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[7999]12中・結 浅草 Passion
=八卦(関東)
=20/01/06(Mon)20:44

敬称略です。


1景 フローラ 小宮山せりな

フローラたちの饗宴、愛らしい花の精がひとりブランコに掛け、
仲間のささやきに耳を傾けて微笑みます。
光沢ある白のバレリーナ風コスチュームに、白、ピンクのバラが咲き誇ります。

♪must be talking to an anngel♪

お顔ハレバレ、心ウキウキ、待ちきれないほどの喜びをおすそ分け。
花びらのシャワーを振りまきます。

はしゃいだ勢いのまま盆に駆け寄ると、一瞬にしてあたりは闇に包まれます。
高い天井の片隅から、光の帯が注がれました。
頭上に吊られた満月のようなリングが、
5mから1.5mの高さまでするすると降りてきます。

吊られたリングのカラビナが滑車のように勢いよく回ります。
あえて重心をずらしてリングに体を預けると、
ダイナミックな動きが加速します。
立て続けにポーズベッドを切るように、
宙吊りでアクロバティックなポーズを連ねます。

やがて地上に降り立ってにっこりと微笑みかけたとき、
こちらもホッと安心しました。



2景 風 倖田李梨

背を向けてすっと立つ姿が、白い衣装で闇の中からぼうっと浮かび上がります。
白いスクリーンに映すプロジェクター、
モノクロームで宙を舞う鳥の羽根がちらほらとよぎるだけの、
ストイックなステージを繰り広げます。

あぁ、振り返った。
目が泳ぐようなのは飛び交う羽根を目で追うから。
黒い髪を振り乱しながらのバレエ振り。

打ちひしがれた心に追打ちをかけるように、
寒風が吹きすさびます。
25ノット →30ノット →40ノット
突風に支えきれずに体がなぎ倒されます。

スクリーンを引き上げて、
闇に黒い衣装で立ちました。
途切れなく続く曲を受けとめて、
盆に到達してなおも踊り続けます。

1曲目終わりで倒れこみ、
2曲目ベッドで祈りを捧げます。

♪小さな願いのはじまり
 灯る火を両手で
 風の強い日には消えそうになってるけど
 守るように大きくなるように・・・♪

淡々と流れる時間に、
くさびを打って止めるようにポーズ、レイバック。

歌詞は「きっと・・・」を最後に口を閉ざし
ステージは闇に沈みます。



3景 百合 椎菜アリス

女子校の校庭裏のベンチでは、桜の樹が頭上に枝を張り巡らしています。
何をするでもなく散る花を見やる、制服姿4人、青春群像。

A子ちゃんへのメインの片思いが高じて、実を結ぶはずのない恋の花を咲かせます。
さやあて、やっかみ、嫉妬に妨害・・・

メインの想いを尊重したい客席の応援があったからでしょうか、
A子ちゃんと手をつなぎ、桜並木をくぐるシーンにやっとこぎつけました。
正面向き合い額を寄せて、髪をなでる姿に、萌えます。

ベッドはかわいらしさを保ったまま、フェチでこだわりの画を見せました。
白いシャツのボタンをはずしても肘までは抜かず、
ブラジャーの下のふくらみは、チョッとズラしてチェリーを覗かせるまで。
恥らうそぶりで絶対領域を覗かせて、
さらにその奥のほうをかいま見せての、浮き腰のポーズ。
ありきたりのポーズベッドからズラして再構築。

最後に臍から上を脱いでみせた後、
花道は軽やかなスキップで戻ります。



4景 フラッパー 豊田愛菜

フラッパーは自由奔放でコケティッシュ。
1920〜30年代の西欧で、
夜な夜なクラブに入り浸り酒とジャズに溺れる日。
ボーイッシュな風貌に、金髪、ショートヘア。
スカートを短く切り詰めて穿いてふくらはぎまで人目に晒します。

クラブのつるつるのフロアに、
高いヒールは滑る、滑る。
でも構わずにエレクトロ・スウィング。
チャールストンでグイグイいくわ、酒もグビグビ・・・

あぁ、言わんこっちゃない。
バーカウンターによじのぼってキック一閃、
グラスを蹴散らし照明を叩き割る。

花道上りは移動台にて、
目に鮮やかなグリーンのロングドレスタイプのベッド着で。
肩から腕にかけてを揺さぶりながら、
柔らかい笑顔で客席との距離を縮めました。

ベッド1曲目はスロウバラード。
悩ましげにセクシーに、ムードたっぷりに。

♪It isn’t that hard boy to like you or love you
I’d follow you down, down, down・・・♪

終曲はまばゆい光を浴びながら、
ポーズに立ち上がりに、花道戻りまで。
深いLから豪快なスワンへ、
ゆったりと流れるような動きでスケール大きくまとめます。

ピアノが分散和音を、弦楽器はかそけくも心優しい響きで包み、
つややかな女性ボーカルが1オクターブ上げてバラードを歌いきったところで、
ベッド着のストラップがはらり、肩から離れます。



