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第14回 合田香氏・前野一隆氏対談
選曲にあたって その2


--今回の「ローラ」と「夏の庭」という2曲のオリジナル曲を選んだ理由は?


合:ボクはフタを開けるまで2曲とも知らなかったですからねぇ(笑)。 いかがですか?そのへんは。

前:え?(笑) う〜ん・・。 まず間違いなく言えることは、「ローラ」と「夏の庭」でなければならなかったということは、いっさいありません。

一同:(笑)

前:まったくない。 もう一つ言うと、それをやりたいか?っていうと、どっちでもいい(笑)。


--新鮮だ!(笑)


前:選曲の最初にあったのは、今までしゃべってきたこともあるんですけど、今度もうちょっと突っ込んだところで、演奏会としての催し物を考えたときに、合田さんがこのへんの話は得意だと思うんですけど、例えばフランス料理でも、前菜が出てスープが出てサラダが出て魚が出てお肉が出て最後にデザートがあります、っていうようなフルコースがありますよね。 それと同じで、お客様を楽しませる出し方とか見せ方とか演出があるんですよ。

で、マンドリンの演奏会って、別に否定するわけじゃないんですけど、どうしてもやりたいのだけをダーッと並べる傾向があって、全然お客様のことを配慮していない。 「何でこんな油っぽいものを最初から食べさせるんだよ!」とか、そういうところがあったので、別にホント、「ローラ」でも「夏の庭」でもなんでもよかったんですけど、ちゃんと「これは前菜です」「これはお口直しのシャーベットです」ってわかるように選曲をしたかった。 で、私もマンドリン界長いんですけど、あんまり曲のこと知らないですし、合田さんは、あの〜

合:もっと知らないから(笑)。

前:ええ(笑)。 そのへん、事務局のみなさんが挙げてきていただいた曲の中で、どれだったらいわゆるオードブルとして使えるかな、どれだったらお口直しに使えるかな、その後ちょっと魚料理くらいのものはどれがいいかな、最後に重たいお肉で締めたいなとか、そういうのを考えて並べていった結果がこういうものになったと思っていただければいいなと。 だから前菜の種類はみなさんそれぞれ好みがあるので、べつに「ローラ」じゃなくて、他の例えばマネンテとかアマデイとかでもいいですし、間に挟んだ「夏の庭」もべつにそれじゃなくても全然いいんじゃないかなと。

合:だから深い意味を聞かれると、深い意味はないですよね、曲自体に。 だけど出来上がりは、並べていったらちゃんとそういうふうに聞こえると思う。 むしろ問われるのは、オリジナルとオリジナルじゃないものとか、曲ごとの色合いとかなんじゃないかな。 問われておもしろいんじゃないかな。

前:今、色合いって言われたのは、例えばよくホテルでバイキングをやってるんですよ。 千円とか二千円の。 で、いろんなものが並んでるんですけど、あまり良くないバイキングに行くと、何を食べても同じような味がするんですよ。 ようするに、前菜を食べてもお肉を食べても魚を食べても、なんかぜんぶ同じような味で、「どうも食べた気がしないな」っていう。 もう一つは、例えばすごく高級なコースの料理を食べに行っても、味がしないものが出てくると美味しくないですよね? 最初、すごく美味しい前菜が出てきました。 でも次に出てきたスープが、塩辛くも甘くもなく、なんにも味がしないとがっかりしますよね。 だから具材が悪くても料理人が下手でも(笑)、ちゃんと味がついてて、気持ちがこもってて美味しいものがあればいいなと思いますけど。

で、曲も同じなんですよ。 つまんないのが入ってるとつまんないですし、みんな同じ色でやっちゃうと、やっぱり美味しくなくなってきて胸焼けしてきちゃうんで、そのへんの色が出せるといいんですけどね。 ただ、今日インタビューを受けている段階では、到底そこまでいってないですけどね。

本番前日
本番前日のリハーサル

演奏のベースのトレーニングと、音楽を作るというトレーニングを両方しなきゃいけない状態なんですよね、今。 学生を見に行くと、ベースのトレーニングを、学生の指揮者とか若いOBの人たちがいろいろ手伝ってくれてベースを作っといてくれるんで・・

合:楽なんだよね(笑)。

前:ええ(笑)、全然楽なんですけど、この団体はもう、ベースを作るのも音楽を作るのもやんなきゃいけないんで、やはりすごく重たい。

合:大変だよね。

前:やっぱり"作業"ってつまんないですからね。 合奏してても、音楽をつくろうとする時の合奏って、みんなテンション高いし楽しいんで、べつに長くやっても苦にならないんですよ、疲れますけど。 ただ、いったん作業という状態になってしまうと、座ってるみなさんも苦痛でしかない。 たぶん往々にして、学生の団体もそうですし、社会人の団体もそうですけども、作業をすることが合奏だと思ってしまっているんですよね。

本当は作業っていうのは、各メンバーなり各パートなりで済ませられていて、それをみんなで、ある意味プレゼンテーションしあって、それをすり合わせていく場っていうのが合奏の場で、後は音楽的なアドバイスをもらって、それを具体化していく。 そういうことが出来ないと、本当の意味での音楽団体にはなっていかないかなぁ、と。 でもそれをやろうと思っても、べつに一日に2時間も3時間も練習しなくてもいいと思うし、一日5分でもいいし、二日にいっぺんしか弾かないんだったら30分でも練習するだけで、全然今のレベルより上がると思いますよ。

でも勘違いしちゃいけないのは、テクニック的に上手くなるっていうんじゃなくて、音楽をやる脳みそと体に瞬間的に切り替われるか。 普段会社勤めしている人は、音楽をやる頭と体にすぐ切り替わらないんですよね、やっぱり。 全然違いすぎて。 で、一日のうちでチョットの間でもそれをやっておけば、絶対すぐに切り替わって音楽モードに入れるようになって、つまんない合奏は自ずとなくなると思うんですけど。

合:やっぱりそれは時間がかかるのね? ボクは四六時中その中にいるからわからないけど。 やっぱりそうなんだぁ。

前:で、切り替わり方が浅くなっていっちゃう。

合:ああ。

前:自分ではカチッと切り替えたつもりでも、昔と比べると半分以下くらいしか切り替えられていない。 わかりやすく言うと、没頭できていない。

合:ただまぁ、反応はあるような気がする。 だから大丈夫じゃないかな。 やってて面白いのは、メンバーの意識的な密度の高さはある。 学生の場合は(プルートの)前のほうだけわかってて、後ろのほうが真っ白だったりするけど、(この団体では)ある程度以上のレベルの意識があるから、大丈夫じゃないかなとは思いますけどね。 技術的にはしんどい人はたくさんいる(笑)。 だけどメンバーの、自分の中で理解しようとするっていう意識。 それはねぇ、ここしばらくやってきた成果なのかなとも反対に思ったりするし、テクニック的にはついていけなくても、意識的な到達度っていうのはあるんじゃないかなとは思いますよ、見てて。 音楽的なテンションのレベルの高さは面白いんじゃないかな。 学生の団体よりは早いよ。

2002年9月9日更新
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