■ 固体音 (固体伝播音)の説明 ■
固体が振動する事で音は発生します。
スピーカーは、振動板という固体が振動する事で音が発生します。
人の声の場合も声帯が振動する事で音が生まれます。
ほとんどの音は、固体音から出発し、空気音になって人の耳に届きます。
( 耳の鼓膜以降は、また固体音となって聴覚を刺激します。)
防音上問題となるのは、
固体音がどこで空気音に変わるかです。
《 固体音との位置関係 》
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■ トライアングルの音は、
空気音(空気伝播音)です。空気音の場合、防音する壁の質量を
増していけば防音性は向上します。 -
■ トライアングル本体は、
《 固体音 (固体伝播音) 》です。硬いので振動を良く伝えます。
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■ 共同住宅の場合
振動体の中にいます。
固体音が空気音に変わるのは、
壁の表面です。- 代表的な固体音( 固体伝播音 )
- スピーカー底部から床に伝わる重低音・低音 ※
- 隣室からのドアの閉じる音 (一部空気音)
- 階上からの歩行音
- エレベーターの機械音
- 水道管内の水の流れる音
- 上階からの椅子を引く音
- 隣室から聞こえる換気扇の回転音 等
※ 軽量の壁の場合、重低音の空気音も固体音と考えたほうが良いです。
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- 固体音の聞こえ方 -
どこから聞こえているのか良く分かりません。
壁全体が振動しているため、
音の発生源が分かりにくくなっています。■ 建物の種類により、伝わり方が異なります。
・伝わりやすさの順:
鉄筋コンクリート造 > 鉄骨造 > 木造・響きやすさの順:
鉄骨造 > 木造 > 鉄筋コンクリート造※構造体に振動を伝えない施工をしていれば、この順は違ってきます。
《 固体音の強さ / 空気音との比較実験 》
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■音質は、WAVファイルのほうが良いです。
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波形グラフ
25dBの差は、音のエネルギーに直すと
16倍の差になります。空気音の場合、振動エネルギーが小さいので
壁の質量を増やしていけば、質量則により防音性は向上しますが、
固体音の場合は、質量則が当てはまりません。
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■ 防音材を直に壁に設置した場合
固体音の振動が防音材に伝わります。
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設置境界での伝達ロスはありますが、 振動が伝達し
振動体の一部となってしまい、防音効果が充分発揮できません。詳しくは、固体音の防音実験 をご覧下さい。
※実際には、防音材を固定する部材からの振動伝達もあります。( 防音効果を低減させるサウンドブリッジといいます。 )
サウンドブリッジ : 防音材が振動体と接触していると振動が防音材に伝わり防音効果が落ちます。そのため、緩衝材をはさみ振動を伝えないようにしますが、防音材の固定の為や施工上、どこかで振動体と繋がってしまう場合があります。この部分をサウンドブリッジ(音の橋)といいます。
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■ 理想的な防音対策
振動が伝わらないので防音材の性能が発揮されますが、実現には様々な問題があります。
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■ 問題点
1.振動体に全く触れないで設置する事は困難です。
部屋の中に小さな部屋を設ける防音ルームは別にして、保持の安定性上、既存の壁や床に固定する必要があり、そこからの振動の伝達を免れる事はできません。
重要なのは、振動が伝わり難い固定方法にする事です。
2.天井に防音材を設置する事は、困難です。
防音材は、重いのでそれを支えるためには、しっかりした既存の天井下地が必要ですが、木造、鉄骨造の場合、軽量の天井材を付ける程度の強度しかありません。
コンクリートむき出しの場合でも固定するとなるとドリルで穴を開け、金具を埋め込んで固定しますので大掛かりなものとなる上、振動は金具を通して伝わります。
天井からの固体音については、効果的な対策がありません。
- 固体音の限定的な低減 -
建物全体を振動させる固体音の防音は、
その性質上、限定的な効果にとどまります。
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■固体音の伝わり方には偏りがあります。
振動の伝わり方は、均一ではなく、
固体音の聞こえる強さは、位置に偏りがあります。壁の端部に固体音(振動)が集中する傾向があります。
この現象は、鉄筋コンクリート造のような硬い構造体で起こりやすいです。 -
- 音の強い部分に防音材を設置します。-
低減効果は限定的ですが、音の聞こえ方は変わります。
※ 音の強い部分が天井にある場合は、対応が困難です。