刊行順 | 書 名 | 舞台、背景など | 登場人物など |
1 | 死者の木霊 | バラバラ死体が発見されたのは信州の小京都、飯田市郊外の松川ダム。衝撃のデビュー作。 | 竹村岩男・岡部和雄 |
4 | 「萩原朔太郎」の亡霊 | 萩原朔太郎の無気味な世界そのままに起こる連続猟奇殺人。警視庁捜査一課の名警部・岡部和雄の推理が冴える。 | 岡部和雄 |
8 | シーラカンス殺人事件 | シーラカンス、サルノコシカケ、ジュースの蓋? 岡部和雄の推理が冴える。 |
岡部、一条万里子 |
11 | 倉敷殺人事件 | 恋人と夜の新宿をデートしていた草西英の前で、中年男が「タカハシノヤツ…」と呻いて絶命した。草西 英と岡部の二人三脚の推理。 | 岡部和雄、草西 英 |
12 | 多摩湖畔殺人事件 | 丹波篠山にいるはずの父が、なぜ七百キロも離れた多摩湖半で死んでいたのか? 車椅子の美少女・橋本千晶は父の死を、その明晰な頭脳で推理しはじめる−−。 |
橋本千晶、河内・岡部警部 |
17 | 「横山大観」殺人事件 | 長いあいだ埋もれていた「横山大観」の若き日の傑作が発見された。次第に明らかになる12年前の殺人事件の真相は?名探偵・岡部和雄警部の推理が美術界の暗部に迫る。 | 岡部和雄 |
32 | 十三の墓標 | 「パパもママも帰って来ないの」5歳の少女が警視庁に勤務する坂口正二を訪ねて訴えた。姉夫婦になにがあったのか、若き刑事は不吉な予感に襲われた。 岡部と坂口警部の活躍。 |
坂口刑事、岡部警部 |
45 | 追分殺人事件 | 信濃追分で男が死んでいた。信濃のコロンボこと竹村警部が捜査に乗り出した。一方そのころ、東京でも男の変死体が発見される。こちらでは、警視庁の切れ者岡部警部が捜査を開始した。二つの「追分」の事件に、二人の“名探偵”が挑む。そして、謎は北海道にまでおよぶ…。 | 竹村、岡部警部 |
47 | 少女像は泣かなかった | 両親を亡くした車椅子の少女千晶と、娘を失った河内刑事の心の交流が事件の謎を解く推理4遍。 | 橋本千晶、河内・岡部警部 |
岡部和雄が登場するのは、内田先生のデビュー作「死者の木霊」です。 このときは竹村岩男が主人公だったのですが、岡部は年齢が30歳で、東京室町署に勤務しており、階級は警部補でした。 その後、本格デビューとなったのは「萩原朔太郎」の亡霊です。 ここでは、既に警視庁捜査一課の警部に昇進しています。家族は妻・佐智子、長男・祐介、長女・ひで子です。 「萩原朔太郎」の亡霊では、「前島は岡部より5、6歳は年長で、40を越えたかどうかという感じだが・・・」とありますから、岡部は34、5歳になるかと思います。 岡部の容姿ですが、「追分殺人事件」の岡部警部は、「30代半ばかと思えるハンサムな刑事」、「岡部警部は聡明そうな瞳を」、「倉敷殺人事件」では、「あのバリトンが聴こえた」、「この人、ほんとに警察官なのかしら?」、「青年といってもいいような紳士」、「電話よりさらにまろやかなバリトン」と書いてあります。 そして、服装は、「ダークブルーにストライプの入った三つ揃いを、きちっと着こなしていた。」(死者の木霊)とあります。 岡部の探偵としての素質と閃きは、「岡部という人物にはどことなく、いわゆる”探偵”としての洞察力、推理力、解析力が秘められているように思えた。」(死者の木霊) 「それにしても、事件捜査を“面白い”と表現する、岡部の感覚は、野崎の理解できるものではない。この男は、殺人事件をゲームの対象ぐらいに考えているのではあるまいか。(死者の木霊) 「そう言った瞬間、岡部の心臓に痛みのようなものが走った。何か、まったく思いかけなかった着想が芽生える前触れだ。岡部は緊張し動かなくなった。動けば脳漿からせっかくの着想がこぼれ落ちる。」 岡部の人生観、家庭観は、「“バカ”と岡部は苦笑した。主任捜査官が“いいパパ”なんかであっていいわけがない。捜査本部に釘付けになって、ひっきりなしに入ってくる情報を分析しているか、あるいは現場に飛び出し、ホシに肉薄しているのがあるべき姿というものではないか。」(萩原朔太郎」の亡霊) 「警察学校をトップで卒業したとは言っても、ノン・キャリアでは、行きつくところは最高位でも警視どまり。そういう未来の見えていることが、いかにも味気なく思えたことだ。しかも、自分には謳歌するような青春がない。 その岡部を忠実な警察官として職務に駆りたてたものは、正義感でも、むろん出世欲でもない。要するに捜査するというそのことが面白かったのだ。」 (萩原朔太郎」の亡霊) 岡部は、あくまでクールでカッコいいのですが、ひと昔前のモーレツ型といえるのでしょうか? いずれにしても先生の分身ともいえる名探偵と言ってもいいでしょう。 浅見光彦とタイプが似ているので、活躍の場が少ないのですが人気のあるキャラクターの一人です。 |