はじめに

 

  この『聖心女子大学日本語日本文学科ハンドブックWEB版』は、日本
語日本文学科の教員一同が、学生諸君の学習・研究の手引きとして作
成したものです。 編集の主眼は、演習の発表や卒業論文の作成に役
立ててもらうことにありますが、日々の学習にも利用できるはずです。

 

  『WEB版』の前身は、2000年4月に発行した小冊子『聖心女子大学日
本語日本文学科ハンドブック』(以下『初版』と呼ぶ)です。 その後、『初
版』の字句の修正および、新しい情報の追加を主とし、基本的に『初版』
の内容を引き継いだ『聖心女子大学日本語日本文学科ハンドブック第
2版(試験公開)』をweb上の教員の個人サイトに公開しました。2004年
4月のことです。今回、それをもとに、増補・改訂を行い、『WEB版』として
聖心の公式サイトに公開することにしました。

 

  日本語日本文学科のカリキュラムについては、各年度の最初のガイ
ダンスで一通りの説明をしますが、それは各科目の受講のしかたにつ
いてであって、日本語日本文学科であつかう分野はどのようなもので、
それぞれをどのように学んだらよいのか、といった内容に関することは、
時間の制約があって説明することができません。それを補うものとして、

シラバスが用意されていますが、これも個々の科目の説明であって、十

分とは言えません。

 

  大学生であれば、自分が学ぼうとする分野がどのようなものであるか

を自発的に調べ、またどのように学んだらよいかを各種の参考書にあた

って確かめる、ということが期待される−というのが教師の立場からす

れば望ましいことです。それはまた、上から何かを押しつけるのではな

く、学生の自主性を重んじて、それぞれの興味・関心のおもむくところに

応じて、創造的な学習・研究を奨励することにもなります。ところが、この

寛大な態度は一面では放任主義と見られなくもないわけです。そこで、

私たち教師は、学生諸君に「何を」「どのように」学習し、研究したらよい

かについて、基礎的な情報を提供しようと考えました。それがこの『ハン
ドブック
』 なのです。

 

  全体の構成について最初に述べておきます。

  初めの「総説」には、日本語・日本文学のすべての分野に共通する

情報が盛り込まれています。日文生全員が熟読すべき項目です。

  次に、個々の分野−日本語学現代日本語日本語史)、日本語教育
日本文学上代中古中世近世近代)−の項目が並んでいます。そ
れぞれの分野の特色と指針、および有益な参考文献が示してあります。
各自の専攻しようとする分野を熟読すべきことは言うまでもありません
が、有益な情報は他の項目にも満載されているはずです。
 

 『初版』の「はじめに」に「日文生として過ごす三年間、いつも手近な所
に置いて、折にふれ活用してください」と記し、また小冊子を常時携帯す
るようにと言ってはいたのですが、残念なことに手近に置いて活用して
いる姿を見かけたことはありません。聞いてみると、「なくした」 あるいは
「どこかにいってしまった」などの声が少なくありませんでした。今回、こ
のような形でWEBに公開するのは、そうした事情を考慮してのことです。

 

このハンドブックの内容には自信がありますが、読みやすさを考慮し

て、簡略さを心がけましたので、すべてを盛り込み得ているわけではあ

りません。分からないところは手近の教員をつかまえて聞いてください。

 

  これほど有益な情報はない、とわれわれ教員は思っていますが、そ

れを生かすも殺すもあなたの心がけ次第です。

 

                                  2006年4月

                                  執筆者一同

 

   知恵をふところに抱け

    知恵はあなたを高めてくれる。

             ──聖書(箴言 4章8節)

 

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