5景 笞 川菜ひかる

びゅっ、ぴしっ、ぱぁん・・・
長い笞に、竹刀を振り回せば、乾いた音が耳元をかすめます。
ハードロックの阿鼻叫喚にのせて、
メインはスケバン仕立てのロングセーラー服。
睨みをきかし、食ってかからんばかりの剣幕です。

2曲目のリズミカルな曲の間に、
メインは黒いボンデージ・コルセットと網タイツに着替えます。
バックのふたりはその間、息の合ったペア・ダンスを披露します。

さらに1曲をかけて前盆へ。
けだるい、やるせないムードにのせて、じらすようにじっくりと。

冒頭とは一変してベッド入りでは、ミステリアスで沈み込むような感覚に。
ため息をつくような甘いささやき声で、盲目な恋を讃えます

♪I can’t quit you, (続けて4回繰り返す)
 ・・・regret it (   4回繰り返す)♪

心の隙間に悪魔が入り込むほど抗い難い魅力にしびれます。
ベッドはゆったりしたテンポで、シャープな動きも要所にちりばめます。
とりすました表情ですが、一瞬口元がほころんで含み笑いを見せたような気がしました。

終曲はヒロイックなハードロックの嵐で、ポーズ、立ち上がり。
反り身、L字、突き上げた拳の先に、しっかと鞭が握られています。



6景 巴里 桜庭うれあ

デフィやユトリロの瀟洒なタッチを想わせるイラストで、
プロジェクターが芸術の都、巴里を再現します。
明け方、東の空が白み始め、遠景からズーム・イン。
エッフエェル塔から街並みに、さらにダンス・ホールの中へと・・・

年端もいかぬダンサーが、影絵から跳び出して生身でイキイキと踊り始めました。

♪・・・I got my man,
Who could ask for anything more? ♪

幸せそう、嬉しそう。
洒落者の快活な好男子4人に囲まれ、
軽快なステップで全身を使い切って踊り、
往年のミュージカル映画から抜け出してきたよう。

なかでもメインは飾り気のないワンピース。
スカイブルーの地にカルピスみたいなドットを白抜きにして、愛らしく。

そしてネグリジェ風のピンドットのベッド着で花道へ。
桃、黄、水色の細かいドット、裾は鮮やかなアクアブルーのグラデーションで縁取ります。

ベッドはシャンソンの旋律にうっとり聴き惚れて。
4曲目は軽快なジャズで粋にキメ、
立ち上がりでは、幸せそうだったあの1曲目をリプリーズ。
観る者をチアするように、元気よくはじけまくります。



7景 郭 君島みお

郭にひそやかに咲く太夫がおりました。
それはそれは見事な大輪の、華のあるお方です。

おひきずりのお着物は光沢のある桜色、裏地はシルバー。
前結びの黒の帯をたらし、その上から金襴の打掛を羽織って、しゃなりしゃなり。
バック6人も見事なアンサンブルで、
「店」の喧騒と慌しい客対応をリアルに写しとって、きびきびと動きます。

舞台奥で着替えた襦袢は、褪めた朱。
スカのリズムを気にするそぶりもなく、咥え煙管ですまし顔、煙管を指先で弄びます。
前盆に移って腰巻をはらり、座った状態で大股開きを見せて、笑みを浮かべます。

人気の伊達兵庫髷に笄、櫛刺して、ビラビラ簪の揺れるさま、揺れる間から覗く涼しい眼。
優しげな眼差しにもきりり、気品を感じさせ、あらぬ世界へと引き込みます。

襦袢の袖から腕を抜き、L字、片膝立ちで水平方向に伸び上がり。
ちょうど盆もせり上がり、シンフォニックな音とまばゆい光の洪水に埋もれ、ベッドはいったん絶頂へ。

花道戻りでは、再び襦袢に袖を通し、迎えに来た移動台に飛び乗ります。
襦袢の長い袖を振りさばいたり、しおらしく袖で顔半分を覆って隠してみせたり。
そのまま立ち姿で舞台奥まで引いて、最後には横向き静止ポーズではらりと襦袢を落とします。
ぎっしり詰まったポーズに、大音量の曲が拍車をかけ、息詰まるような緊張から開放までを一気に見せつけます。



9.フィナーレ

逆光のなかに群像が浮かび上がります。
スパンコール輝くワンピースのショウダンサー。
リリカルなソロピアノが旋律パートを歌います。
続いてファンファーレ風のメロディが旋律をなぞり、
高音域に出た強い響きがそのままリズムとなって流れます。
ド派手な音楽にのせて跳ね回るように、ためてステップ、またステップ。

♪Take me, take me higher,
Take me, take me,
Take me all around the world♪

スッと伸ばした腕の先、
サッと伸ばした指の先、
上手へ、下手へと順に指し、
視線を送った先に、ロック・オン。

変幻自在に離合集散、混沌のなかに、
忽然と現れるシンメのフォーメーション。
ダンサブルに最後まで飽きさせないで、
壇上に駆け戻って、ヘイ!
片手を突き上げます。



                            以上

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