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第43回 合田香氏・前野一隆氏対談
「技術の差を越え、どのように合奏を楽しんだらいいか?」

--今日の練習はどんな感じでしたか?

合:なかなか面白い感じになってますよ。ただ律動感がね。もっと血が沸くようなものがないと。あと、難しいからって譜面を追ってしまっている。やっぱり難しくても、バルトークの喋り方をしないとね。今は譜面の音を取って引き出せているという感じですね。インプットしてアウトプットしている感じにはなっているけど、音楽にはなっていない、そんな感じですね。でも、そこから先はそんなに難しい話じゃないから大丈夫。みんな日常的に職業として音楽をやっているわけじゃないから、あれだけの難易度の曲を全部通すと、疲れて最後は譜面を追いにかかるじゃないですか。あとはそれをしないで、演奏できるようにしないとね。楽章間とかで深呼吸して自分の音楽をやりなおすっていうことをしないといけませんね。

前:なんていうのかな、バルトーク節がわからないですね。なんで、ここにシャープがあるのかとか、フラットがあるのかとか、というところで引っかかっちゃってる。それはそれで正なんだっていうのを理解するのに時間がかかっちゃっている。あと難しいですよね、テクニック的に。

合:バルトークなまりで喋らなくちゃいけない。そこに慣れる必要があるということですね。たとえば、日本人が枡になみなみと酒をつがれると、あごを前に出して飲むみたいな、どうしようもない民族性みたいなところが音楽にはある。そういうところまでいかないと音楽がつまらなくなっちゃう。

--テクニック的に難しいという話がありましたけど、今回のような曲だと、練習時間も限られている中で、どうしても弾ける人と弾けない人が出てくると思うんですよ。弾けない人は合奏に参加するときに、どういうふうに楽しんだらいいと思いますか?

合:この前若い学生を連れて、音楽祭に行っていたんですよ。韓国人、日本人が半々くらいで、残りシンガポール人という感じで、そこで話す言葉は全部英語なんですね。僕も英語で喋ります。はじめての学生なんかは、最初はみんな、「単語+?」みたいにして喋っているんだけど、しばらくやっているうちに普通に英語でキャッチボールするようになるんですね。何が言いたいかというと、バルトークが難しくても、あんまり拒絶反応を示さずに、明るく楽しくチャレンジしてみるということ。英語がぜんぜん駄目だと思うのは最初の方で、三日もすれば普通に英語でキャッチボールするのと一緒だと思って、バルトークを大きくきつく感じないで、もう少し肩の力を抜いてやってしまえばいいんじゃないかな。

合:気負けをせずに、いろんなものに取り組んでみたらいいと思うんですね。ポルタビアンカのことを言えば、最初は、すごく大きい壁だと思っても、壁を越えるにはここからやりましょうとアドバイスをすることが、越えるためのとっかかりになるんじゃないかという気がしますね。バルトークもそれでいいんじゃないかと。みんながここでスカッと壁越えはできなくても、バルトークの美味しさをこういうところで味わってくださるんじゃないかと思います。味わいどころは色々でいいと思うんですよ。

前:知ってて嫌い、知っててやりたくない、ならいいですけど、みんな知らないですよね。知らないです、でもやってみましょうよ、と。知らないんだから、やる度に新しい発見があるじゃないですか。そういう面を探求していくのが音楽の楽しみの一つなんじゃないかという気がしますね。二回くらい合奏して、はい、できました、いい感じですね〜、となったとしたら、もうこれ以上どうにもならないですよね。多少苦しくても、いろんなことを楽しめたり、いろんなことにチャレンジして、練り上げていくのが、音楽の楽しみの一つじゃないのかな。で、そういう風にして練ったものが、自分の感情を乗せるとか、思いを乗せるとかというものになる。それを聴いているみなさんと共有できる、というとこまでできると、すごく練った分、濃厚な味がすると。その感覚になるのに、弾けるとか弾けないとかは関係ないんですよ。

2007年8月28日更新
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