CDs!CDs!CDs!   No.4 岩崎昌樹

 

1.Amy Gallatin / Sweet Gatherings ( happy Appy 2 )
 アラバマ生まれ、中西部で育ったエイミ−の2作目にあたるアルバム。リリ−スは95年と少々古いが、中身の濃さで勘弁してもらおう。
 無論、ソングライタ−ではない彼女、そのセンスは「ソングセレクタ−」としての評価で決まる。
 ジョン・デンバ−、サラ・エリザベス・キャンベル、ジョン・イムズ、ビル・ダノフにティム・オブライエンと気になるソングライタ−の 代表作ではない、例えてみれば太い幹ではなく枝葉のような選曲に ちょっと「好き者」には心が動く。
 70年代 インディ−ズ系レ−ベルに注目が集まっていた頃なら、必ず「口コミ」でその評判は伝わっていただろうと思われる。
 田舎者の粋がりでフォ−キ−なブル−グラス サウンドが全編に流れている。

  2.Dave Evans / The Words In Between ( Weekend Beatnik 9039 )
 レコ−ドに黴を生やした前科のある僕。その犠牲になったのがこのアルバム。棚にギッシリと詰め込んでいたから、地震では束で「前かがみ状態」になっただけで割れる事もなかったが、その変わりその時に気がついたのが「黴」であった。
 ウイズ・ジョ−ンズやイアン・アンダ−ソンと同じく「Village Thing」から71,2年頃リリ−スされていたデイブの同タイトルのアルバムにボ−ナスを加えたありがたい代物だ。
 「Village Thing」は、イアン・アンダ−ソンの設立していたレ−ベルで、短命に終わったがスティ−ブ・ティルストンやウイズ・ジョ−ンズ、そしてデイブといずれもアメリカン・フォ−ク・ブル−スに強い影響をうけたフィンガ−・ピッキング・スタイルのシンガ−がイギリスという風土の中で陰影の濃い作品を多く手掛ける人々を輩出したレ−ベルとして、今も記憶する人は多い。
 デイブその範疇に入る人なのだが、彼の場合付け加えるなら これに「泣き」が入る事だろうか。
嬉しいリ・イシュ−ではある。
  3.Noah Paley / Small Truths ( Rubber Room 002 )
 ノ−アの新作にして3作目。アパラチア山脈の麓、最も濃密にアメリカの「ル−ツ音楽」が残るノ−ス・キャロライナがノ−アの在所である。
 では その事が彼の音楽に深く反映しているかというとそうでもなく、ここ10年くらい よく感じる「James Taylor的作風」を持つシンガ−の一人 と捉えた方が このアルバムを より素直に聴く事が出来る。更にいえば「Livingston Taylor」の作風により近く、言ってみれば「リブをよりフォ−クにした」と言えなくもない。
 マンドリン、フィドル、ドブロをサポ−トのメインにした音は、この類の音が好きな人には文句なく受け入れてくれるだろう。
 ただ、欲を言えば「もっと歌いこんでから他人に聴かせなさい!」こんな事は誰かが言いそうだ。
    4.Jeff Larson / Fragile Sunrise ( 日 ビクタ− VICP 61977 )
 まさかの国内盤登場である。かっての「ウエスト・コ−スト・シ−ン」で活躍したアメリカのメンバ−やティモシ−・シュミットたちがこのアルバムに参加していなかったら陽の目をみたかどうか怪しいもんである。それ以前にその存在を知っていたかどうか・・・。
 が、困った事に僕はこの男の名前を知っている。知っているどころか、カセットのみのリリ−スであったがアルバムも3個も持っている。
 何故か?ライナ−にある通り、この男は一時期はジョン・スチュワ−トのツア−の前座を務めていた事があり、「知っている理由」は冷静に考えれば、それしかない。
 優しく愁いを帯びた声、それでいて甘く切ない「泣き」の入るメロディ−。殆どギタ−一本だけで(曲によってはバンジョ−やハ−モニカも入る)歌われた彼にとってデビュ−作になる「Relic」こそが、今も僕の愛聴盤だが、それは当然入手は無理というもの。CD化なんて夢のまた夢の話である。彼のアルバムが国内発売された事で、少しは「良し」としようか。
 嬉しい事にそのアルバムからの「Fields of May」を再録してくれている。
  5.City Folk / In Another's Eyes ( No Number )
 優しく丸味を帯びた声、それでいて陰影に富んだ作品を提供してきたケイト・ウルフ。彼女亡き後の西海岸の女性シンガ−として注目を集めるのはアリサ・ファインマンとスザンヌ・マクダ−モット。
 シティ−・フォ−クは、そのアリサ・ファインマンのバッキングを務めてきたトリオとして彼の地で熱心なフォ−ク・ファンの間で、その存在が知られるようになった。
 ギタ−2本とマンドリン(曲によってはドブロ)、最小編成のアンサンブルに「CSN」を彷彿とさせるコ−ラス。これは、忘れかけた「ウエスト・コ−スト・サウンド」の良質の「上澄み」がこの地に残っていた事を証明するもので、デビュ−作「Shadows On The Wall」(Thunderbird 5003 )は、その意味では今も忘れがたいアルバムである。今回は、自主制作の趣が強いが前作に比べリズム・セクションも付き、曲によっては管楽器も導入されたりしているが、それとて作品の中の予定調和のようなものであくまで「色付け」程度のものだ。
 「シティ−・フォ−ク」なんて今時センスのない名前なんて、と頭から馬鹿にしていら横っ面を思い切りはたいてくれる。
 未だに「ウエスト・コ−スト・サウンド」に執着する方には一聴をお奨めする。




     

To 岩崎昌樹  たとえ初めて出会うCDだとしても、そのアーチストの音楽系譜が読みとれるのは、それともずっとフォークを聞き続けているからなのでしょう。源流をたどろうとすると、どこまでもさかのぼることが出来る音楽がフォークだし、またそれが楽しくもあります。岩崎さんのコメントを読んでいると、いつもそんなことを思います。よそ見もせず、浮気知らずの耳の強みですね。今回もまた、思わずボクにも巣くっているフォーク心がムズムズと動きました。(大江田)



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