Diary 2004. 3
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3月14日 (日)  スペインテロ事件

スペインマドリッド近郊で、3月11日早朝に起きた列車同時爆破テロ事件の犠牲者を追悼し、テロに抗議するデモが12日夜、スペイン政府の呼びかけで行われ、スペイン国内全体で国民の四分の一に当たる1,100万人が参加した。
マドリッドではデモ参加者の為地下鉄が無料にされ、人波が街を埋め尽くし「我々はみんな列車の乗客だ」「団結したスペインは何者にも敗れない」などと叫びながら歩いたという。

起こって欲しくないのは当然の事ながら、イラクに人道支援という都合の良い解釈で自衛隊を次々に派遣している日本も、今やテロの対象になっているだろうと考えるのはそう間違っていない事と思われる。何が起きても不思議ではないのだ。
ただし、日本でスペインと同様な事件が起きたとしても、人口の四分の一3,000万人が参加するテロ反対のデモなど成立するであろうか。ましてや、テロ事件発生翌日にである。

世界が緊迫した状況にあるというこの時期、日本ではというと、実に情けないお粗末な話ばかりである。
前民主党衆院議員古賀潤一郎の学歴詐称問題、佐藤観樹の第2公設秘書の給与搾取事件、中央省庁幹部による特殊法人や独立行政法人の天下り問題、はや失速の国会議員互助年金(議員年金)の見直し論議、警察の捜査用報償費不正経理問題、警察官の女児連れ回し事件、次々に起こる医療事故、徳州会グループ所得隠し、三菱ふそうトラック・バスのリコール隠し、少女ものの雑誌やビデオ、DVマニアによる女児殺人事件などほぼ毎日発生する数々の生臭い事件、などなどいい加減にしてくれという問題ばかりだ。

勤勉なはずの働き盛りの世代にすら、その働き場所がなくアルバイト生活、派遣社員生活を余儀なくされる日本、例え正社員になっても少ない人数の為に起こる就業時間の延長、サービス残業の増加など若い世代のやる気を失せさせる目先だけを考えた近頃の企業の体質など、遠い将来どころか、ごく近い将来の世代を超えた不安は拭えない。

官も民も世の中とにかく目茶苦茶だと思えることばかりが蔓延している。
変だと感じる、間違っていると考える判断力が失せてしまったとは思えないが、自身を含めて国民は諦め気味なんだろうと思う。相変わらずの事ながら、誰がリーダーになろうと世の中変わらないと、選挙にすら真剣に関わらなくなっているんだと思う。
政治家が、誰からも真剣に咎められることなく安穏に生長らえやすい時代だ。
政治改革、外交問題、何事に関しても共通するスピードの遅さを見るにつけ、とにかく任期中はあまり問題になるような事には、なるべく手を付けない、手を汚さないというのが本音なんだろうと思う。

今や遠い昔話になってしまったと言える安全神話の崩れ去った日本では、子供の躾け、教育、日常的な隣近所の常識を失する事例、迷惑行為に対しても、危なくて注意すらできない。
この延長線上に、何事にも目を向けない、聞かない、抗議することをしないという国民に洗脳されてしまったんだろうということがあると思う。反骨精神などと言った言葉は消え去った過去の言葉なのかもしれない。
戦後たったの60年弱、勿論、ある意味では団塊の世代を含めた私の世代の責任は大きい、と思わざるをえない今日この頃である。


3月15日 (月)  スペインテロ事件2

2002年夏、NHK BS2の地球に好奇心「千年の道、祈りの旅」制作の為、約40日間スペイン北部(イベリア半島)を東から西へ約900km、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼の旅路を撮影した事がある。
その時のコーディネートをしてくださった方に連絡したところ「スペインはちょうど総選挙の直前でもあり、政府が情報の操作をしている可能性があり、国民は安心して事態を見守ることができません。今日、14日が投票日ですが、選挙が終わってから政府の態度が変わるのでは、と予想されています」といった内容のメールが届いた。現地に住む人からの生の声である。

有力紙エルパイスによると、北部バスク地方の独立を求める武装組織「バスク祖国と自由」(ETA)の犯行、あるいはイスラム過激派アルカイダの犯行、いずれにせよテロ反対の世論は変わらないが、政治的な影響や投票行動が変わってくると指摘している。
事件がイスラム過激派の犯行となれば、イラク戦争がらみの対米追従政策が問われるのは必至であり、日本にとっても決して遠い国の話ではないのである。

