『アマの目』第4回はコントラバス奏者、CUMC OBのnaruさんです。団員以外の方から初めてご寄稿いただきました。ありがとうございます。
第4回 naruさんのほのかな疑問から 「何でマンドリンオーケストラのなかにコントラバスがあるんだろう?」
この疑問は、高校のクラブ入部当時、楽器を手にしながらほのかに感じたものです。しかし、他にもギターやフルートという異種楽器が存在していたこともあり、さして気にも留めぬまま時は流れ過ぎました。ただ、高校生の当時でも、弦楽器のなかでは、弓を使って弾くこともあって、明らかに異質な存在であるとは認識していました。
<なぜ、マンドリンオケにコントラバスが?>
管楽器からなるブラスバンドでもコントラバスが使われているくらいですから、同じ弦楽器であるマンドリンのオーケストラにコントラバスがあっても、別に驚くことはありません。
でも、ルーツが気になってちょっとだけ調べることにしました。
そこで、まず、マンドリンの祖国、イタリアのマンドリンオーケストラでは、コントラバスの位置付けはどうなっているのだろうと、インターネットで検索してみました。すると、ギターのお化けみたいな楽器を発見しました!
http://www.mandolineorkest.nl/informatie/eninformatie04.htm
どうやら「ギタローネ」という楽器らしいです。
(国立音大のページ)
http://www.gs.kunitachi.ac.jp/collectiondb/dbpc/ppc0380.jpg
広島学生マンドリン連盟(広マン)さんのホームページによれば、昔はこのギタローネが使われていたものの、表現力や音量の乏しさなどから、コントラバスにとって代わられたとのことでした。
また、マンドリン属にも、マンドローネという音域的にコントラバスに近い楽器はあります。筆者も昔ジュネスに出演したときに、2名ほどの方が弾いていらしたのを記憶しています。しかし、大変申し訳ないのですが、音楽的な効果という面でかなり疑問が残りました。というのは、「バリバリ×2」という弦の振動音しか聞こえなかったからです。それなりに弾けるコントラバス奏者がいるなら、はっきり言って無用の長物に思えます(独断と偏見です)。
こうしてみると、少なくとも過去には撥弦楽器は撥弦楽器どうしでオーケストラを構成しようという意図があったことが窺えます。
<合奏の現場では?>
さて、マンドリンオーケストラにおけるコントラバスの基本的な役割は、オーケストラのそれと同様、最低音部を受け持ち、音楽の土台を支えることにあります。しかし、マンドリンオリジナルといわれている楽曲のコントラバスのパートには顕著な特徴がありまして、それは、
「リズム重視である!」
ということです。
リズムを受け持つのはギターパートであるという認識が一般的かと思いますが、その“補強”としての位置付けが多いのが事実です。モーツァルトの時代のチェロとコントラバスの関係(両者はオクターブ違いでほぼ同じ音を弾いています。)に似てはいますが、ギターの和音の最低音と同じ音をピッチカートで弾いているだけでは、正直言って「つまらない!」。
マンドリンオリジナルの場合、曲に出てくるピッチカートの割合が、オーケストラの楽曲と比較して、圧倒的に多いのです。
(別にピッチカートが嫌いと言っている訳じゃないんですよ。ドボルザークのSym9の2楽章やシベリウスのSym2の2楽章のように「おいしい」ピッチカートだってたくさんありますから・・・)
単純なリズムの補強が主目的であるならば、あってもなくても大して変わらないのではないか、と思ってしまうのです。
そうはいっても、このような役割を与えられていることが多いのが現実ですので、これに対処するのが演奏者魂というものです。ここは、やはり、コントラバスが入って、演奏の安定感がグンと増したと言われるくらい、アンサンブルをリードするようなイメージでしっかりギターを補強してあげましょう。そしてそこに喜びを見出すのです。そのためには、
・左手で弦をしっかり押さえる(力ずくじゃないですよ)
・約105cmある弦で最もよく鳴る場所(一般的には押さえている場所と駒 との中間地点のちょい下あたり)をはじきます(はじく時は横方向に)
・弾くタイミングは、拍よりもやや前がかるイメージで
・ビブラートもかけてみましょう(「ちり緬」はダメよ!)
きっと、豊かな音色のピッチカートになり、アンサンブルも見違えるようになったはずです(本当か?)。
余談ですが、知っている方がいらっしゃったら、是非教えてください! イタリアのオリジナル曲にはコントラバスのパートってあるんですか?日本に入ってきたとき、日本のマンドリンオーケストラ事情に合わせて加筆されていることが多いと思うのですが・・・。
<みなさんへのお願い〜よりよいアンサンブルのために〜>
よく、コントラバスは重要だと、アンサンブルの種類を問わず、いろいろな方に言われます。よいアンサンブルには、コントラバスの充実が必要条件であるということだと思います。PBMでもそういった認識でいてくださっているようで、本当にありがたいことです。
しかし、偉そうなことを言うようですが、マンドリン界のコントラバス奏者のレベルは決して高くありません。(もちろん、素晴らしい方がたくさんいらっしゃることも十分承知しております。)大学在学中から、いろんなアマチュアコントラバス奏者と知り合う機会がありましたが、そのときに抱いた正直な感想です。
それは、なぜなのか、ひとつは演奏する楽曲が、さっきも書いたようにリズム重視で、コントラバスにとって技術的にさほど難しいものを取り上げられることが少ない、つまり、プレッシャーがないから上達しないということになるのでしょうが、これは「ないものねだり」に等しく、仕方のないことです。
もうひとつ考えられるのは、指揮者や他パートからコントラバスパートに対して「どんな音が欲しいのか」等の明確な意思表示が少ないことも原因のひとつだと思います。指揮者からの合奏中の指示も極端に少ないです。
確かに、コントラバスのことはよく分からないかもしれません。それでも、
・どんな音が鳴ればアンサンブルはより良くなるか?
・もっと音程が良くならないか?
・そもそもどんな音を弾いているのか明瞭でない。
etc・・・
といったような課題があるはずです。それをコントラバスの人にどんどんぶつけて欲しいのです。よく分からないからといって遠慮していたのでは、コントラバスの人たちのためにもなりません。どんどんぶつけて、コントラバスの人たちはそれを真摯に受止め、どんどん議論してください。そこから対策は生まれます。(個人でレッスンに通うとか、団としてトレーナーをつけるとか)
学校のクラブの場合、突然変異的に優秀な人がでてきて、その人がいる時代だけはコントラバスパートが充実する、というのがマンドリン界の現状ではないでしょうか。それを根本的に変え、技術レベルを維持・拡大するシステムを構築するためには、コントラバスの人が努力するのはもちろんですが、周りの方々も暖かく、かつ非常に厳しい目で見守ってくださること、分からないからといってキワモノ扱いしないことが、その第一歩ではないかと思います。
<最後に>
以上、かなり生意気なことを書きました。しかも私自身は、現在はマンドリンオーケストラでの演奏活動を行っていません。しかし、私をコントラバスの世界に導いてくれたのも、音楽の楽しさを教えてくれたのも、紛れもなくマンドリンオケなのです。ですので、非常に愛着がありますし、そういった意味で今回団員でもないのに投稿させていただきました。
今後の皆さんの活動に期待しています!
2003年7月10日更新
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