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森生さん本寄贈 顛末記

2002/10/10 Written and donated by さとうはじめ

1.きっかけ

 コトの始まりは、LaLa本誌のバックナンバーを閲覧するために訪れた国立国会図書館。
 閉架式のために読みたい本が出てくるまでの待ち時間があるため、ふと、「どんな本が所蔵されてるのだろう?」と思い検索端末で調べてみることに。
 「やっぱり最初は、著者=森生まさみでしょ(笑)」ということで調べた結果がこれ。(リンクタグなどページ内容を一部改変してあります)
 「あれ?26冊?」。確か、刊行されたコミックス(カードギャラリーを除く)は32冊のはずで6冊足りません。
 全ての出版物があるはずの国会図書館なのに……というのが発端でした。
 

2.ネットで調べて行動開始

 帰宅後にネットで国会図書館のHPを読んでみると、国立国会図書館法で出版社は必ず出版した本を国会図書館に納入しなければならないというのを確認しました。
 (納入しない場合、本の単価の5倍の過料では完全に納入されるという訳にもいかないでしょうけど)。
 さらに、個人で寄贈することも受けているらしいようなページ記述が?! でも具体的な方法が無い…。

 という訳で、googleで「国会図書館 寄贈」で検索したら見事にHit。
 しかも、本ではなくセガサターンのゲームCD「デスクリムゾン」を寄贈した人の記録ページが(^_^)。
 他にも2、3ページHitした内容を読んだ限りでは、いきなる本を送りつけるのではなく目録を示して寄贈の可否を問い合わせたほうが良さそうと判断。
 とりあえず、寄贈対象のうち絶版となっている「ヒロイズム前線」を市場調査時に高岡書店で購入(爆)した上で、Hitしたページにあった国会図書館の部署宛に以下の書状を送ってみました。
 
国立国会図書館 一般納本係 担当者様

拝啓、
貴館をいつも利用させて頂いている者です。貴館の充実した蔵書と司書の方々のサービスに大変感謝しております。

さて、貴館の蔵書検索であるWebOPACにおきまして検索したところ、貴館に所蔵されていないと思われる書籍が何冊か手元にありました。そこで、僭越ながらこれらを寄贈したいと思い、このお手紙をお送りした次第です。
以下に書籍目録を記します。
書名ISBN著者出版社
生徒全員に告ぐ4592125509森生まさみ白泉社
ヒロイズム前線4592125762森生まさみ白泉社
そして今日も世界は揺れる4592125355森生まさみ白泉社
感嘆符なしでは語れない4592125703森生まさみ白泉社
夢限宇宙で恋をしよう4592125894森生まさみ白泉社
夢限宇宙で恋をしよう2459212605X森生まさみ白泉社


いずれも状態は新品同様であり、内容については最新のものと思われます。
お手数ではありますが、これらの寄贈に対する可否をお知らせ頂けますでしょうか?
寄贈可である場合には送付方法等も併せてお知らせください。

まずは用件のみ。
敬具


 収集書籍数を考えると担当部署はかなり忙しいはず。この返事がいつ返ってくるかも定かでない手紙は――さて、どうなりますやら…。

3.案ずるより産むが易かった

 お返事は、投函から2週間であっけなく来ました(笑)。
 
資料の寄贈について

 この度は当館の資料収集活動にご関心をお寄せいただき、まことにありがとうございます。
 お申し出のあった資料については、当館に所蔵がありませんので、寄贈のお申し出を受けさせていただきます。
 寄贈の際には、下記事項を御了承のうえ、同封の「寄贈申出書」に必要事項(寄贈資料名については、「別添」として内訳リストを付けていただいても構いません。)を記入・押印のうえ、資料とともに下記住所あてにお送りください。
 
   <ご寄贈に際しての了承事項>
   (1)送料等は、寄贈者の負担となります。
   (2)寄贈いただいた資料の扱いは、当館に一任していただきます。
   (3)ご寄贈いただいた資料は、原則として返却いたしません。

 以上、御理解・御協力をお願い申し上げます。

国立国会図書館 収集部 国内資料課 国内購入寄贈係


 先方から「Go!」サインが出ました。さあ、準備を。
 残りの購入可能な5冊を白泉社オンラインショップ「s−book.com」で発注。中4日で到着。
 一応、法律上では納入出版物はその納入時点で入手可能な最良版で完全なものであることという規定がありましたので、版元(笑)から買ってみました。
 先方から送られてきた寄贈申出書を書き、本の状態を確認した上で書類を「s−books.com」で送られてきた箱に入れてそのまま発送(爆)<使いまわし。

 今度は、発送から1週間で受領のお便りが来ました。これが受領書で、こっちがこちらが提出した寄贈申出書の写しに受領印が押されたものが同封されていました。……汚い字でスイマセン(汗)。
 これにて、森生さん本・国立国会図書館寄贈が完了です♪
 ただ、所蔵されて閲覧できるまでには検索データベースへの登録が完了しなければならないので、数ヶ月くらいはかかるかもしれませんねぇ<「小林クン」9巻も発売後1ヶ月だけどまだ未登録だし
 【追記】10月24日ごろには「おまけの小林クン」9巻はデータベースに登録されてました。
 【さらに追記】11月26日ごろに上記の寄贈した6冊がデータベースに登録されてました♪

4.いろいろと思慮

 寄贈するという発想をした時には、まあ色々と考えました。「果たして著作権者である森生さんの意思に沿わない行動ではないかどうか?」という点がわたしとしては引っかかったのです。

 本来なら事前承諾を得たほうが望ましいとは思いましたけど、今回はそれをしませんでした。理由としては、
◆本来なら法律に沿って国立国会図書館に所蔵されるべきコミックスが数冊所蔵されていないこと
◆とはいえ、それ以外のコミックスは所蔵されているので、著作者が法律の趣旨に不同意であるとは思えない
◆図書館に所蔵されることのメリット(公に資料参照できる)とデメリット(本の売上に悪影響する)を比較した場合に、発刊から相当年月が経過しているためにメリットのほうが大きいと感じた
◆未所蔵コミックスの一部は入手困難でこの時点で寄贈しないと永久に未所蔵状態になる可能性があると思った
と種々考えた結果、今回の行為を実行しました。
 ご意見、ご批判、ご感想がありましたらメールかBBSにでもお書き下さいませ。

 森生さんには後日お送りするファンレター内にてご報告しておきたいと思います。
 【追記】11月25日付でファンレターをお送りしてあります。

 ちなみに、国立国会図書館は東京の千代田区永田町、まさに国会議事堂のすぐ脇にあります。18歳未満の人は入館できないので閲覧できませんが、蔵書の複写サービスは誰でも受けられるはずです。
 お近くの公立図書館で『国立国会図書館「資料複写申込書(郵送用)」』をもらってその場で申し込めば実費+郵便代でコピーを入手できます。[ただしコピー数は、1冊の本からはそのページ数の半分までに制限されてます]

 念のため。藤川さんのコミックスは全巻所蔵されていました。よしよし。


(完)

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