Pseudophillipsia cf. azzouzi
シュードプィリップシア cf.  アズージィ


【原図・ウルリッヒ・フリック氏】
第2標本
第3標本/完全体・頭部側
第3標本/完全体・側面
第3標本/完全体・尾部側
Family Phillipsiidae ( フィリップシア科 )
Subfamily Ditomopyginae
 ( ディトモピゲ亜科 ) 
ペルム紀叶倉統
「畑」産

 本邦未報告種であり、私の知る限りでは標本は4体のみである。( 2007.12.20現在 )

 第1標本はY・T氏が気仙沼市上八瀬より採集している。
そのポイントは荒木氏が、かつて本邦初のPseudophillipsia spatulifera 全体標本を発見した場所の
近くと見られ、母岩は松葉石を少し含む青灰色の砂岩で恐らく同一層準のものと思われる。

azzouzi の名はY・T氏が鑑定を依頼した故小泉氏が 特徴が近似しているとして挙げたもののようだ。
P. spatulifera は北上山地から産出するペルム紀の三葉虫としては大型だが、本種はそのひと回り以上は大きい。

 特筆すべきは頭鞍である。P. spatulifera の頭鞍は表面が滑らかで その先端は周縁に突出するが、
本種では粒状装飾 に被われ、先端は周縁に張り出すものの突出しない。また粒状装飾と区別がつきにくいが、
P. spatulifera と同様 3対( 或いは4対? )の頭鞍側葉があると見做していいようである。
粒状装飾 が見られるのは頭鞍のみ。

 自由頬が大きく膨らみ複眼が突出するのはP. spatulifera に似るが、複眼の外側に太い溝があり、
眼が落ち込んでクマのように見える(笑)。

 他に尾部の側葉肋の数が15であるなど細かな差異はあるが、全体的な印象としてP. spatulifera に酷似していると言えよう。
故小泉氏が種の末期的形状ではないかと掲げたP. spatulifera の尾部中軸末端の割れ目が本種にも見られるのは
興味深い。

 同産地からは本種と Pseudophillipsia spatulifera の他、小型の Pseudophillipsia が多数採集されている。
こちらも未報告種である。
 
 この未報告2種を産出した母岩は特殊なものではないので、このポイントのみで見つかるものとは思えない。
これまで発見されなかったのは不思議だが( 特に azzouzi (?) は2標本以外に部分化石すら見つかっていないし・・・)
もう一度付近を精査してみる必要があるだろう。

2005年11月17日、ペルムの森で採集。
大きさは既存の第2、第3標本に匹敵し側葉の肋も15とアズージィに一致。
これを本種尾部と確信した。

ペルムの森からは第2、第3標本産地ほど多産はしないが
小型の Pseudophillipsia も僅かに産しており興味深い。
第2標本2002.3.24採集
第3標本2002.11.19採集
第4標本2007.11.17採集
Last update 2007.12.20

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