前:歌でも楽器でもいいんですけど、ソロの曲があるじゃないですか。大体ピアノの伴奏がついていたりしますよね。で、あのピアノの伴奏が基本的に与えられた仕事は、わりと僕たちがやりたいギターの仕事にすごく近い。要は、合田さんが言ったように和声の進行を作っていったり、シングルで弾いているソロの歌・楽器っていうのは和声が作れないから、和声を誰が作るかと言ったら、ピアノの左手部分なんです。この役割をするから曲として立体感がでて、成り立つはずなんだけど…。 それを、伴奏があと付けでやることは絶対にないんです。上で旋律を弾いていてそれにつけるのではなく、自分がリードしてブッチャッチャを作るから、それに乗って旋律が歌われる。その関係だと思うんですね。そう考えると今のギターは追従型。自分でテンポ、リズムや和声を作るのがないに等しい。だから一人ずつがそういう意気込みでやっていれば、ギターとしての役割がもっと浮き立って、もっといい演奏になると思います。 合:例えばベースなんかはメロディを自分で決して弾かない。だけど一発の重さのブン!とかダン!とかいう音などで音楽を左右していける。その楽しみを知っているから、塩澤くんなんかはいつも楽しそうに弾いているよね。 それと同じようにギターが自分の良さを理解して弾けたらいいよね。…かといって、それが全部というわけでもなくて…。 音色という要素もあって、例えば、チェロとドラを比べたときに、チェロに、あのドラのような艶やかさはないわけですよ。でも、チェロの空気量の多さとか弦の太さとか、あるいは、チェロの高い方の音で弾いたときの、緊張感があるテナーの音。それは同じ音系を弾くのに全然違う。その楽しみがないとつまらない。それから、それと一緒で、マンドリンに決してドラのような豊かな音を求めることは出来ないけど、上の方の華麗な、きれいな、ちょっと折れそうな音っていうのはチェロには決して求めていない。 つまり、何が言いたいかというと、自分たちがそれぞれの持っている音にいかに惚れこんでやっていくか。それが合奏の楽しみであるわけです。それがそれぞれにあるといいですよね。ギターだけでなく、それぞれの楽器がもっと自分たちの音に惚れこんでやっていったらいいんじゃないかと思いますね。
| |