『オヤジのひとり言』
オヤジ＝団塊の世代より少し上の年齢、高校時代音楽に目覚める、他の趣味は皆捨てて、今はこれ一本。今日も電車に乗って練習場へ出かける。
情 景＝地下鉄を降りたオヤジは、外へ出てあたりを見回す、独り言を言いながら歩きだす。
「今日の天気はどんよりだね、今年初めての練習に来たけど練習場が分かりにくいなー（ブツブツ・・）、ギターやセロの人は荷物が重くて大変だろうな。」
「ようやく練習場に着いたよ、入り口のおばさんに聞いたら笑顔でアッチですと教えてくれた、親切だね、最近の公共施設はサービス満点だね、JRの民営化は成功だね（？）」
「ウォ！、朝10時だというのにもうこんなに沢山のメンバーが来ている、びっくりだ。先ずはご挨拶をしなければ・・・・、お、あそこにパートリーダーの野田君がいる、挨拶しよう。」
オヤジ＝「親分、よろしくお願い致します（頭を下げる）」
野田君＝「よっしゃ俺に任せておけ」
あっちの姉御にもご挨拶、ご挨拶、「佐藤さん、今年もよろしくお願い致します（頭を下げる）」
姉御＝「足をひっぱるなよ、おじさんたのむよ」
オヤジ＝「へい、わかりやした」
「さて、調弦でもして練習すっか、シコシコ、ペンペン、シコペンペン・・（一人練習）。さあ楽しい昼だ、コンビニで買ってきた弁当広げてみんなと一緒に食べよう。
いよいよ練習が始まったね。
その前に“新メンバーの紹介”だ、幹事さんが紹介してくれるよ。
「若いねー、みんなうちの娘や息子と同じ年だ、“親子競演”とはこのことだね。あれ1stのイケメン大島君が結婚だって、何、今日が結婚記念日！？←結婚届けを提出してきたんだって（皆拍手、パチパチ）、良かったね、今が一番シアワセだね。俺も昔を思い出すな〜、あの頃は女房も若かった、夢もあったぜ（一人感慨・・無言）」
「最初の曲は何かね、“滅びし国”か、前野君が振ってくれるって、ありがたいね。前野君の指揮は有名だよ、上手だって、この間知り合いのＭ連盟の重鎮がとても褒めてたよ、おそらく今のＭ音楽団体指揮者の中でもベストに入るんじゃないかい。こんな立派な指揮者の下で音楽が出来るのは幸せってもんだ、ん（一人納得）。」
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初合奏！ |
「いよいよ練習始まったよ、ヒェー、最初っから最後までノンストップだね、驚いた、みんな弾けてるねー、もう出来上がっているんじゃないの？、早過ぎないかい？付いてゆくのが大変だね、マイペースでやるっきゃないね、いつもの通り手が抜けないなー。」
「曲の間に合田先生が音楽を説明してくれる、この“例え”が面白いね。実は俺、いつもこれを楽しみに来ているんだ、時々“抱腹絶倒”で弾けなくなっちまうよ。他の仲間の連中にも聞かせてやりたいね、下手な落語よりよっぽどおもしろいよ。」
「一日練習したら、クッタクタになった、家に帰ってビールでもやっか。皆んな、またね〜、お手柔らかにたのむよ〜、オヤジをいたわってーー、チョウダイ！」
オヤジ、忘れ物ないかあたりを見回し、指で確認して、コンビニ弁当の空箱を持ち家路に着く。
→家に着くとただ一人（一匹）、愛犬がシッポを振って出迎えてくれる、オヤジ感激して抱きしめる、（犬＝我慢する）。
2005年5月22日更新
