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第24回 合田香氏・前野一隆氏対談
音に色を塗る

--合田先生は「次に出す音に色を塗ってから出しなさい」と仰いますが、具体的にそれはどういうことなんでしょうか?

合:音に色を塗るっていうことは中大で教えているときから言っていることと一緒ですけど、譜面を見ながら単純に音を拾っていって、音が置かれたらそれでよしとするのではなくて、今から出す音にちゃんと命を吹き込んでから空間に投げましょうということなんだよね。色付けっていうのは、音楽的であるということとも言えるけど、例えば音に体温を与えるっていうニュアンスもあるんだよね。

--前野さんから見て、どうでしょうか?現在のポルタビアンカでそれはできているでしょうか?

前:できていない。覚悟が足りない。出す音に対する責任がない。ただ出しているだけ…というのは相変わらずで すね。音を出すことに対するこだわりが足りないんですよ。

合:練習を見ていて思ったんだけど、指揮が適当に振っているからといってだらだら弾かないで、ちゃんとギターとかが自分でテンポを作って合奏を作っていけるといいよね。ただ単に指揮に振られて弾いていくと、音に色がつかない。テンポもつかない。音楽の方向性とか、息の流れとか呼吸使いもない。一番いいのは指揮が本当に何もしないで、全員が全員ちゃんと自分の音を作って、テンポも作って、自分の方向性も作って弾いていくことによって初めていい音がするわけですけれども、いわゆる指揮の通りにやっていくと、自分がパーツと化してしまいますから、今の音と次の音との関連性とか、それから今弾いている音と他のパートの関連性とか考えなくなってしまい、つまらなくなっちゃう。

ゲネプロ風景
ゲネプロ風景
僕が思うのは、前で指揮を振っていて「赤」とやっているときに、オケの中でお互い触発されているうちに、うっすらとした朱色がとっても濃い赤に変わったりするときがある。指揮者も振っていて、「あ、そういう色に変化するのもありなのね」と思える瞬間があると、楽しいんだよね。だから棒振りが前でエネルギーを与え続けて、こうだよこうだよとエネルギーを投げ続けなきゃいけないのは、団体としてはまだ若い。いい団体はもっとやってたときに、こう変わっていくときに「お、お、それいいね!その展開おもしろいね!」っていって、「僕の考え方変わったよ!」って言える段階に行けると面白いよね。それに行きたいね。

前:その大前提として、最初に音を出す前に音に色や味、表情なんかをつけて出す癖がないと、その段階には多分行けない。

合:まずは各自がそれぞれ勝手にやることが必要。それぞれ違うわけだから。それに惑わないっていうか、気が引けないで、ぱっとやったときにいびつ間があるのは当然。みんなの色が違ってもいいんだよ。それが当然なんだよ。

僕たちの業界では棒振りのことシェフって言うんだけど、シェフが変わったら音も変わる。当然変わるし、メンバーが変わっても音が変わる。そういうものがあっていいんじゃないかって思う。

2004年8月1日更新
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