敬称略です。


１．月川ひとみ

　派手なピンクのスーツ姿の６人を従えて、露出が多いパール色のドレスで大胆に。銀のアクセサリーがきらびやかに輝いて、ゴージャスな印象です。
　無骨なロックのリズムをタイトに刻み、ドラムが遅れ勝ちにズシンと入ると、タメを効かせたステップで颯爽と応えます。一音一音を引きずるような米国南部のニューオリンズ風のサウンドが、アレンジに混じって聞こえてくる頃には、左右に深く踏み込んで膝を沈めてと、全身を使ったエモーショナル表現へ。合間にかぶせた和太鼓の響きさえ、なにやら異国な楽器のように異質に響きます。
　ベッドは指先にいたるまで血を通わせて丁寧に仕上げます。緊張した面持ちで始め、挑みかかって盆を制圧し、腰に巻いていた紫の布をはらりと落とすのを、立ち上がりまで引きつけます。
　移動台が本舞台に吸い込まれる間際に、派手なポーズで引きつけます。



２．ＨＩＲＯ

　黄、紫、アーシーな赤茶色の取り合わせ、背には鯉の鱗模様、着物風の創作衣装で絢爛と。くるりと和傘を回して粋な風情、照明の効果を借りて神秘的に見せつけて、ネオロマンチシズムの香りが漂います。
　三味線がせり上がり、ベースが駆け下り、なじみやすい旋律がモダンにアレンジされて、疾走します。盆に渡るまでの長い花道。ドラマチックな演奏で盛り上がるなか、盆に着いて突っ伏して、肩で息する様子、生気を吸い取られたかのように苦悶の表情を覗かせます。
　瀕死の白鳥になぞらえたものか、衣装を剥がれて、着衣は黒いブーツひとつ、革紐がきりきりと脛を締め付けています。
　天翔るようなハードロック・バラードで息を吹き返し、ダイナミックなポーズでヒロイックな興奮に酔わせます。



３．成島りゅう

　バニーガール５人を束ねてちょっとした寸劇仕立て。各人に喜怒哀楽の表情を演じさせて性格を描きわけたその後で、整然とした振付でまとめます。
　曲が変わって花道行きの立姿では、グラマラスな長身を、羽根をあしらった薄手の生地で包みます。マントのように羽織った姿は翼を休めた鳥のよう。そのまま背負ってゆるやかに広げ、しなやかに反らせた身体で大きなスワンを支えて、盆からの立ち上がりへ。細い指をしなやかに遊ばせるさまは自由自在で、落ち着き払っていきいきと演じます。
　チェンバロで始めた終曲は、結婚するふたりを祝福するにぎやかなもの。教会のチャペルを模した音階をちりばめて、ドラムも児童合唱も総動員。
　晴れがましいボーカルにつられるように、明るい表情で舞台をまとめます。



４．広瀬あいみ

　紫のチャイナ服は、体側の片側に大胆なスリットを入れ、かろうじて紐で結んでとめる格好で、脚のつけ根までさらしかねません。それでもお構いなしに、伸びをするようなポーズをしてみせたり、すり足でつま先をスライドさせてみせたりと、誘惑をさらに加速させます。フラットに５人を舞台上に展開させて、５人を等分に見せつけてます。
　下手面前で着替えたメインは、きびすを返して花道を抜け盆へ。
　背筋をすっと伸ばして誇らしげな姿勢をとって、グラマラスな身体を見せつけます。
　ベッド着にしたドレスは黒のシースルーで、長い裾を巧みに捌き、ポーズひとつひとつに気をこめます。
　反身で真後ろを頭越しに振り返る姿勢では、その先に輝くミラーボールの光を一身に集めたようで、正攻法で豪快なエンディングを迎えます。



５．瀬能優

　蛍狩りのように団扇を手にした３人娘が、くつろいで盆踊りの輪に加わるかのよう…
　“ワン、ツゥー、スリー、フォー…、（ときに一拍休止）”
　突き抜けたラテンのノリで、リズミカルでいかにも楽しげです。
　シトラスやライトブルーの明るいドレスを浴衣のように着こなして、短いスカートからほっそりした素足を覗かせます。その愛くるしさに客席も、つい気をそそられます。
　花道行きからは一転して、厳かな和物のように、余計な空気をそぎ落とします。
　シースルーの黒の襦袢に夜桜を咲かせたような刺繍。煌々と月の光に照らされたような穏やかさ、歌の言葉にからめて静謐な世界を紡ぎます。



６．杏野るり

　白のたっぷりとしたダンス着を揺らす５人。センターにメインを据えて引き立たせながら、シンメトリーを担う残り４人は、左右のバランスを崩すことなく、めまぐるしく動きます。メインには、マイムばりの振りを与えたり、脱力してぐったり沈むような演技までさせて、あくまで目立たせようとしてみせます。
　かけひきを応酬するなかで、５人の間の緊張感はいやがおうにも高まります。
　ベッドはメリハリを効かせ、節目でポーズを刺し貫きます。垂直に上げる腕は天を指して真摯で厳かな印象。深くたたむ股関節、柔らかく返す手首はたおやかな印象。
　弓をつがえて引き絞るように、コンパクトに身体をしならせる綺麗なアーチ。見る者の目を休ませながら、間合いよくポーズを放ちます。



７．澄川ロア

　ジャズ・フィーリング溢れるエンタテイメント・ショー。ルージュを思わせる真っ赤なドレスに、黒のアクセントを添えてコントラスト。
　スタァのようにソロ・ダンスで魅了したり、セクシーな燕尾服姿のバック・ダンサーを従えて、コミカルな演技に興じたりと、大忙し…
　盆へ上ると、すっと立ち、下着を取り赤い布をふわりと身体に巻きつけ、羽衣のように纏います。欧米の歌手がコンサートやディナーショーで見せる、サービス精神たっぷりでお客さんをもてなす態度を、ここで演出したかったのでしょうか。
　盆の四方に愛想を振りまいて、インチメートな空間を演出します。夢見がちな表情で、盆の縁に腰掛けて、語らうように視線を近くに落とします。間近に見るくつろいだ表情、いきいきとした視線の動きに、息遣いさえ感じとれて、身も心も癒されます。
　名残惜しさを後にして戻る花道は、こころなしかセンチメンタルを感じさせるかもしれませぬ。