また、小泉首相は13日、広島県宮島町の厳島神社を参拝したようだが、「二拝二拍手一拝」の神道形式だったようだ。就任以来、4年連続して靖国神社を参拝している小泉首相に対し、

「中国の温家宝首相は14日、全国人民代表大会(全人代)の閉幕後に北京の人民大会堂で記者会見し、日中関係の主要な問題は「日本の一部の指導者がA級戦犯が祭られている靖国神社を何度も参拝し、中国とアジアの人民の感情を大きく傷つけていることだ」と述べ、小泉純一郎首相の靖国参拝を厳しく批判した。  〜朝日新聞(03/14 22:12)〜 

我々のリーダーであるべき小泉首相には、何はさておき、まず第一に国益を考えた冷静な判断、敏速な行動を望みたい。




3月18日 (木)  スペインその後と靖国問題

14日のスペイン総選挙では、与党の情報操作もあったようだが、投票前夜の13日夜、犯行声明ビデオの発見などでイスラム過激派の犯行説が強まり、一気に野党社会労働党の勝利に結びついた。列車同時爆破テロがこの選挙に大きな影響を与えたことに間違いはないようだ。
アメリカに追従したイラク戦争問題をめぐる政府への不信感が、イスラム過激派の犯行説が強まったことによって市民の間に再燃したのであろう。
総選挙で勝利した社会労働党のサパテロ書記長は、選挙での公約に沿って同国のイラク派遣部隊を、イラクへの主権移譲の期限である6月30日撤退させる考えを明らかにしている。

小泉首相は、スペインでイラク派遣を推進した与党が敗北したことについて「それぞれ国によって違いますから」と述べたにすぎない。

3月18日、AFP通信によると、国際テロ組織アル・カーイダ系のイスラム過激派「アブ・ハフス・アル・マスリ隊」が、ロンドン発行のアラブ圏有力紙「アル・クドゥス・アル・アラビ」に声明を送り、日本、英国、イタリア、サウジアラビア、オーストラリア、パキスタンの6か国を「米国の従僕」と名指しして、マドリードで起きた列車同時爆破テロと同様の攻撃を加えると予告した。同隊はマドリードのテロで、犯行声明を同紙に送っている。
日本がテロ攻撃の標的になっているのは明らかで、現実的で最も危険な場所といえば、自衛隊派遣先イラクのサマワだと思えるが、危機管理意識の希薄な、対処法をもたない日本国内で、何が起きても不思議ではないと考えられるし、自爆を含めた交通機関などへの攻撃は防ぎようがないとも思える。

また、小泉首相の靖国神社参拝問題で、中国の温家宝首相が「中日関係の主要な問題」と強く批判したことについて15日、小泉首相は「日中関係は良好ですから。これからも私が靖国参拝しても、良好な関係を続けていきたいと思う」と述べ、今後も靖国神社への参拝を続けていく考えを示したが、在日中国大使館の程永華公使は16日、中国の北京―上海間高速鉄道計画への日本の新幹線導入の動きが、小泉首相の靖国神社参拝によって「影響を受けた」と言明した。
程公使は中国のネット上で示される市民の意見には、新幹線導入反対が多いとし「今の国民感情では、日本に決められないかも知れないといった雰囲気だ」と説明した。その上で「靖国問題が解決すれば、対日感情改善の大きなきっかけになる」と述べた。

また、韓国の羅鍾一(ラ・ジョンイル)新駐日大使は17日、ソウルで日本記者団と赴任前の会見を行い、小泉首相が毎年靖国神社を参拝する意向を表明していることについて「未来志向的な(日韓)関係の発展に障害とならないよう思慮深い対処が必要だ」と述べ、首相に慎重な対応を求めた。

北朝鮮問題、年金など遅々として進まぬ諸問題、自衛隊イラク派遣問題、靖国問題、聞く耳を持たずの明らかに国益を損ねる小泉首相、政府の行動には失望せざるをえない。柔軟な、思慮深い対処を心から望むのだが、ますます孤立していく日本の姿が見えてくる。



3月20日 (土)  ブッシュ、小泉政権に対する不安!

