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第12回 合田香氏・前野一隆氏対談
舞台配置について


--左から1st、チェロ、ギター、マンドラ、2nd、そしてベースが指揮者から見て左後方にいるという今回の舞台配置についてお聞きしたいんですけど。

合:まぁ、ボクは他の曲でもギターが外側にいるのは良くないと思っているんですよ。 っていうのは、どうしても聞こえ方が違うから。 正直言うと、この配置は何に近いかというと、オーケストラの場合の「対向配置」とか「古典配置」とか言われるもので、戦後まもなくまではあの配置だったんですよ、ほとんどは。 1stと2ndが同じ機能を持つと。

で、1stのメロディーに対して、2ndが内声を大きく保つようになってきてからは2ndが中側にくる。 ただモーツァルトなんかは音楽の機能から言うと、1stと2ndが両側から対向して聞こえてくるほうがボクはいいと思う。 好き嫌いはあるだろうけど。
だけど前野さん、他の曲もこの配置でやるって決めた理由は何で?(笑)

前:………(困った表情で)。 舞台構成上、あんまりグチャグチャ動くのはイヤだなぁというぶっちゃけたところはあるんですけど(笑)。 まぁ、あとはチャイコフスキー(弦楽セレナーデ)なんかは、多分今回の配置のほうがいいと思うんですよ。

合:そうだね。

前:やっててやりやすいですし。
一番やりにくいのはマンドリンのオリジナル。 すごいチグハグに音が出てきたりね、あらぬ方向から音が出てきたりするんで、多分やっぱり、マンドリンはマンドリンのオケで熟成されてきた(もともとの)あの配置っていうのは、それなりに意味があるのかなぁと思うんですけど。 ただ、べつに決まってるわけじゃないので、いろんなトライはありかなと。

僕は、1st対向で2ndで、ドラ・チェロで埋めて、その後ろにギターを配置したいくらいなんですよ。 右と左が完全に分かれちゃってるんで、もうちょっと寄せたいんですよ。 寄せて、いわゆるバイオリンで言うと、1st・2ndとヴィオラ・チェロの組み合わせがちゃんとなって、後ろからギターが支えるという響きもありかなと思ってたんですけど。

合:この古典的な配置っていうのは、マンドリンの音の鳴り方と、その先の音楽の出来上がりに大きな影響があると思うんですよ。 どうしてかって言うと、バイオリンのオケっていうのはどうしても大きいから、もう少し空間が必要だと思うんですね。 で、管楽器が入ってくると、管楽器っていうのは吹く行きの先っちょがあるから、どうしてももっと空間が必要になる。 ところがマンドリンっていうのは弦の上で作業ができてしまって、楽器の音も弦上で音楽が作られている。 だから、みんな音楽の出来上がる世界が狭い。

合田先生
レセプションで熱く語る合田先生

だから聞いていると、例えば今言ってたみたいに1st・2ndなんかでも、それぞれが弦の上で音が出来上がっているから、からみも悪いし音の伸びも悪い。 そうすると音楽のつくりが、それぞれがブツブツ言っているようになってしまう。 空間のあるところでやると、音のつながりがもっと良くなる。 そうするとマンドリンの合奏自体がもっと良くなってくるし、今さっきも言ったけど、カザルスでやると随分違うとは思ってます。 音の響きも違うし、音楽の出来上がりも違ってくると思う。 そうすると今の並び方は、今(練習)よりはキレイなはず。 だからボクはホール行った時の響きに対してずいぶん期待はあるんだけど。 まぁ、みんながホール行って、どれだけ慣れるかっていうのももちろんあるんだけど。

--どういった効果でいい響きになるんですかね? あの配置にすると。

合:やっぱり音のつながりがキレイになるからっていうのと、あとマンドリンの場合はトレモロ出来ますよね。 ギターの場合は音があって、その後減りますよね。 ところが大事なのは、ギターが和音を弾いた後の響きの部分が、音楽のベースを支える。 チェロなんかも、トレモロした後の音の響きの部分がオケ全体を支える。 そうすると響きとして聞こえる。

だから少しみんな考え直した方がいいのは、マンドリンってどうしても最初に弾いた音の部分だけが見えてくるけど、ギターも最初の握った音の部分しか見ないけど、むしろ打撃音っていうかな、衝撃音よりも後の響きの部分が大事。 だから、ああいう並びで音が上にあがってくる、例えばドラとかチェロがトレモロしはじめて、その音が伸びやかに伸びてくる音っていうのが、今回やるカザルスホールでは聞けるんじゃないかな。

前:いつもマンドリンの演奏会って、ホールに行くと、わりと乾いた感じのパリパリっとした感じになりがちなんです。 やっぱり今合田さんが言ったように、表面上で音の処理がされているからそうなってしまう。 合奏の中でもよく、音を重ねる作業っていうのを僕たちはよくやるんですけど、それはみなさんにも少し、弦の上でふるえている音だけを聞くんじゃなくて、楽器の胴体の中で共鳴している倍音とか、上に音が出た後に、よその音とブレンドされた状態の音を聞いてもらいたいからそういうことをやっているわけで、そういう意味では今回の配置では、胴体の大きいよく響く楽器が真ん中に集められているんで、ベースの和音としての響きは出しやすいはずなんですよ。 だからそのへんのことを意識してやってもらえると、いわゆる内声の音を出している人たちも面白く弾けるんじゃないかな。

今までマンドリンの合奏って、右に低音とギター、左にマンドリンで、右は右で左は左で勝手にやってたんですけど、ギターが外に向いちゃってるもんだから、低弦の響きを作るっていうのがものすごく難しいんですよね。 今回なんかは、前を見た瞬間にギターとチェロとベースとマンドラがいますよね。 太い弦の人たちがみんなそこにいますので、わりとポンッと束ねられるかなと。

合:かつ、中にいるんで、妙な打撃音を気にせず弾けるから、しっかり弾いてても響きとして聞こえてくるし。 で、こんな話になるとは思わなかったから口にする気はなかったんだけど、「1stマンドリン絶対論」みたな感じがあるわけよね、マンドリンは。 1stマンドリンが上手ければ、あとは引きずられていく、みたいな。

だけど今回のはもう少し真ん中に響きのある部分があって、その上に1stがいかにきれいに乗ることができるかっていうことはある。 もちろん音楽的なメロディーラインは1stが持っているわけだけど、しかし今の練習に求められているものは、1stマンドリンが絶対的なものではなくて、いかに中低音が機能していくかっていうことなんじゃないかな、響きとしても。 だからそれはね、そのへんのアマチュア団体や学生団体では出来ないものを、ここでは求められるし実現されるんだと期待してますね。

前:一番わかりやすいのはこの団体のコントラバス弾きのみなさんで、弾き方がマンドリンのコントラバス弾きの弾き方じゃないんですよ。 完全に、いわゆるオケのコントラバス弾きの弾き方を今してくれているんですよ、ようやく。 昔からマンドリンのベースって、マンドリンの発音に合わせて音を出すっていう感覚で、もしそれをオケ弾きされると、すごく違和感があったんですよ。 ところが今、全然違和感無く、ベースの人たちオケ弾きでザクザク楽しそうに弾いてますよね。 っていうのは、団体としてはかなりそういう響きを出せるようになってきているんじゃないかなとは思いますけど。 あんなふうに弾いてたら、普通「何やってんの?」って。

合:っていうのはね、ずいぶん分離しちゃうし、ベースが引きずっちゃうよね。 でもそれがないから。 むしろ反対に、ギターとかチェロとかにもそういう音の処理の仕方とか、ベースラインの支え方みたいなものが求められるかな。

2002年8月18日更新
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