化されたのですが、この作品はテレビ化されていません。理由は「釧路」が遠いということだそうですが、残念ですね。

和泉夫妻のイメージは、二谷英明、白川由美夫妻がモデルだそうです。そういうイメージで見るのも楽しいのかもしれません。

そして、あとがきにも書かれていますが、このとき帰りのフェリーでソアラに傷つけられたのをヒントに「熊野古道殺人事件」でソアラを大破させるヒントを得たとも書いています。

「熊野古道殺人事件」も女性誌に連載した4つの短編をまとめて1冊にしたそうです。

どうも、内田先生にはエリートに対する偏見のようなものがあるのでしょうか?この本を読んでそんな感を深めました。

あくまで、庶民の立場でものごとを見極めようとする姿勢のあらわれかもしれません。

もっとも、人間を見る目は優しいわけですから、エリートの中の人間性を見つけて、ほっとするようなシーンも見受けられましたね。

いずれ「フルムーン探偵」シリーズもどんどん書いていただきたいものです。

1998.11.3