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第6回目「みんなの目」は、ワークショップ特集第3弾です。
2ndパート RYOさんの執筆です。

第6回 8/24 方南会館ホール

『同期の感想』

娘がピアノを習っておりましてもう5年目。これが全く進歩してないんですね。あまりにも練習してこないので、先生がぶち切れまして親が叱られてしまいました。

「お家での練習の質が悪いのではないでしょうか?」

先生が綺麗な方なので、ついつい納得してしまう私です…
では別な場所で、食事でもしながら娘の今後についてご相談を…



それはさておき、ポルタのワークショップに私の学生時代に指揮者をやっていた同期が来ました。高校、大学と一緒に苦楽を共にしてきた仲間です。
クラシックが大好きで聴くのはもちろん、本もたくさん読んでいていろいろ詳しいです。マンドリン界からはしばらく離れていたのですが、最近、とある団体で指揮を頼まれて、私もその演奏会に参加しました。基本的に音楽好きな彼ですので、練習の時など、作曲者の人となり・作曲された曲の背景などいろいろ解説してくれるので面白いです。

そんな彼が今回のワークショップでいろいろ感想を述べてくれました。彼も他団体の練習やプロの指揮者のリハーサルには非常に興味があり、今回も期待をもって参加してくれました。中大のOBでもあるので忌憚のない意見を頂きました。最初に断っておきますが、彼はポルタの演奏会は聴いたことがないし、今回、何の予備知識も無いままのワークショップ参加です。

以下要約しますと



1.良かったところ

ポルタの楽員のみんなは、人数も多いこともあり、合奏としてはまだ揃っていなくとも、相当難しいパッセージをよく音取りできているし、合奏時のノリも悪くなかったと思います。
最後に、「交響的前奏曲」をヴァイオリン群の楽器の五重奏で演奏してくれたのですが、これはまたこれで、痺れました!



2.ポルタの課題

まず、ヴァイオリン群の楽器とマンドリン群の楽器とでは、その楽器特性は全く異なっており、同じ弦楽器なので勘違いし易いのですが、楽器としての根源から異なっ ているもの、という理解が必要だと強く感じました。

彼等は、元々ヴァイオリン・オケの原曲を編曲して演奏するのだから、原曲の演奏をよく勉強して取り組もうと思ったのでしょうけど、そのヴァイオリン・オケの演奏の 「どの部分を会得したら良いのか、何を感じ取ったら良いのか」がわからず、戸惑っていたのではないかと感じました。

これは偏にこうした練習の試みを企画した指導者(音楽監督と指揮者)が、そのコンセプトや考えを楽員に伝えきれなかった、もしくは準備不足によるものだと思います。
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※指導者のせいではなく、楽員の練習不足・勉強不足ですね。


単に模倣することは意味がないということはおそらく指導者も念頭にあり、練習の最初にそのように言っていたのですが、練習が進むうちに、ヴァイオリンで弾かせて、それを模倣するように指示していくようになってしまい…

そうではなくて、ヴァイオリン群を奏するプロたちからはもっともっと他に会得する部分があるように思います。彼等も実験的な試みとして、

・実際にやってみて漠然とではあるが、何等かを“感じる”ところから始めようということかもしれませんし、
・または、その“模倣”を模索することから、マンドリン群の楽器奏法や合奏力に新たな可能性を見出そうとしているのかもしれません。

それは大いに意味のあることではあります。ただ、そうであれば、そのようなカリキュラム的な、やはりコンセプトが必要ではないか、と感じました。



以上が彼の感想でした。
その他、クラッシック編曲を演奏することについてのアプローチについても意見を頂きましたが、今回は紙面の都合でまたの機会にいたします。



3.私の感想

最初に、彼は何の予備知識も無いままのワークショップ参加ですと断っておきましたが、その分先入感なく練習を聴く事ができたと思います。
彼は指揮者の経験もありますので、指揮者の奏者への指示(投げかけ)に対する、奏者の反応については非常に敏感です。
今回、指揮者←→奏者のやり取りを見て奏者側の反応の鈍さを感じていたのだと思います。私は彼の感想を聞いて次のように感じています。


(1)ヴァイオリン群の楽器とマンドリン群の楽器とでは、その楽器特性は全く異なっており、楽器として根源から異なっているもの、という理解が必要で、そういう現実をきちんと認識した上で、

・パレットの幅を広げる演奏を目指し、音楽の持っているエネルギーや色合いや風味に合わせて技術の刷新をしていこう!
・マンドリンで表現するにはどういう奏法が適切なのかを突き詰めていこう!
という「高い志」を楽員たちがどのくらい持っているのでしょうか?

(2)元々ヴァイオリン・オケの原曲を編曲して演奏するのだから、楽員の方々は原曲の演奏をよく勉強して取り組もうと皆が思っていたのでしょうか?

(3)“模倣”を模索することから、マンドリン群の楽器奏法や合奏力に新たな可能性を見出そうというベクトルが皆さん同じ方向へ向いていたでしょうか?

(4)指導者(音楽監督と指揮者)又は企画者のコンセプトや考えを楽員皆がきちんと理解していたのでしょうか?

※当然ですが以上の事は楽員みんなが同じ方向性で進んでいかないと、楽団として消化不良を起こして上手くいきませんよね。
※頭でわかっていても、音楽で表現できなければ意味がありません。それをやっていくのがポルタビアンカのポリシーだと思います。



4.ヴァイオリン群を奏するプロたちからは、もっともっと他に会得する部分がある!(激しく同意)

この楽団でやってきて私なりに感じることは、音楽監督と指揮者は

・音色や響き・自己表現について、楽員たちにもっとこだわりをもってやって欲しい。
・音符のひとつひとつに意味がある。それを意識して弾いて欲しいし、実際に音として出して欲しい。
・それを自己満足で終わらせず、聴く人にきちんと伝わるように弾きましょう。
と思っていることです。

これは単にCDを聴いただけでは判りませんので、実際に真近でプロの演奏を聴かせた方が手っ取り早いということになります。プロの演奏者の一音一音へのこだわりを肌で感じることはとても大切なことだと思います。
そういう意味では、今回のワークショップで気づいた人は得るものがあったかなあと思います。自分の音楽表現の乏しさがいかなるものかと落ち込んだ人が、何人もいると思います。そういうのもいい経験です。ここで諦めないのがポルタビアンカのいいところです。

以上長々と書いてしまいましたが、桐朋音大五重奏団の皆さんの生演奏を真近で聴きましたが、真近で聴いたにもかかわらずあんないい音色のヴァイオリンは初めてです。ありがとうございました。

2008年9月21日更新


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