「みんなの目」第10回目は、2nd.よーこさんです。
第10回 8/3 東京芸術劇場 中リハーサル室3
『むしろ心地よいのです』
演奏会本番まで残り2ヶ月を切った8月最初の練習は、ちょうど第10回目の練習になりました。この日わたしは少々寝坊をしてしまい、練習場所の池袋・東京芸術劇場中リハーサル室にいつもより40分くらい遅れて到着しました。あわてて扉をあけると、すでにたくさんの人が来て個人練習をしていました。その熱気に圧倒されながら調弦をしていると、チェロのSさんから、割り当て分のチケットをもらいました。「いよいよ本番が近付いているんだなあ。」「誰を招待しようかな。」など考えウキウキして個人練習をしていると、時計はもう12:00。そろそろお昼ご飯です。
と、TOP合奏をしていたコンマスから、合田先生・前野さんがいらっしゃる前に団員のみで合わせましょう、との声がかかり「リュートの為の古風な舞曲とアリア第3組曲」第2楽章のLentoの部分を指揮なしで合わせました。指揮があるとどうしても指揮棒に頼ってしまいがちなので、指揮がないぶん他のパートの動きを意識して弾きました。
午後の合奏に備えて、急いでかつしっかりと(腹が減っては戦は出来ません)お昼を食べ13:00から合奏が始まりました。この日2ndパートにはメンバーのうちほぼ全員がそろいました。前回の練習では4・5人というほのぼのした雰囲気でしたが、その倍以上ということでやはり音量・迫力などが違います。
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後ろにいらっしゃるのは・・ |
ポルタビアンカの練習は10回目ですが、事情があって7月中旬から練習に参加したわたしにとって3回目の合奏です。1・2回目はとにかく合奏についていくので精一杯でしたが、3回目となれば少しは合奏に慣れて余裕が出てくるかなと思いながら合奏に臨みましたが、それは大きな間違いでした。合田先生がポルタビアンカの練習日程に合わせてわざわざ海外に行かれるのを延ばしてくださったこともあり、この日も熱のこもった濃い合奏になりました。
まずは「日本の歌三章」。楽章ごとに念入りに弾き込みました。早春譜では最初のフレーズの付点8分音符にはトレモロを7回詰める…など細かい指示もTOPから伝わり、また1stのメロディーとそのあとの2ndのメロディーとの歌い方の違いなどを注意してみました。やしの実では、ギターのコードが変わるのを意識しながら弾いたりと、新たに次々とやらなければいけないことが出てきます。3曲とも誰でも知っていて耳慣れている曲で、だからこそ考えなければいけないこともたくさんあるのかな、と思いました。
そのあと、合田先生の指揮で「山の印象」。この曲ではTOPから次々とポジションや弦の指定の指示がとんできました。それに気を取られていると、合奏がだんだんのってきたのか、テンポが想像以上に速くなって…。そのノリは次の「シンフォニア」にも引き継がれ、わたしの余裕・理性なんてあっという間になくなってしまいました。この日わたしの隣には大学1年の現役の人が座っており、指揮者から指示があるとすぐに反応していました。その反応のすばやさや実行性に若さってすばらしいと感じました。では、わたしには何ができるのだろう…。逆に現役の彼らに一緒に弾いていて何を伝えられるだろう…。などと考えてしまいました。
最後に「リュート」の第3楽章・第4楽章でした。無我夢中で弾いていたわたしは、合奏が終わったころには頭の中からもう全身までくたくたになっていました。そこに合田先生の一言。「これくらい人数が集まったら今度1日くらいリュートをやる日があったほうがいいよね。」またまた濃い合奏が待っている予感。でも、たしかに疲れるけど、けっしてイヤな疲労感ではないのです。むしろ心地よいのです。
この心地よさを求めて、また世代をこえた人々の交流(演奏や練習後の飲み会などで)を求めて参加しているメンバーが多いのではないかと思います。若い現役生からパワーをもらい、楽しそうに合奏に参加しているベテランの方々から楽器を愛する気持ち、続けることのすばらしさを教えられます。いずれもポルタビアンカに参加していなければ得られなかったものだと思います。わたしは他のメンバーよりも遠いところからの参加ですが、そんなことは苦にならないほど得ることがたくさんあります。では、わたしが与えられるものは…、まだわかりませんが見付けられたらいいなと思います。
この日、梅雨明けしたばかり東京は30度をこえる暑さでした。冷房の効いた室内での練習でしたが、外の暑さに負けないくらいの熱い合奏が展開されたのでした。
2003年8月28日更新
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