パートトップがあって、パートトップ以外の人があって、
それ以外に何があるかって言うと、他のパートがあって、指揮者がいる。
指揮者が「ここはこうしましょう。」「こんな作りにしていきましょう。」
って言って、それをみんなが受けてやっていくんだけども、問題はそれの由縁っていうのか、
それが欲するところは何かというと、結局一人一人の思いが違う、感じ方が違うということ。
だからバラバラにやってしまえば、全部バラバラ。
それを組み上げていく。
だから指揮者は”ディレクター”って呼ばれるわけ。
いわゆるディレクションっていうかな、方向性・指示を出す。
この長さ、この進みかた、こういう大きさっていうのを決めるわけだけども、
それを受けた時に、セクションが1つ1つ違うわけですよね、役割が。
例えば1stがメロディーをやってる。
「ター・ター・ター・ター」と4分音符がいくつか続いたとする。
で、2ndがそれを聞きながら、「1stがそうやってるから、2ndもその長さ」ってトップが言って、
やっぱり「ター・ター・ター・ター」って弾く。
その時に、ドラに裏打ちがあったとする。
「ウンター・ウンター・ウンター」なのか、
「ウンタッ・ウンタッ・ウンタッ」くらいなのかっていうのは、微妙に違う。
それを指揮者が明らかに「こうだ」って言った時はいいけど、そうでない時はまず、
ドラのトップが決めていく。
ドラのトップが決めたものは、後ろに座ってる人も色々考えがあるんだけど、そこに
集約される。
その次に、今さっきから言ってるように、微妙なニュアンスの長さが違う。
そういった時、「ウンタッ・ウンタッ・ウンタッ」くらいで入った時に、
指揮者が「ドラさん、もう少し長めのほうがいいな」とか言われて、
どのくらいの長さにするかをドラのトップがまた決める。
だから各パートのトップっていうのは、各セクションの音楽のつくりの責任者である。
ですから基本的に指揮者は、トップに話しかけるわけですよ。
「やっぱりもう少し長いほうがいいな」とか。
♪パートトップの役目
で、そこから先の微妙な調節っていうのは、本来はトップの判断でいいわけですよ。
例えばいろんなフレーズを、「もう少し裏の拍をハッキリ入れたい」とか、
ニュアンスを違えたいとかいう時、ボウイングを変える。
ボウイングを変えるということはバイオリンの場合は、
アップからはじめるか、ダウンからはじめるか、
アップ・ダウン・アップ・ダウン・アップ・アップとかいって、
作りによってニュアンスが変わってくるわけですよね。
だからそれを決めるのは各トップが決める。
各トップが決めるんだけど、1stと2ndが同じフレーズをやってるのに、
別のボウイングを使うということは無いわけですよ。
だからその時は、どっちがいいって相談する。
だから、音楽作りと音楽作りのサポートをしながら、しかし現場の事情をいかに反映するか。
マンドリンの場合は何回トレモロをしなければいけないとか、
どれをピッキングにするかとか、この音をどの線で取るかとか。
その辺は音の作りに大きく影響するわけですから。
だからそれはトップの大事な仕事かなぁ、と。
全体の音楽の方向性は指揮者が言うけど、
それを現場の事情に当てはめてパートを動かしていく。
それと大事なのは、指揮者から見ると一様に全部のパートが見えてしまうわけ。
1stも2ndもドラもチェロもギターもベースも、全部見える。
でも、例えばドラから見た時に、2ndがどう聞こえるとか、ギターがどう聞こえるとか、
やっぱり立場が違うから。
その立場からパートをまとめて、むこうの音はこっちではこうやって聞こえてるけど、
こうだからこうしよう、とかリードしていくことかな。
あまりいい例えじゃないかもわかんないけど、”小隊長”的なところがある。
コンサートマスターが”大隊長”的なところがあったら、少し”小隊長”的かな。