さて、「死者の木霊」に登場する岡部の容姿ですが、 「岡部はダークブルーにストライプの入った三つ揃いを、きちっと着こなしていた。」 「陽子は岡部の端正な容姿に少なからず感心を抱いたらしく、岡部が席をはずした隙に(カッコいいわねえ、あのひと)と、嘆声を洩らした。」 「こちら、ハンサムねえ、お巡りさんにしとくの、もったいないわ」 などの記述がありますが、このことで即「光彦」のイメージにもっていくのは無理があるようです。 一方、、「萩原朔太郎」の亡霊には、容姿に関するこのような記述はありません。 岡部のイメージは、 「室町署には、野崎と警察学校が同期の岡部がいる。なつかしい顔であった。そのころから俊秀の噂が高く、ガサツぞろいの警察官の中では、ひと味もふた味もちがうクールな肌ざわりの男だったが、案の定、出世が早く、おととし28で警部補に昇進した。」(死者の木霊) 「松川ダムバラバラ事件」などで名探偵"岡部和雄"の名はよく知られている。岡部はあの事件の直後、室町署の警部補から一課の警部に抜擢されたのだ。」 岡部の人柄は、 「岡部は物静かな微笑みを湛えながら、ひとりひとりに軽く会釈した。その柔らかな物腰と自信に満ちた眸の輝きを見て、竹村はなんとなく(この人物は、できる−−)と思った。(死者の木霊) 「岡部は、あくまでも低姿勢だ。“内偵の”つらさはこういうところにある。〜中略〜岡部の真摯な人柄は、その点、きわめて説得力に富んでいるといっていい。」(萩原朔太郎」の亡霊) |