● ソリッドガラスの防音性能 ●
窓から入ってくる音を「 質量則 と 振動抑制 」により低減させます。
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■ 重さで音をはね返します。 [ 質量則 ]
防音の原則は、
高密度の物質で質量を増加させ、
音をより反射させる事です。ソリッドガラスを貼ると 窓の重さは、約2倍になり、
[ 5ミリ厚の窓ガラス ] に貼った場合、
10ミリ厚の窓ガラスと同等以上の防音性を持ちます。ソリッドガラスの面密度: 12.0kg /u
- 身近な物との重さの対比 -
烏龍茶2.0L: 2.1kg /ソリッドガラス11枚: 2.2kg
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◆ 防音性能グラフ ◆
※遮音シートがソリッドガラスの防音性能に達するには、
遮音シートが7枚必要です。 [ 12.0kg / 1.7kg = 7.05 ]遮音(防音)シートは、吸音材と併せて使うことで
高い防音効果を発揮します。
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防音性能は、SG-718、SG-717、SG-823とも 全て同じです。
■ 防音性能表
周波数[Hz] 125Hz
低音域250Hz
低音域500Hz
中音域1000Hz
高音域2000Hz
高音域音響透過損失
[dB]18dB 23dB 28dB 32dB 35dB * 防音性能 ( 透過損失 ) の説明 *
左から入った音が、ソリッドガラスを透過した後に
どの位小さくなったか( 損失したか ) が
防音性能 ( 音響透過損失 ) になります。周波数[Hz] 125Hz
低音250Hz
低音500Hz
中音1000Hz
高音2000Hz
高音透過後の値
[dB]
(音響透過損失)60dB
↓
42dB
(-18dB)60dB
↓
37dB
(-23dB)60dB
↓
32dB
(-28dB)60dB
↓
28dB
(-32dB)60dB
↓
25dB
(-35dB)音声データ
[wav]アイコンをクリックすると
[ 基準音 1.5秒 → 低減された音 1.5秒 ]
を聞くことができます。基準音が大きいので、初めはボリュームを絞って聞いて下さい。※特に2000Hzは、ボリュームを絞って下さい。
※この音データは、何もない空間をソリッドガラスで隔てた場合のデータです。
窓に設置した場合の向上値については、2つ下のデータをご参照下さい。
■ 窓ガラスの振動を抑えます。
[ 振動抑制 ]
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貼り合せによって振動を抑制します。
ガラスとは固有振動数が異なるため、
貼り合わされる事で 干渉し合い、
互いの振動が抑制されます。 -
参考: 防音合わせガラスによる振動抑制
防音合わせガラスは、2枚の板ガラスの間に軟質フィルムを挟んだガラスで、ガラスの振動を軟質フィルムが吸収することによって、共振による高音域の遮音性能の低下を抑えた合わせガラスのことです。
■ソリッドガラスによる振動抑制は、
防音合わせガラスと同等の効果があります。
■ 窓ガラスに設置した場合の効果 ■
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[ 名古屋市工業研究所 加工計測研究室
音響インテンシティ装置※による遮音度の測定 ]● 低音 | 高音域で10mm厚ガラスの防音性を上回ります。
ガラスのような硬質の単一素材には、コインシデンス(一致)という現象があり、共振により高音域で防音性が低下する性質があります。
ソリッドガラスは、球体ガラスビーズと高分子の複合体であるため、この現象が起こり難くなっています。 -
●窓にソリッドガラスを貼ると
質量の増加と振動抑制により
低音から高音まで防音性が向上します。●また、共振による高音域での
防音性能の低下が起こりません。◆ 道路騒音に対しての防音効果 ◆
[ 道路騒音をサンプリング / 同一音データで比較 ]掃き出し窓 /5ミリ厚 ⇒ ソリッドガラスを貼付け ● 設 置 前 ● ● 設 置 後 ● ⇒ 音声データ 音声データ 窓開放 ( 12秒 ) ⇒ 閉じ ( 20秒 ) ⇒ 窓開放 ( 15秒 ) 低減量 : -6.8dB
比較範囲:閉じ( 20秒 ) [ 全周波数平均 ]
※確実に防音効果を実感して頂く為には、部屋内の主要な窓全てに貼って頂く必要があります。
