No.3
片島吉章
1月某日
今年は年明け早々、群馬県は吾妻渓谷にある川原湯温泉に行ってきました。なんでもこの温泉はあと何年かするとダムに埋まってしまうそうな。
小さな温泉街の中にはすでにこの地を離れた家も多いとのこと。仕方ないのか、どうなのか。伝統なのか金なのか。なんだか複雑な思いにかられながらトボトボと通りを散策してみました。道ばたの犬も「かなわんよ〜」という表情で行く末を考えています。おい、犬、お前は随分と難しい表情しているな…。
犬:「No Futureだからね」
ややっ、見かけによらずパンクな犬。温泉は、ちゃんと新しいところに移転するらしいで。お前も連れてってもらえるわ、と軽く会話を交わす。ん、でも、もしかしてこいつはこの不景気を憂いでいるのか? 確かに景気の悪い顔しています。
ていうか、温泉と犬ばっかりだなぁ。
川原湯温泉街。数年後はダムの底。
共同浴場「笹湯」。細い路地をたどっていったところにある地元感たっぷりの浴場でした。
「いぬー」と呼ぶと振り向いた犬。しょぼくれた顔ですな。
2月某日
あれには驚きました。買い付け中の出来事です。とある空港の片隅から「Help!」と小さな声が…!おもむろに目をやると黄色い目をした身長2mほどのロボットが、助けを求めてるではありませんか!
話を聞くと、こんな国に住むのはもうコリゴリだから日本に連れてってとのこと。その気持ちよく分かる。でも日本もいっしょやで、と思いつつ、「よっしゃ、まかしとき!」と言ったその手でロボットの手を引きセキュリティ・チェックへ。しかし、こいつデカイ。しかもド派手だ。やばい、ばれるか…。
係員「ソレナンダ?」
ワシ「ロボット型…計算機です」
係員「アヤシイナ。オマエ、チョットコイ」
ワシ「えー! 見かけだけで判断するなよ!」
すると、その瞬間、いきなりこのロボットが輝きを放ち、あっという間にコンパクト・サイズに!
ワシ「ほら、電卓やろ。どないや、見てみ計算もちゃんとできる」
係員「OK。イッテヨシ」
ワシ「サンキュ!(あやまれヤンキー!)」
ハイファイの新スタッフ。
…そんなこんなで店まで無事たどりついたハイファイ一行とロボット一匹。助けてくれたお礼ということで、そのロボットは当分の間、ハイファイ4番目のスタッフとして働くことになりました。主な仕事は簡単な計算。しかし四捨五入はできない阿呆です。また、デカイと邪魔なので普段は電卓サイズでじっとしていますが、朝の看板出しなどは彼の役目。
でかい!
ときどき、「そのイラク、ドイツんだ? オランダ」などと、つまらないアメリカン・ジョークを言うので、ハイファイ自慢の超音波レコード洗浄機につけて懲らしめることもしばしばです。
3月某日
引っ越しをしてから約2ヶ月、やっと片づけも終わり、部屋の中でゆっくりとくつろげる場所と時間ができてきました。
新しい我が家は南側がお寺なので、随分と日当たり良好。線は細いが生命力の感じられる大きな木が正面に見えます。画家ベルナール・ビュッフェがいたら、すぐモチーフにしそうな整った形をしています。
夏は虫が飛んできそう
住宅街にありながら、どことなく牧歌的なたたずまいを感じさせるこの一帯。こんな風景に似合いそうなのが、ケニー・ランキンの柔らかな歌声。そこにさりげなく鳥のさえずりが寄り添う。もちろん曲は「ピースフル」。新たな住処に、この場所を選んだのもそんな「ピースフル」な雰囲気だから。
…なーんてことを体言止めをビシバシ使って書いたら、まるで鼻が曲がりそうなカフェ本みたいですな。ホントの理由は○○女子大がそばにあるから !!
さすがウェラー兄貴!ダイレクトです。
でも、のんびりしてるのはホントのことで、この雰囲気のかけらをバグダッドのガキんちょどもにも、「つまらんもんやけど…」とおすそ分けしたい気分です。「余計なお世話じゃ」って言われるかも?
こんなに気持ちがざわつく時には、スタイル・カウンシル『カフェ・ブリュ』でも聴いて、カフェな気分でリラックスしましょうかね。もちろんオススメは7曲目。みんなの今の“気分”はこうじゃないのん?
▲Quarterly Magazine Hi-Fi index Page
A Day In The Life
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