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第18回 合田香氏・前野一隆氏対談
配置について

前:もうほとんど定番となったこの配置。

合:わたしのわがままです(笑)。

前:全然違和感がなくなってきちゃった。弾いてる人はどうなんですかね?

--もう普通になってしまいました。弾きにくいんですけどね、どっちに向かって音を飛ばしていいかっていうのが未だに決心ができていないところで。

合:顔と体はホールへ向けて、だけどどこかは中に向けないと…今はやっぱりドラはひとり外れている。それも体と首と頭先が、どちらを向いているかで違ってくる。目線のどこかは中に向いてないといけないんだけど、フェイスがどこを向いているかっていうのが。エネルギーの心棒がどこを向いているか。

前:マンドラさんは歴史的に真ん中だったから、そういう努力をしたことがないんだよね。全部正面にぶつけてこれたからね。

合:マンドラはいよいよ大変だと思いますよ。去年は2ndがはじっこだったからね、それと今のチェロのところがドラで。後で反省したんです、1stと2ndはくっつけようって。これで普通のオーケストラの並びになったね。

--真ん中にギターを置く感想っていうのはどうですか?

合:僕はギターを、あそこに持っていきたいというのがもともとだからね。だから、ドラがどっちにくるとかいうよりも、ギターを真ん中に置きたい、客席寄りにもってきたくないわけ。そうすると、今までよりも順当に音が飛んでくることと、あのセクションに与えられた和音性とか、音のリズムとかが合奏全体に影響するっていうのがある。

今日ひとつ提案したかったのはね、ギターを1プルト下げるっていうこと。今、頭が5パート出ていますよね。それを4パート半くらいにしたかった。今は1プルトで顔がちゃんと合うけど、輪が少し大きくなってる。もうちょっとわっかを縮めるために、ギターを1プルトだけ下げる。1プルトだけね。それでも十分、今の役目は果たせる。でもそこまでするとギターに悪いから、しなかったんだけど(笑)。あと、もう少しだけ、チェロのフェイスを正面に向けたいの。

前:そういうのもありじゃないですかね。

合:そういうことをいろいろ、考えてみるものここの団体なんじゃないかとね。他団体はみんな、同じ並び方をしているの?

舞台上より、1ショット
舞台上より、1ショット

--関西のほうはチェロが後ろのひな壇に乗っていて…ギターが後ろの場合もありますね。ポルタを見てギターの並びを変えた団体もあるそうですよ。

合:少なくとも僕は、ギターが端だとどうしても分離してしまうから、分離感を失くしたいと思って。ギターというのは、マンドリンオケにおいて与えられる和音の支えだとか、リズムの根幹にあるだとかいうのを、ちゃんと的確にやらないと。奏法も、マンドリンとは違うわけじゃないですか。分離させないための配置っていうのが、一番の僕の中の考えになるわけですけど。

前:少し違う話になるんですけど、最初に危惧していたのは、ギターを挟んで右と左が分離するっていうのがリスクとしてあるかなって。でも、みんなでワーってひとつの和音をつくっているときには、そんなに分離感がないなぁって最近感じるんですけど。

それより今もっと気になっているのが、逆に交わりすぎちゃって、舞台から見て右から聴こえる、左から聴こえるっていうステレオ感みたいのが全然ない。真ん中に一個大きいスピーカー置いて流してるみたいに、ブォーブォーって聴こえちゃう。本当はもうちょっといろんな、たとえばマンドリンがリズムやっていてドラがひとりで歌うとか、中低音支えるパートがあってそれにメロディーが乗ってっていうときに、全体としては鳴ってるんだけど、もうちょっとリアルにステレオで、分離して聴こえてくる音の立体感っていうのが出るといいんですよね。

これはトップの皆さんに本当にお願いしたいんですけど、プルトの配置の人の乗っけ方で変わるんですよ、絶対に。今、どちらかっていうと強い人が頭のほうにいて、弱い人が後ろの端っこの方にいるんですけど、それじゃあ成り立たない。塊として、左の1stのあの辺からゴボッて聞こえてくるようにするには、それなりの並び方、塊としての鳴り方を配慮した配置じゃないとだめよと。ギターも、大池さんとかが後ろにいる時のほうがすごいいい音がするんですよ。前にいるときよりも。後ろにいると、後ろからぼぁーって音がかぶって出てくる。

合:それは、演奏のエネルギーも同じ。今ドラは少し、エネルギーの差があって、問題かなって思いますよ。あと単純な話ですけど、綺麗に並ぶこと。もう少しちゃんと、メンバーの構成もそうだし、図形的にもきれいに並ぶ。技量の問題と、空気量の問題とを考えて総合しないと。

前:たとえば1stの人も、今回15人くらいいますよね?そしたらプルトが全部1列にはならないでしょ。中のプルトにいる人は、子音より母音をたくさん出せる人を置いたほうがいいと思うんですよ。逆に外プルトの人は、割と母音も出るんだけど、しっかり子音をしゃべる人。パキパキパキッとしゃべれる人を置くと、ちゃんと母音をしゃべれる人とかぶる。マンドラだと弦が太いんで、みんな母音系でしゃべっちゃう。もっと立った音でしゃべれる人を、わざと外に置いてみる。逆に、気持ち悪いからわざと内側においてみるとか、そういうことを本当は練習のときにしたいの。そうしないと、ホールに行ったときの雰囲気みたいのは、つくっていけない。マンドリン界って、トップしか決まっていないんですけど、普通は全席決まってあたりまえだからね。あなたはここの席の、ここたる仕事をしてくださいっていう、その辺の感覚を弾く人たちが持つ。

合:あと、スタンドパートナーっていうんだけど、カップリングも決めてしまいたい。同じ色を出す人を並べない。現役の子たちの並び方の話でコーチの人なんかには、よくこの話をするんだけど、同じ色が並ぶと、ウィークがふたつ並ぶことになって弱くなるじゃない。だからその辺、スタンドパートナーのつくりを考えて、そこまで配慮して練習したいな。

2003年9月28日更新
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