◆ 低音と高音の伝わり方の違い ◆
- 窓を透過する音の3次元メッシュ表示 -
[ 音響インテンシティ測定 ]
測定対象 :普通アルミサッシ(引き違い )/ ガラス厚:5ミリ
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◆ 低音域の音について
路上で傘をさしている時に、改造マフラーを付けた車や大型トラックが横を通ると低音を受けて傘が振動します。(風圧ではなく)
低い音は物質を押す力が強く、薄い窓ガラスでは剛性(硬さ )と質量が足りないため振動しやすく防音性が低下します。低音域を分かりやすく例えるなら、浴槽で手の平を沈めてゆっくりと左右に動かすと大きな波ができます。これが低音域です。
高音域は、手の平を小刻みに左右に動かしている状態です。
動かす労力を比べれば分かるように大きな波のほうがエネルギーを持っています。◆ 音響インテンシティ測定について
通常の防音性能測定では、音圧レベルを測定しますが、その情報の中に音がどこから到達しているかという情報は含まれていません。これに対して、音響インテンシティ測定は、ベクトル量で表され、音の大きさ、周波数という情報だけでなく「音の方向性」に関する情報も含みます。
この測定装置を使用する事で「音がどの方向から到達したか」を特定できる為、測定環境( 測定室の大きさや残響時間 )に関係なく試験体の防音性能を簡単かつ正確に測定する事ができます。
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■ ソリッドガラスで低減可能な音域 ■
※ 周波数 100Hz以下の音を低周波音と呼び、20Hz以下の音を超低周波音といいます。
超低周波音については、
騒音の種類と防音対策 をご参照下さい。
■ 実際の騒音には、様々な周波数の音が混在しています。
実際に道路騒音を測定してみると、100Hzから4000Hzまで、幅広い音域の音が発生しており、250Hz辺りの低音域 と 2000Hz辺りにピークがあります。
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● 実際の道路騒音の周波数の分布と強さ
実地測定データをスペクトル分析。10分間を重ね合わせ。
※測定環境は、下記 設置事例を参照下さい。 -
・250Hz辺りの音は、排気音や大型トラックのエンジン音、
・2000Hz辺りの音は、タイヤと路面が接触して発生するロードノイズです。その他にバイクや乗用車のエンジン音、車体が空気を裂く音など様々な音域の音が含まれています。
※ 道路を走る車の種類、走る速度、路面の状況、 障害物の有無、道路を囲む建物の有無、道路からの距離など、様々な条件により、周波数分布と音圧レベルは変わります。
■ ソリッドガラス 設置事例
■設置場所:
交通量の多い幹線道路沿いの共同住宅A
[ 重量鉄骨造 3階建 ]
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直接道路には面していないもののBの建物[ RC造 3階建 ]からの反射音も加わっている状態。
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■設置環境: 2F 洋室 、開口部 :1ヶ所
・巾 1.7m×高さ 1.8m の掃き出し窓、 ベランダ、鉄製格子有り・ガラスの厚さ:5ミリ /・ガラス表面:凸凹
・使用したソリッドガラス: SG-823
■ ソリッドガラス設置による音圧レベルの変化
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1.窓を開けた状態での音圧レベル
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2.窓を閉じた状態での音圧レベル
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3.ソリッドガラス+P型防音テープを
設置した状態での音圧レベル※ソリッドガラスによる振動抑制が 最大となるのは、乾燥固着後です。
●ソリッドガラスの防音性能が十分発揮された状態だと考えます。 理想的には、低音域も閑静な住宅街のレベルにまで抑えられればよいのですが、現実には低音域をそのレベルに下げるのは非常に困難です。
※125Hz〜250Hzの部分を あと5dB下げる為には、現状の質量の2倍を必要とし、窓ガラス+ソリッドガラス3枚重ねとする必要があります。
詳しくは、防音性能と重さの関係をご覧下さい。