合:おお、「パン!」ね。そうしたら、明らかに材質が違うよね。みんなが色々考えて言ってくれたなかでも、 「ばきっ」っていうのは、結構木が太い時なんかにする音じゃない。「ぽきっ」は細い木の音がする。 「パン!」っていうのはプラスチック状の音。色々あるじゃないですか。こういったように、 音に求められるものは、イコール、材質が違ってきているってことですよね。 当然、「何」を出したいかによって、その求める要素が違ってくる。そうすると、イメージの音が違う。 今みたいにいちいち思うわけですよ。「パン!」とか「ずん!」とか「ざくっ!」とか思ってするわけですよね。 そしたら、その音のイメージに合う腕の振り・音の処理をする。そこから先は技術ということです。 だけど、僕たちの思っている音は違う。ここで譜面の1小節目に「スプーンを折る」って書いてあるとする。 そしたら「折る」って作業をするんですけれど、今、「折る」って作業が3通りあるわけです。 すると、それぞれ音が違う。腕の振りが違うし、求めるものが違う。そしたら、どうするか、と考えるわけです。 ここで、「ごめんなさい!ここの1拍目に行く時の折る音、これはプラスチックです」と説明する。 「プラスチックです」って言ったら、みんなが「ばきっ」でも「ぽきっ」でもない、「パン!」が近いかな?と思う。 そしたら、みんなが「パン!」の音に統一して、トップが『ここは「パン!」の音です。 こういう振りでいきます』と示す。指揮者の役目は「ここはプラスチックなんです」と示唆すること。 今のように最後にイメージするものが明らかに違っても、それでも良いんですよ。むしろ、みんなが一緒なのはつまらない。 例えば、現象によっても違います。ここに生卵があるとする。生卵をここでパッ、と離す。 そしたら、その先1秒後にどういう音がするか?って質問するわけです。どんな音がします? --「ぐしゃっ」とか「ぺちゃっ」とか「ぺしょっ」でしょうか? 合:うんうん。じゃあ例えば、生卵を1秒後に落とした時に、「カーンカーンカーン」って音がしたとするわけです。 「あっ、生卵なのに跳ねた!」と。だけど、それはあるかもしれない。 当然、今みたいに「ぐしゃっ」「ぺしゃっ」「ぺしょっ」・・・何でも良いけど、これらはニュアンスが近いですよね。 だけど、僕が今言った「カーンカーンカーン」っていうのは音が違ってくる。棒振りがこうやって落とした時に 「ぶぃぃん」って言ったとしたら、「あっ、「ぺしょっ」じゃないんだ!」って思うわけですよ。 「えっ、今の卵、殻が固いんですか!?」「ああ、そうなのよ」ってキャッチボールをするんです。 イメージトレーニングって言うのは「出したい音が何か?」っていうことなんですね。 こういう作業を僕たちは、ポルタビアンカで常にやっていて、この話はある程度みんなには慣れてきていて、 なんとなくでも解ってるかもわからない。けれどこれこそが、ワークショップで見ていただきたい、 感じていただきたいものなんですね。当日はこういうものを事細かくできると良いな、と思っています。
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