『都漬け 超濃厚熟成仕立て』
蒸し暑い梅雨空の下迎えた第3回目の練習日。
団員2次募集を行った結果、今回はなんと80人を超す大所帯のオーケストラになったとのこと。団員の熱気と体温で、午前中からすでに汗びっしょり。
事務局員の一部には、それほど広くない練習場に人数が収まりきるかどうか心配で冷や汗が混ざっていたという噂もありますが。
本日の練習は、「都漬け 超濃厚熟成仕立て」
練習のテーマは、前野指揮者による冒頭の一言に尽きました。
「“失われた都”を演奏したことのある方はこの中にたくさんおられると思いますが、まずはそれをすっかり忘れてください。そして、楽譜に書かれているものからきっちりとらえ直していきましょう」
合奏に入るや否や、ほぼ2小節ごとに指示が飛ぶ(※本当です)強行スケジュール。
「スラーは3拍目で切れてますよね。その通りに弾いてもらえますか」
「トレモロだからそういう音になるのではなく、音楽がこーーやって流れていくからトレモロにしたいんです」
「お願いですから、昔のクセでクレッシェンドをかけたりしないでください」
「音符一つに対するこだわりや想いがぜんぜん足りません。もっともっと切ない旋律なんです」
「そう、気持ちはわかりますけど、そこの音量記号はpですよね」
あああぁぁぁ。
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濃厚熟成 |
古参メンバーでさえも満身創痍・自信喪失、パート譜の1ページ分も進んだか進まないか。
「納得行かないから、冒頭からもう1回合奏します」
声にならない悲鳴・なっちゃった悲鳴がオーケストラの各所から上がります。
あらためて合奏再開したその瞬間
暗闇の中、打ち捨てられた廃墟の中で、影や吹く風さえもすすり泣くような怨念に包まれ
これまで見たこともないような雄大に広がる「都」の姿がありありと見えた
とは、言い過ぎでしょうか。
合田音楽監督曰く「僕も学生を教えてきてこの曲は何度も聴いたことがあって、だいたいノリと勢いと打撃音になってしまうんですけど、きちんと作るとこんなにもシンフォニックな曲になるんですね」と。一同、あらためて納得。
れだけ濃厚な練習をした後は、やはりビール! ということで、今宵も明大前近くの居酒屋は繁盛しております。
新規団員も古参メンバーも口を揃えて「こんなに濃い練習をしたことはない」と、それも全く嫌そうなそぶりを見せず(むしろ嬉しそうに)言っていたのが印象的でした。
弾ける・弾けないの個人差はもちろんあっても、楽器を持って集うことで学生の頃のような関係に再び戻れる、そんな団体の雰囲気が、なかなか悪くないですね。
2005年6月15日更新