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[7998]11頭・中 浅草 Steps on Broadway
=八卦(関東)
=19/11/25(Mon)23:38

敬称略です。



1景 ブランコ乗りマ−サが孫を諭す ALLIY

空中ブランコのように宙吊りで、マーサが降りてくるまで、導入部にミュージカルの有名な曲を使って、お芝居の世界に誘います。
花形、リーディングプレイヤーは芝居全体の進行役。
主役を嘲り、おだて上げ、青二才の主役を華々しいエンディングへと導きます。

リーディングプレイヤーが『Join us』と呼びかけると、客席も温まります。
ステッキ1本手にして颯爽とスウィングで踊れば、客席はヒートアップします。
ピエロから早替わりでスーツ姿に、バックダンサー4人も華麗なステップでステージを盛り上げます。

ベッド1曲目はリラックスしてなだらかなリズムに身を委ねて軽いノリ。
2曲目イントロで前盆を照らす照明をぐっと絞って、幻想的に。
現代に蘇ったサーカスの趣で、アグレッシブなダンスベッドへ。
長い金髪を振り乱して、跳ね回り、喜びが後から後から沸いて、溢れ出るよう。
感情表現に打ち込みます。



2景 アニーが銃を弄ぶ 楓彩

ウエスタンでガンファイト。
カウガール姿のメインをウエスタン・スタイルの金髪美女が囲みます。
フィドルやバンジョーにのせて、ラインダンス。
アップテンポのリズムに煽られて、ヤァ、ヤァ、ヤァ、ヤァッの掛け声に、気持ちが高揚してきます。

拳を振り上げ、かいぐりかいぐり、はい手拍子ポン・・・、フォークダンスっぽく極めてシンプル。
小学校の校庭で、みんなして手をつないだアレを思い出しました。
陽気なヤンキー姿、金髪なびかせたおつむにちょこん、キャトルマンハットでキメ。
投げ縄放ち、拳銃撃ち、ヒヒン、たずなを引き絞ります。

メインは盆で艶っぽく、愛用のライフルを愛おしそうに撫でさすります。
あぁ、アタシのウインチェスターよ・・・、あいつのマグナムよ・・・
と、つぶやいたとか、空耳とか。

しっぽり濡れたベッドへ。
きっぱりと決意を綴る、別れのラブソング。
終曲はうってかわって、パーティー気分のやんちゃな曲。
つのる想いは、花道戻りに炸裂!
百発百中のアニーが銃をとれば、ハートが100程奪われます。



3景 グィードさいこー 藤咲茉莉花

才能がありながらストレス耐性低いナイーブな男。
満たされない愛をむさぼろうとむらがってくるイカした女たち。
ため息もれるほどの色気で、精気を吸い尽くします。

ラメ入りシルバーのショーガール・コスチューム。
ぴったりとボディラインに吸いついて、ヒップがはちきれんばかり。
ゆらゆら揺らしてアピールします。

脇を固めるイケメンはしゅっとしていてスーツ姿が似合います。
ネクタイ緩めてオフ感を演出。
クールなダンディはスマート。
はにかみシャイボーイはいじらしく。
それぞれ思わせぶりに振りをくずしながら、ぴったり寄り添いメインをエスコート。

ベッドは黒のランジェリーで悩殺。
うねり腰、小刻みな振動が下半身から脳天へ突き抜けて、巻毛のブロンドがほどけたらどうしましょう。

♪………baby did a bad bad thing
Feel like crying
I feel like crying
Oh feel like crying………♪

いまいましげな彼氏の顔が目に浮かびます。



4景 蝶々婦人in 1975 小野今日子

終戦でも当時の記憶に振り回される米兵クリス。
娼婦キムも正妻エレンも、その闇からクリスを救えません。
‘I still believe・・・’
運命がもたらす残酷な三角関係。
ふたりの女性がそれぞれの境遇を堪え忍ぶ情景から4景は始めます。

ベージュ色のたっぷりしたワンピースに身を包み、
ふさいだ表情、不安げで切迫した態度で、バレエ振りにひたむきに打ち込みます。
暗くしたステージを、間接照明のようにほのかな光でライトアップ。
ひとりきりで、追いすがるピン・スポットを振り切るように、
広くステージを使いきり動きます。
素早い動作で剛直に見えかねない振付を、しなやかな動きで受けとめて優美に見せます。

ベッドは堂々した歌唱に、静止時間の長い、堂々としたポーズベッドで返します。
1曲目より前、そもそもの発端、純朴なキムに米兵クリスが恋に落ちた瞬間に、
狼狽のあまり運命を翻弄されていることを恨み、神に問いかける場面です。

♪Why God, why this face?
Why such beauty in this place? ♪

言葉を噛みしめるように、ゆったりとしたテンポで堂々と、
フルオーケストラが高らかに鳴り響きます。
立ち上がり、一礼、花道戻り、閉幕前の最後のポーズ決めと、
ゆるぎのない演技でつないで、幕の向こうに消えてゆきます。



5景 サリーったら女狐ネ 藤川奈緒

時は1930年代、所はベルリン、場末のキャバレー。
キットカット・クラブに身を寄せる英国歌手サリー・ボウルズ。
表情豊かにジェスチャー交えて歌うシャンソンは、ウィットに富んでユーモラス。