小泉首相の靖国神社参拝が原因で日中首脳による相互訪問が途絶えていることについて、小泉首相は19日「さまざまな分野で交流が進んでいる。私の訪問を中国が望まないときに、私は行く必要ない。それでも日中友好を進めていく方針に、変わりはない」と述べたが、隣国中国に対する敬意どころか、関係改善を積極的に推進しようとする熱意、誠意、態度が微塵も感じられないのはもとより、開き直りとしか思えないほどだ。
また、日中関係の現状について「貿易の分野でもいろいろな交流が続いて貿易額も増えている。中国の発展は脅威でない、むしろ(日本経済にとっても)チャンスととらえるべきだ」と語っているのだが、中国高速鉄道の日本型新幹線導入に関しても、そのチャンスを自ら放棄していることに気がつかないはずはないだろうと思うのだが、靖国参拝はやめない、というこの頑固さは修正されそうにないようだ。

また、3月20日付け朝日新聞などによると、イラク開戦1年、ポーランドのクワシニエフスキ大統領は18日、イラクで大量破壊兵器が発見されていない状況について「我々はだまされた」と述べ、米国を批判した。ポーランドは親米国で昨年3月のイラク戦争開戦時に戦闘部隊を派遣し、戦後も治安維持に全面協力している。
大統領は仏記者団との会見で「大量破壊兵器に関する情報でだまされたことに、不愉快さを感じている」と述べ、別の記者会見で「これは米英と、他の多くの国々の問題だ」と指摘した。
イラクからの撤兵時期についても、従来表明していた「05年半ば」より早く「05年初め」となる可能性に言及した。
スペインの撤兵方針表明で、米国寄りの「新しい欧州」の一角が崩れ、ポーランドは欧州で孤立する可能性が出ている。一方、イラク復興事業での受注増や渡米者へのビザ基準緩和といった米国への要求は満たされていない。このため、もともと派兵に反対の声が半数を超えていた国内の不満は高まっている。 大統領の発言は5月に欧州連合(EU)加盟を控え、米欧間のバランスを考慮して、軌道修正を図ったとの見方も出ている。
反響は大きく、米国では政府首脳が両国関係の不変を強調するなど対応に追われた。クワシニエフスキ大統領は19日、ブッシュ米大統領から電話を受けると、「ポーランド軍は、必要とされるよりさらに1日長くイラクにとどまる」と確約したという。

小泉首相は19日夜、イラク戦争開戦から1年となることに関連して「正しい戦争だったと思っている」と改めて強調し、スペイン列車爆破テロ後の犯行声明で日本もテロの対象となると示唆している点については、「そのテロの脅しに屈してはいけない。テロとの戦いは長い。覚悟しなきゃいけないと思う」と述べた。
日本国民にテロと戦う覚悟があると思うかとの質問には「あると思う。だからこそ、小泉内閣を支持してくれていると思うし、イラクの今の自衛隊の活躍に理解を示してくれているんじゃないか」と発言したが、テロと戦う現実的な覚悟などあるはずもなく、この認識不足は驚くほどだ。

また、「テロがここまで頻発すると思っていたか」との質問には「そうは思っていなかった」と、イラクなどでの混乱が予想を超えるものであることを認めた。そのうえで「テログループも今、必死でしょう。我々も苦しいけども、テロのグループもここで混乱させないと自分たちが壊滅してしまうという危機感があるんじゃないですか」と述べた。

また、イラクで大量破壊兵器がいまだに見つからないことについて、ポーランドのクワシニエフスキ大統領が「我々はだまされた」と語っていることに関し、首相は「(だまされたとは)全く思っていません。私はないとは断定できませんね。今でも私はあると思っていますよ」と述べた。

ブッシュ米大統領は19日、イラク戦争の開戦1年を迎え、各国大使を招いてホワイトハウスで演説し、「我々は、共通の危険に対して結束し、共通の目的で手を結んでいる84カ国を代表している。テロの脅威を認識し、その脅威に打ち勝つ国々だ」と述べ、各国と協調しながら対テロ戦争を継続していく決意を強調した。

大統領は、スペインのマドリードで起きた列車同時爆破テロに関して「世界が戦争の中にあることを改めて我々に認識させた」と強調しているのだが、絶えることないテロ活動、世界を戦争の渦の中に巻き込んでしまったのは、当のアメリカブッシュ政権にほかならないのだが。

スペイン、ポーランドなどが国民の民意を取り入れ、急速に政策転換をしている中、小泉首相の、どこまで右傾化していったら気がすむのかと思えるほど、徐々に大胆になりながら突き進むこの気配は非常に危惧される。


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