「ギンコウノハカ」「オニコウベデアッタ」小町まつりの最中、小町娘の一人松島珠里に倒れ込んだ老人はこう呟いて絶命。珠里との接点はあるのか?現場を目撃した名探偵浅見光彦は、町役場観光課の高橋典雄と事件に挑もうとした矢先、なぜか「警察庁」が不可思議な圧力を…。第2の殺人事件。深まる謎に見え隠れする大物政治家と超大企業。草深い東北の地に封印された恐るべき秘密とは?人気沸騰、浅見光彦が脳髄をしぼって果敢に挑戦する。内田康夫が第2の故郷・雄勝の町を舞台に、壮大な規模の犯罪を構築した傑作。 光文社文庫(本のカバーから引用) |
本を読んでからすぐに寝てしまったら、夢にうなされてしまいました。(^o^)感想はすぐに書かなければいけません。 そう、作品中に光彦が夢を見ているシーンがありましたね。どこか潜在意識の中に残っていたのでしょうか?そう言えば、夢のシーンはほかの作品にもあったような気がします。 いずれも妙にリアルで先生が本当に見た夢かなとも思います。 内田作品にはヒロインがつきものですが、本書のヒロイン松島樹里はなかなかいいですね。もっとも私の頭の中で構築された架空の美人ですが...。 よく、光彦の役は榎木さんがいいとか、辰巳さんがいいとか言いますが、私にはよく分かりません。と言うのは、映画もテレビもほとんど見たことがないのです。それに私の場合、自分の頭の中にすでにイメージができあがっているものですから、誰がやってもピンとこないのです。 この作品は、刑事局長の陽一郎から指示を受けて光彦と特命捜査官が巨悪に立ち向かうというストーリーですが、あまりの話のでかさに途中から唖然とした気持ちが湧いてきました。一体全体どんな話になるのかと思えば、最後はあっけなかったような気がします。 やはり、秘匿した金塊は掘り出して、国のために使うのでなければなりませんよね。補償の費用に充ててもいいのですから...。 実は、この本で一番感銘を受けたのは「自作解説」でした。(^o^)光文社文庫1997年5月20日初版1刷発行です。私が最初に読んだのは所在不明で、最近買ったものです。そう!50冊ほど仕入れました。(^o^) 『僕の創作法の特徴的なものとして、ほとんど必ずといっていいほど「事件」と「人間」と「歴史」そして「旅」の四要素によって物語が成立していることだが、その中の「事件」の内容は、ごく個人的なものから、より社会性を帯びたものまで、かなり幅が広い。 面白い話を書くことに生き甲斐のようなものを感じて、無我夢中で文章を綴っているだけでもよかった。世の矛盾や非道を怒るのも、ごく庶民的な素朴な次元でのことであって、ひとさまを啓蒙しようなどと大それた意識はまったくない。 それでも、あまり世の中がひどいと、何か言わないではいられないのが、いわゆる庶民感情なのだろう。その怒りを作中で吐露してゆくと、いつのまにか浅見の怒りに変形し、いわゆる「社会派」的なミステリーが生まれてしまうのである。』(途中は一部省略しています。) 私が一番惹かれるのは「人間」ですね。作中の人間模様をやさしく見つめる先生の作品が好きなのです。この自作解説を読んで、頭の中がすっきり整理されました。 だから、「歴史」「旅」「事件」に興味のある方の感想もお聞きしたいのです。いろいろな見方があって当然なのですから、そんな話を聞かせてらったら、私の世界が広がるような気がします。 ただ、私自身は、内田作品をミステリーとして読んでいないのかもしれませんね。 1998.10.25記 |