★補足



メカニカルキーとメンブレンキーの見分け方について

 いきなりですいませんが、店頭などでメカニカルキーボードとメンブレンキーボードの外見上や打ち心地での確たる見分け方というのはありません。 基本的にメーカーが発表している仕様を確認するか分解してみるしか確認する方法はないのです。

 触ってカチカチとクリック音を出すのならメカニカルキーボードだろって思う方もいらっしゃるかとは思いますが、前述のとおりクリック音を出さないメカニカルも存在するように、クリック音の出るメンブレンキーボードも存在するのです。 IBMのバックリングスプリング構造を採用しているキーボードや同製品のOEM生産を行っているUNICOMP製のものも同じくメンブレンでカチカチと音が鳴ります。 他にもメカニカルタッチなどと謳ってメカニカル調の打鍵感を売りにしているキーボードも発売されているくらいです。 ですが、もちろんこれらはメカニカルではありえず、アクチュエーターを追加している以外はメンブレンやラバードームを使用したごく普通のキーボードです。

 タッチで見分けるのも困難です。 反発材にラバードームなどを採用しているメンブレン方式の場合は、押しはじめに重く、ある程度まで押すとスコッと荷重が抜けて底に着くって感じなのでラバードームと判別しやすいのですが、同様のタッチのメカニカルキーボードというもの多数存在します。 メカニカルの利点としてタッチや荷重、クリック音の付加などを自由に選択設定できるというものがありますので、メンブレン&ラバードームに近い設定も可能なのです。

 しかしPCにつながっていれば見分けることはだいたい可能でしょう。 PCにつながっている状態でキーを押すと、通常のメンブレンスイッチの場合はメンブレンシートが底に張り付いているという構造上、一番底まで押し込んだ状態でスイッチが入る構造になっています。 しかしメカニカルスイッチの場合には中間点くらいでスイッチが入る構造になっているのが一般的なのです。 これだけで多くの場合は判別が可能です。 しかしUNICOMPやIBMのバックリングスプリング機構の備わったメンブレンスイッチや、東プレやKeytoronicの静電容量スイッチ版の場合などにはメカニカルではありませんが中間点でオンになりますのでそこは注意。



配列について

 最近の私が興味を持っているのはキーボードの配列です。 特にDVORAK配列と呼ばれる物ですな。
 キーボードの配列といってもあまりなじみがない方の方が多いでしょう。 別に日本語配列とか英語配列とかのはなしではありません。 いわゆるアルファベットの並びの話になります。 一般的なキーボードはQWERTY(クワーティ)配列というものです。 キーボードの左上を見てください。 アルファベットがQWERTYという順番になっていることでしょう。 これがオーソドックスなキーボードの配列です。 でも、この配列は機械式のタイプライターが発明された何百年も前に考案された、非常に打鍵効率の悪い物なのです。 右手に打鍵が集中したりするので、指に均等にキーが行き渡らず疲労を招く要因となってしまっているのが現状です。

 これを何とか現在のキーボードにふさわしい効率の良い打鍵にしようと考え出されたのがDVORAK(ドボラーク)配列という物です。 これは打鍵の順序を左右交互に打つように配列を変更している物で、非常に効率よく打てるといわれています。 事実、タイピング速度のギネス記録を更新しつづけているのはDVORAK配列の人なのです。 これは英文をタイプする時に効率よく打鍵できるようにと考えられた配列ではありますが、日本語の打鍵時にも非常に打ちやすい配列になっています。 母音のAIUEOが左手のホームポジションに横一列に並び、逆に子音のキーのほとんどが右側に配置されているのです。 ですから文字を打つ際におおむね均等に左右に分散して打つことが出来るのです。 これは右を打っている間に左を用意しておいてすぐに打鍵、左を打っている間に右を用意しておいてすぐに打鍵ということを繰り返すことによって高速で間違いの少ないタイピングを実現することが出来るって事ですね。

 もうすでにQWERTY配列でタッチタイピング(キーボードを見ないで勘で打つこと)に慣れてしまっている人間にとってDVORAK配列を習得するのは非常にしんどいことなのですが、これからタッチタイピングを練習しようっていう方の場合にはDVORAK配列は効率の上でも非常に有効だと思います。 私も時間をとって少しづつ習得してみたいと思っています。

 DVORAK配列を実際に使用するにはキーボード配列変更ソフトなどを使用してソフトウェア的に配列を変更してやってからキーボードのキートップをDVORAK配列に入れ替えてやるっていうのが一番いいと思います。 最初からDVORAK配列のキーボードも売っていることは売っていますが、値段が少々高い上にキーボードの種類も少なくて選択肢に欠けますので。

 なお、他にも日本語入力に特化した配列はいろいろあります。 TRON(トロン)配列、NICOLA(ニコラ)配列、M式配列などです。 NICOLA配列は親指シフトといえば聞いたことのある人もいるでしょうか。 でも、これらの配列はちょっと問題があって、シフトキーを押しながら日本語を入力するっていうシステム上、入力時にひと手間がかかってしまうのでそれほど早く打鍵が出来ない上に習得が非常に難しく、しかも専用のキーボードが必須になってしまう上にそのキーボード自体がなかなか手に入らないって事があります。 特にTRONやM式はもうどこを探してもありません。 省力化っていう意味では非常に良い配列なんですけどね。 だからこそQWERTYよりもお手軽に習得できて、ソフトウェアを入れるだけで配列を変更でき、しかも効果の高い物って事でDVORAK配列はオススメの選択肢でしょう。



nキーロールオーバーについて

 ロールオーバーというのはあまり馴染みのない言葉だとは思いますが、これはキーボードを制御するコントローラーがキーを同時に押した場合に認識してくれる数を指します。 実はこれは高速打鍵時にミス入力を予防する上で必須ともいえる機能です。

 キーボードのコントローラーの重要な機能として、同時打鍵認識数をどこまでサポートするかって所に品質の差が表れてくる場合があります。 通常のラバードーム&メンブレンキーボードの場合はキーストロークの底まで押し切らないとスイッチが入らないという構造ですから、スイッチがオンになっている状態の時間が極めて短いため、問題が出にくいのか最大同時認識数が3の物が多いです。 このように3キー同時押しを認識する物を3キーロールオーバーといいます。 この場合4つ目のキーを打鍵しようとすると認識してくれなかったりするわけです。 ひどいものになると2キーロールオーバーなんて物もあり、Ctrl+Alt+Sだなんていう3キー使用のショートカットを認識してくれなかったりとかも。 対して、nキーロールオーバーというのはどのキーをどれだけ同時に押しても全て認識してくれるという最高級のコントローラーを積んだものなのです。 普通メカニカルキーボードには最低でもnキーロールオーバーとはいかなくても疑似nキーロールオーバー(キーマトリクスにもよるが通常打つパターンでは5〜10キーほどの同時押しをサポートしている物)が積んであります。

 特にゲーム用途などで多くのキーを同時に押す機会の多い場合には、こういったコントローラーが良い物を選択しないといけません。メンブレンキーボードはほとんど全部と言っていいくらいに2か3キーロールオーバーで、メカニカルキーボードは通常は疑似nキーロールオーバー、一部の高級キーボードは完全nキーロールオーバーというのが一般的なところです。