♪あなたとの恋はおしまぁ〜ぃ。(ぽい)♪

ちょっとかわいい容姿にすぐ釣られる男のサガ。

この場面は7人横一列で椅子を用いたスタイリッシュなダンス。
黒いハットに、露出度の高いバニーみたいなコスチューム。
黒いタイツのおみあしをゆらり揺らして誘います。
椅子上の静止ポーズやジェスチャーは、あえて7人を揃えず、
微妙にずらして緻密なアンサンブルを築きます。
やおら立ち上がって7人が交錯し、左右ごっそり入れ替えたシーンには目を見張ります。

1曲目を終えて7人が椅子を引きずりハケた後に、
メインが鮮やかな赤のベッド着で、身を躍らせて盆へ向かいます。

♪ママには内緒にしてね、この店のことは(はあと)♪

思わせぶりには、もう抗えません。

ベッド1曲目はR&B、女性ボーカルの芯の通った声にしびれます。
キュートにコケティッシュに振舞います。
終曲は心を鼓舞するゴスペル・バラード。

♪勇気がある、傷はある、でも、ありのままでいく。
 それがわたしだから・・・♪

椅子の上に片足をのせて、横向きで身を反らします。
雄大なスケールの幕引きです。



6景 ミス・シャンプー・コンテスト1等賞! 橋下まこ

笑いあり、涙ありのドタバタ・ロマンチックコメディ。
60年代亜米利加のティーンエイジャー達が、ダンスフロアで踊りの輪が広がって、
素敵なハッピーエンドへ。
そのラストナンバーで、6景は始まります。

リーゼントのあんちゃん2人は、ローティーンのトレーシーにダンスのお相手を所望。
オレがオレがと争います。
華麗なステップすると、2人は唖然として、苦笑い。
場は一気になごみます。

客先まで巻き込んで、さぁ踊ろうぜ!
ゴーゴーダンスの振りは、クロールのように左肩、右肩の順に回しまして、
肩の高さに上げた両肘を、90度曲げて、閉じる、開く、閉じる、開く・・・

まぁまぁお上手お上手、ぱちぱちぱち。
トレーシーに褒められたら満更でもありません(てへ)

ダンサブルな1、2曲目の勢いのまま、ベッドは元気よく朗らかに。
1曲目がR&Bでしたから、シメはやっぱりロケンロー!
立ち上がり、花道戻りを使い切りダンス、ダンス、ダンス、幸せな笑みを振りまきます。



7景 死の接吻 南まゆ

謎めいた存在、トート。
王妃に生涯つきまとい、大詰めではとうとう王妃に、
『死』という名の安息をもたらす役回りです。
世紀末らしい厭世的な世界観を王妃の御子息に吹き込んで、自爆テロに追い込みます。

子息とトートのかけあいは、激しい応酬。
バックダンサー4人はフェンシングのような鉄仮面をかぶり、
黒のマントにボディタイツ。
子息の心に闇が広がるさまを、
めいっぱい体を使ったダンスで暗示します。
誘惑、挑発、征服の過程は、まさに悪魔の所業です。

王妃の御子息を自滅に陥れたトートは、
遺体をいたわる素振りを見せながら、
憂いを帯びた表情へ。
羽毛を敷きつめた白いマントを羽織り、
ふさぎこんだ表情のまま花道、前盆へと進みます。
気色ばんだ表情は、なぜか憤りさえ伝わってきます。

白いマントを袖に置き、ためらいがちに足を運んで5歩で止まります。

♪ Hallelujah
Hallelujah
And it hurts like brand-new shoes
Hurts like brand-new shoes・・・♪

バラードは沈んだ声、悲痛な思いに浸ります。

ベッド立ち上がりは二重唱。

♪Ich hab' mich so nach dir gesehnt
  お前のことを待ち焦がれていた♪

と、勇み足気味に歌いだすトート。
神経質そうなテノールで
 ♪今こそあなたは私だけのものになれ♪
と歌います。

それを飲み込むように豊かな声量で王妃は、
♪Denn ich gehör... ... nur mir!
  何故なら私は・・・私だけのものだから!♪
と熱唱して、事切れます。
トートは虚しさを噛みしめます。

花道戻り、長い引きを、メインは寂しい心情を胸におしいただいて、
露骨に悔しさを見せず淡々と演じます。
優しげな旋律にドラミング、オーケストラが響いて壮大なフィナーレへ。
それも運命と、甘んじて引き取るように、横顔が語ったように見えました。



フィナーレ 赤い風車

フィナーレのフレンチカンカンはもうおなじみですね。
巴里郊外、ムーランルージュの華やかさと猥雑さ。
スカートの裾とペティコート、まくった下のショーツをチラ見せ、モロ見せ。
黄色い声は100㏈超え。

袖から袖へ一気に駆け抜けて、
10人をステージに均等に散らして、
左右5人組に分けまして、
上手5人を躍らせたまま、
下手5人アドリブ芝居の真っ最中。
わいわいきゃぁあきゃぁああああ、大盛り上がりのなか、
白い衣装に着替えたトリを迎えいれます。

11人一丸で花道をせり上がり、
縦一列に隊列を組んで、上手袖で列を折り返しながら、後ずさり。
最後は11人が融和して、閉じかけた幕の間から屈託のない笑顔で手を振ります。


                           以上

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