2000年5月9日(水)ストリップ濱劇
1.京都のモモコさん
2.小池まりえさん
3.白石千鶴さん
4.香坂ゆかりさん
5.森田久恵さん
6.秋吉里香さん
京都のモモコさん
出だしは浜辺に打上げる波の音ではじまる。紺色に白の水玉のワンピース。手には500ccのペットボトルにミネラルウォーター。真夏の浜辺でまどろむ年頃の女性をイメージしたものだろうか。時折、手に持ったハンカチ(のようなもの?)で、汗を拭う仕草が印象的。
さて、2曲目は、一昨年拝見した(娼婦を題材にしたものだと思う)の演し物で使った曲(ステージの最後の曲だったと思う)を、ビートを効かしてダンサブルなアレンジにしたものを使っていたので、あの演し物の続編かななんて思ったりもしたけど、ステージを見てイメージしたものが違うような気がしたので、特に関連性はないのかもしれない。ダンサブルだけど、やわらかな表現で、見ていてもうっとりとし、また、優しい気持ちになる。
ダンスとベッドの間は、再び、波の音。かなり長い時間、その音だけで演じていた。「このまま最後まで行くとしたら、物凄く挑戦的な作品だな」なんて考えも頭をよぎったが、3〜4分くらいで、ベッドの曲が流れ出した。
さて、そのベッド入り。出だしで持って来ていたージ上に置いたミネラルウォーターの500ccのペットボトルにある水を少し口に含んでみたり、高い位置から手のひらに注いで、ほてった体を冷ますかのように、水で濡れた手で腕をなでる。
ベッドでは、身に付けた布を全部とってしまうことがなく、見えそうで見えない。見せてしまうより、奥ゆかしさ、また、それゆえの美しさを感じさせる演出だと思った。動作も静かで、あえてブリッジなどのポーズも入れる必要も無いほどの雰囲気のベッドだったが、それでも大技と言えるようなポーズを入れていた。が、あくまでさりげなく、ステージの雰囲気を壊さない。
今まで見たことがあるモモコさんのステージは、アクティブな印象の演し物ばかりだったが、この演し物は静的。そして、(もしかしたら間違っているのかもしれないが)明確なストーリー性よりも全体的なイメージを重視し、また、小道具やそれを使っての振りに工夫を凝らせた、とても意欲的なステージではないかと思えた。また、演じている女性は「どういう女性なのだろうか」という想像力を掻き立てる非常に興味深い作品だとも思った。
小池まりえさん
赤いドレス。しばらくぶりの観劇だったが、少し表現の方向が変わってしまっているような気がして気になった。(sex appealという意味ではなく、うまく表現してやろう、よく見せてやろうという「欲」を感じるという意味で)色気を感じる、もしくは、(乱暴な言い方をすれば)真に表現したいものを演じるのではなく「横着な」表現になっているような気がした。
例えば、ベッド2曲目。一瞬、眉間にしわを寄せるような表情を浮かべていたが、ここはもっとおおらかで開放的な曲調にあわせて、精神的な余裕を感じさせるような豊な微笑みさえあれば、それほどの表情に変化を求めなくてもいいかなと思ったのだが。
私的には、小池さんにはスケールの大きさを感じているので、自分のもっとも望んでいる表現を素直に表現すれば、すごいパフォーマンスを見せてくれると思っているのだが、その分、多少残念に思う観劇となった。
まあ、これは私だけの見方であり、また久しぶりの観劇だったので、ちゃんとステージを見ることができず、見当違いな感想を持ってしまったのかもしれないが。
白石千鶴さん
「LunLun」。
先日、東寺で拝見した演し物とはまった雰囲気が違う。東寺で感じた大人っぽさは控えめにして、小柄な体やちょっとした表情によって少女のようなかわいさを強調したもの。
出だしは、つや消しのシルバーの生地に、ビーズ(のようなもの?)を大きな網目模様に縫いこんだロングドレス。袖などに白い羽をあしらったものだった。
ベッドでは、盆が回転する毎に、何度か見つめてもらった(気がした)が、かわいくて、やさしくて、どことなく大人の雰囲気もある微笑みで目を合わせてもらったような気がした。浜劇の盆は回転が結構速いので、5回くらいはその機会があっただろうか。なにせ、本当の目線が私の目と上下左右1mくらいずれていたとしても、「きっと私のことを見てるんだ」と思ってしまえる幸せな性格をしているので、こういうステージでは場合は、特に得した気分になる(笑)。
「LunLun」か。ホント「LunLun」。なんか、見てる方が「LunLun」。
なんて、思いながら、とても嬉しい気分に浸っていた。
森田久恵さん
「LATIN/中国拳法」。
ステージの小ささも関係しているのかもしれないが、ダンス部分は1曲目、2曲目とも大人し目。その分、ラテンのリズムの1曲目はよりキレイさが強調されていたように思うし、2曲目の中国拳法を取り入れたダンスは、型の美しさ、技のキレを重視していたように感じた。「拳法」的というより、より「ダンス」的になっていたということだろうか。
ベッドは、美しく、おおらかで、いつくしみを感じる。
「やはり、すばらしい」。この一言だろうか。
さて、本舞台上の壁が真っ白になっていたが、これでホントにいいのか疑問を感じる。照明だけなら、そのままの色がもっとも反映しやすいのだろうが、その前に踊り子さんが立ったとき、そして、その踊り子さんが色白であるほど、その壁に溶け込んでしまって、踊り子さんが映えてこないような気がした。
ただ、踊り子さんが盆にいるときの照明は、盆の真上と斜め上からの照明によって、踊り子さんが浮き出るような効果や、照明の陰影が踊り子さんの体の線の美しさを強調するような気がして、とても効果的な照明だと思った。
また、音響もいいかも。というのは、森田さんのステージは何度か拝見しているが、2曲目の低音のビートが、澄んでいて、しかも、心地よい残響も感じたりしたためなのだが、今まで拝見した中でもこうふうに感じたのは初めてのことだった。
Report No.168
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