千年の古都・京と四国・讃岐を舞台に、史上最大の恐怖「崇徳上皇伝説」の祟りが、現代に蘇る。筆者渾身のラスト・シーンは、怨霊の戦慄を感動の涙に変えるであろう。1996年の春頃、関西在住の読者から一通の手紙をもらいました。詳しい内容は言えませんが、老人ホームの内情に関する、一種の告発文めいたもので、これをテーマに小説を書く準備にかかりました。(略)この作品のもう一つのテーマは「崇徳上皇伝説」です。崇徳に象徴される、親と子のの相剋を描きたいと思いました。親子の愛と憎しみは千年の歴史を超えて、人間の永遠のテーマであります。それを崇徳の史実になぞらえ、伝説の彩りを添えて語ろうとしました。(あとがきより) 角川春樹事務所刊 |