然別温泉郷鹿の湯 |
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初めて「鹿の湯」の名を知ったのは、まだ私が帯広にやってくる以前のことだった。アウトドア雑誌「BE-PAL」で、鹿の湯を中心とした露天風呂群が稀にみる原始の秘湯として紹介されていたのである。 鹿の湯はその後ライダー達を中心に人気を集め、多くの人が訪れるようになった。吹上温泉やからまつの湯同様、何時行っても人が絶えることは無いメジャーな露天風呂になってしまった感がある。 そうは言っても、ここの秘境色は失われていない。このままずっと存続して欲しいものである。(残念なことに鹿の湯を除く露天風呂群は糠平湖畔のさわと温泉に続いて、お上によって撤去されてしまったが・・) コンクリートと丸石で形作られたメインの浴槽のまわりに「夫婦の湯」と名づけられた岩をくりぬいて造られた小さな浴槽が二つある。鹿の湯はややぬるめ、小さいほうの二つはちょっとばかり熱い。夏場ならとても入れないかもしれない。ただ 冬ならば、「夫婦の湯」の方が良い。メインの浴槽はシーズン中ほど手入れが行き届かず汚れていることが多いし、かなりぬるくなるからだ。 10月始めの早朝、久しぶりに鹿の湯を訪れてみた。夏の異常な暑さのせいもあるのだろうが、紅葉はイマイチといったところか。凛とした空気の中での入浴は実に爽快なものだが、メインの湯船は少々ぬるく、寒くてなかなか出難い。思いきって夫婦の湯の方に入ってみると、これが非常に気持ちのよい湯加減だった。あまり人が入らないので湯もきれいである。目を閉じると瀬音と葉ずれの音だけが聞こえた。北海道の秋を満喫した思いだった。 |
1999.10.4
update 1999.10.8
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