然別峡ユーヤンベツ川沿いの露天風呂群を行く

シリオパの湯  十数年前、アウトドア情報誌の先駆けであるBE-PALに然別峡の秘湯鹿の湯が紹介された。
私がまだ十勝に住む以前のことである。同誌は付近に点在する露天風呂群にも触れ、
ロープを伝って降りていくという秘湯中の秘湯の話は大いに私の血を騒がせた(笑)。

 帯広に移住してからは、私は多くの無料の露天風呂を楽しんだ。無論、鹿の湯にも何度も足を運んだが、何故かその回りにある露天風呂群には手付かずのまま10年が過ぎてしまった。そのうち、糠平のさわと温泉に続きユーヤンベツ川沿いの露天風呂群も湯船が撤去されたことを知った。

 秘湯は幻になってしまったか、と思った。しかし、昨年北海道のローカル局が然別峡の露天風呂群の一部を特集の中で紹介した。秘湯は健在だったのだ。私は、ひがし大雪旅人倶楽部 の島田さんを誘い、ついに この露天風呂群を探訪を決めた。
テムジンの湯
メノコの湯
崖下の湯
チニカの湯
ピラの湯
マクペカの湯
温泉群MAP
 ユーヤンベツ川周辺には上の7つ以外にも多くの泉源が存在するが、今回は現在でも快適に入浴出来そうな所を中心に歩いた。その中ではシリオパの湯以外は十分快適な湯浴みが出来ることがわかった。・・というより 想像以上にいい露天風呂だった。いままで訪ねなかったのが悔やまれるほどだ。

 島田さんとの合流前に、さわと温泉岩間温泉も訪ねてみたので こちらも参考にされたい。全て1日でまわれる圏内にある。

 崖下の湯には ここの温泉群を管理・補修しているというお方が先客でおられた。露天風呂の管理人という方に出会うと愚痴やら説教やら聞かされるハメになることは多いが、そこはちょっと堪えて 感謝と敬意をもって素直に聞くべきだろう。 ちょっと増水すればたちまち入浴困難な状況に陥る露天風呂群に、我々が快適に入浴出来るのもこの方々のお陰であるm(_ _)m。
 
 ここの露天風呂群はお上によって木枠などの構造物は撤去されていて、ほとんどが湧出口の近くの川原を掘り下げ 石と砂利で浴槽を組み上げただけのシンプルな作りである。ひとたび増水すれば水没したり組み上げた石が崩れたりする。しかし、これは仕方のないことである。問題なのは、人間の手による破壊だ。

 管理人氏によれば、せっかく組み上げた石をはずして浴槽の中で腰掛けがわりにして そのままにしていく輩もあれば、また故意による破壊もあるという。ゴミ等の問題も然り。氏にすれば手塩にかけた温泉にそんな仕打ちをされるのは堪えがたいことだろう。心配でほとんど日参状態だと笑っておられた。

 管理人氏は ここの温泉のあり方を巡って環境庁ともやりあったことがあるという。環境庁は、取り返しのつかない大きな自然破壊は許すが 個人レベルで行う行為にはトコトン厳しい。構造物が乱立する事態は確かに避けたいが、このようなカタチの温泉にはもう少し規制を緩くしてもいいのではないだろうか。無論、利用する側のマナーの向上が大前提にあるが・・・

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