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『アマの目』第2回は当団体の楽団長、チェロ@信さんです。タイトルは「昨今心がけている事は」。偉大な先輩が最近心がけていることとはどんなことでしょう?

第2回 楽団長の心がけとは?
「昨今心がけている事は」

 クレッシェンドすれば速くなり、デクレッシェンドすれば遅くなる・・・・・・これは人の正常な動きですよネ。 母親の胎内にいた頃の鼓動にリンクしていると聞きました。

こんなことを精密にコントロール出来れば、免許皆伝してプロの道が狙えるかも?

まあアマチュア奏者だから自然体が許されるでしょう。

しかし最近意識している事があります。 独白します。

第2回練習風景
第2回練習風景

初めて接した曲。これはとても印象深い。指揮者とオケとその中にいる自分との完全な創作活動なので、出来上がりは初恋の人に似てなかなか忘れられない。

理屈抜きで最高なんですネ、このプロセスは。これが後々尾を引くんです。

時が過ぎ、忘れた頃に別の指揮者、別のオケに参加してその曲を演奏した時、若かりし頃或いは青臭い頃の“俺”がムクムクと顔をもたげ、楽器が“俺流”で鳴ってしまうんです。 女々しいですか? 悲しいですネ。

社会人オケや学生&OBとの合同合奏などでは、こんな愛すべき“俺流”奏者にお目にかかります。 自分だけではない結構いますヨ。

迷惑するのは指揮者。つまり“俺流”で鳴った時は指揮者はいらないんです。すでに曲への思い入れが強過ぎて、運動神経が管理不能なんです。

2001年9月、鈴木静一生誕100年記念演奏会が開催されました。合計6回の合奏練習が始まりました。曲目は「死者と貴姫」「蝦夷」「失われた都」の3曲。参加者は当然のことながらSSファン。 滅多に演奏される事のない「死者と貴姫」は大方が初めての演奏。

「蝦夷」は少々。 人気曲の「都」はほぼ100%が体験済の代表作です。

技術的に無理のない「貴姫」と「蝦夷」は、6回の合奏を重ねて漸進的に本番までに仕上がりましたが、「都」を振ったA指揮者の心労は、それは計りきれません。その顛末!。

出席率が高い練習とは言え、1日目あるいは2日目までは相当数の“俺流・都”が鳴り響いていました。つまりスコアーには書かれていない、何かドロドロしたものです。指揮棒は単なる目安。奏者は、自分が育った・自分が信じる・・・熱い“俺流・都”に酔いしれました。しかしその幻想に目覚めるとシラケムードが漂う。反動です。緊張感が切れるんです。

奏者には解ってるのですが、とても言葉に出せないほど恥ずかしい・・・この日の練習が早く終わって欲しい・・・その一言です。

A指揮者の調整作業は3日目から始まりました。奏者がどう弾きたいか?はすでに承知していますし、今更自己主張を続け通す厚顔の“俺”はいません。

3〜6日目までは、全てのドロドロをリセットした上でA指揮者との共同作業が始まりました。私はA氏らしい「都」に仕上がったと感じていましたが、本番の「都」は練習とは違う「都」となってしまいました。意外にも野性的でした。散々“俺流・都”を聞かされた仕返しに、A氏が“A流・都”を振ったのか? 又は初恋の人が忘れられない奏者が徒党を組んで“オケ流・都”を弾いたのか? 今となっては謎のままです。

さて分析!

「熟練」=その運動が時間と量により止揚され、色々な事に応用転換できること。

「クセ」=文字通りその運動や行動が自分のクセとなるくらい身についてしまっていること。(慣れ)

ここで教訓!

「熟練」か? 素人っぽくない演奏って嫌味なんですよネ

「クセ」は大歓迎。しかし“俺流”は初日だけ許してもらおう。

日頃の練習って悪いクセを取ることかな?なんて見栄を張ってみたいのですが・・・

毎回新鮮な気持ちで曲に取り組みたいですネ

まあ、昨今そんな事を意識して合奏をたのしんでおりやす!

2003年5月25日更新

(注)チェロ@信さんは、ホームページ「CUMC1972の広場」の管理者でもあります。楽団長の現役時代から現在のCUMCに関する記録が綴られているページです。是非、お立ち寄りください。(Web担当)


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