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第34回 合田香氏インタビュー
「響きと表現力」

--<響きの深さ>とはどういうことですか?

合:いわゆる倍音がどれだけあるかってことですよね。 第2回で演奏したレスピーギの頭の部分のてぃーてぃーたーてぃーとてぃた・・ってところを、たとえば 響きを大きくつくるのか、もっと薄っすらつくるのか、どうやって音を選んでつくるのかで全然違ってきます。 たとえば、白いシンプルなワンピースを着た女の子が踊るとして、 少し派手目の口紅をつけてピアスなんかもつけて踊るのと、そうじゃないのとでは、 おなじ女の子でも受けるイメージが全然違う。 音にどういう色を持たせるのか、を楽器の中でどれくらいできるかで、表現力が全然違ってくるんですね。

--倍音は技術ですか?

合:音楽性ですね。もちろん技術だけど・・・左右するのは音楽性でしょう。

--倍音が多いとどういう音になるのですか?

合:音質の問題ではなく、深みです。倍音の中にどういう深さを求めるのか。それこそ表現の質がいくつもありますね。

--では深みが少ないとしたら、マンドリンという楽器の特性の問題でしょうか?

合:選択肢が少ないのは確かですけど、でも、ないわけではないんですよ。

--マンドリンオケがバイオリンオケの原曲よりも良くなるためには?

合:まず、譜面をそのまま弾けばその音になる、とは思わないことですね。どの楽器だって、ならない。 バイオリンオケだってそう。ちゃんとどんな音にしたいかと思って弾くから、その音になる。 いい音にしたいって思うことです。

 マンドリンの楽器は、弦が2本づつ張っていますよね。どう弾くとどう音が変わりますか?

--ピックを弦に垂直に当てると、上下の線が同時に鳴ります。垂直方向に寝かせるとタッチがやわらかくなります。斜めに当てると 2本がバラバラに鳴ってカサって音になります。

響きと表現
練習風景より

合:そうすると、3つの選択肢ができるわけですね。それからさらに、 1st、2nd、ドラ、チェロ、ギターそれぞれの楽器の量を変えることで、音の深みが当然変わりますよね。 たとえば、ちょっと硬めに弾くマンドラと少し豊かに弾くチェロと・・・というように使い分けると、 和音の響きの構成が変わってくる。すると、オケの響きが変わってくるわけです。

 「みんなでグーを出そう」と言っても、全員が思いっきり握り締めてグーとする必要はない。なんとなくゆるいグー、 もっとちっちゃいグーがあってもいいんです。なんだっていい。みんなで同じことをする必要は決してないんです。 それが音色の配分にもつながります。ひとりひとりの音のつくりがあって、音の種類があって、 それと楽器間やパート内のバランスがあるわけです。 音色の変化を求めるのなら、それらを考えていけば、音の響きや音色が増えていく。 表現の幅が増えるんじゃないですか。

--やれることがまだまだいっぱいありそうですね。

合:ただこの作業を僕たちがしていないかというと、そうではないですよ。 ドラとチェロが一緒に弾いていたとき「ちゃんとまわりの関係を見ましょうよ」と言ったとたんに、 パッと変わりましたよね。前までは、「そこはどちらが大きいか、どちらが主体だからもう少しこうしましょう」 と言っていたけれど、今日は言わなくてもそうなったじゃないですか? それは、みんなのなかでセンサーがあって、どのバランスで弾けばいいかってことがパッとわかるようになっているんでしょう。 だからポルタでは今、それができていると言えますね。ただ、そうすることをよく忘れちゃってますけどね。笑

2006年7月20日更新
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