環境倫理学の3つの基本主張


  1. 自然の生存権の問題
    「人間だけでなく、生物の種、生態系、景観などにも生存権があるので、かってにそれを否定してはならない。」
    これには、種の保存(種の多様性)、動物の権利、人間の権利概念・権利主体から、当事者適確などの問題があります。また、生命倫理学との基本概念の相違なども問題となっています。

  2. 世代間倫理の問題
    「現在世代は、未来世代の生存可能性に対して責任がある。」
    これは、現代社会が共時的決定システムを採用していることから、未来世代の権利などに対して現在世代が何をなし、何をすべきかについてが問題となっています。 現在世代の私達が、石油を消費すればその分未来世代が使用する量が減少します。 私達は、未来世代に対して責任を持つのか、その理由はなにか、そして何をなすべきか。その基準を作ることが必要です。

  3. 地球全体主義
    「地球の生態系は開いた宇宙ではなく閉じた世界である。この閉じた世界では、利用可能な物質とエネルギーの総量は有限である。そのなかで生存可能性の保証に優先権が有る。しかも、次の世代に選択の形だけを与えるのではなく、現実の選択可能性を保証しなくてはならない。すると、この原則を守るために、他の価値を犠牲にしなければならなくなる。配分の問題が正義にとって根本の問題となる。」

自然の生存権の問題
人間における権利とは。 「(1)判断力のある大人なら(2)自分の生命、身体、財産などあらゆる(自分のもの)に関して(3)他人に危害を及ぼさない限り、(4)たとえその決定が当人にとって不利益なことでも、(5)自己決定の権限を持つ」(倫理学の基礎 加藤尚武)と要約される。
自由経済と民主主義社会が現代社会の基本的構造であるとすると、その社会の中で環境倫理学の可能性を考えてみる。
多数決原理についての限界「多数決原理を採用している場合、多数決原理が制約される場合として(1)反社会的な内容、(2)少数意見者の立場が過酷な場合に無効なる余地があり、(3)多数意見による活動の内容、性質と構成員の協力の内容、程度、様態等の兼合いから構成員の協力義務の範囲に限定を加える必要がある。」 (行政判例)  
なぜクジラは食べていけないが、牛はたべてもよいのか
動物の解放について
 P.シンガーの「平等な道徳的配慮の原理(equal moral consideration)」
リーガンの「固有の価値(inherent value)」と「権利」
動物の権利(The Animal Rights)について


環境問題に関する本



テキスト
 「環境倫理学のすすめ」丸善ライブラリー 著者 加藤尚武
   「環境思想を学ぶ人のために」世界思想社
「環境倫理」北樹出版

参考文献
環境倫理学・生命倫理・応用倫理

  1. 「総覧・地球環境」現代書館FOR BEGINNERS
  2. 「技術と人間の倫理」NHK出版 著者 加藤尚武
  3. 「沈黙の春」新潮社 レイチャル・カーソン
  4. 「野生のうたが聞こえる」森林書房 Aレオポルド
  5. 「環境の倫理」晃洋書房 シュレーダー=フレチェット
  6. 「生物の多様性保全戦略」 中央法規 WRI,IUGN,UNEP
  7. 「動物の権利」技術と人間 ピーター・シンガー
  8. 「動物に権利はあるか」NHK出版 ローレンス・プリングル
  9. 「倫理学の基礎」放送大学 著者 加藤尚武
     
  10. 「倫理学で歴史を読む」清流出版 著者 加藤尚武
  11. 「応用倫理学のすすめ」丸善ライブラリー 著者 加藤尚武
  12. 「現代を読み解く倫理学」丸善ライブラリー 著者 加藤尚武
  13. 「21世紀への知的戦略」筑摩書房 著者 加藤尚武
  14. 「21世紀のエチカ」未来社 著者 加藤尚武
  15. 「成長の限界」ダイヤモンド社 ローマクラブ
  16. 「現代世界と倫理」晃洋書房 加藤尚武
  17. 「未来世界の倫理」産業図書 加藤尚武
  18. 「地球環境問題とはなにか」 岩波新書 米本昌平
  19. 「地球温暖化を考える」岩波新書 宇沢弘文
  20. 「アメリカの環境保護運動」岩波新書 岡島成行
  21. 「地球環境報告」岩波新書 石弘之
  22. 「地球環境を守るために」丸善ライブラリー 北川浩一郎
  23. 「経済倫理学のすすめ」中公新書 竹内靖雄